だいたいNBA

Kだよ。だいたいNBAのことを書くのです。だいたいスパーズのことを書くのです。

デリック・ホワイトとジャロン・ブロッサムゲーム

デリック・ホワイト

ビュフォードGMがホワイトのことを「単にステップアップしてきたのではない、食物連鎖を駆け上がるように勝ち上がってきたのだ(He’s not only stepped up, but excelled as he’s moved up the food chain.)」と評していますが、驚くべきストーリーを持ったプレーヤーです。

ホワイトの辿ってきた道についてYahoo Sportsのジェフ・アイゼンバーグ記者の記事が最もよくまとまっていると思います。ホワイトは高校時代に全く無名で大学からのオファーがなかったようです。そこで父親のリチャードがホワイトのプレーをまとめたDVDを作り多数の大学にそれを送って関心を持ってもらおうとしたものの、身長6'0"体重150lbsしかかったために殆どの大学に「小さすぎて通用しない」と断られました。唯一高校時代からホワイトに積極的に関心を持っていたのがNAIA所属の料理学校で、ホワイトは料理人になることに全く関心がなかったのでこの誘いは断っていました。結局、様々な大学にアピールしたものの奨学金付きのオファーがあったのはワイオミング州の短期大学1校のみ。ところが、ホワイトを勧誘していた料理学校のコーチがNCAA Division2所属のコロラド大学コロラドスプリングス校(UCCS)のコーチに就任したことから同校から奨学金付き(全額ではなく一部支給)のオファーを受けられることになり、UCCSに進学できることになりました。つまり実質的にはNCAA Division2の大学からすらオファーを受けることはなく、UCCSに入れたのもほとんど運が良かっただけということになります。しかしまた幸運にもその後急激に身長が伸び、UCCSで成長を続け3年時にはNCAA Division2のオールアメリカンサードチームに選ばれています。ファーストチームですらないというのは驚きですが、このあとNCAA Division1のコロラド大学ボルダー校へ転校、NCAAの移籍ルールに基づき1年のレッドシャツを経て、1年だけの挑戦でオールPac-12ファーストチーム、Pac-12オールディフェンシブチーム選出という結果を残し、NBA Draft Combineで素晴らしい身体能力値を記録し、5 on 5でも最高レベルパフォーマンスを見せることで急激に評価を上げ、最終的にスパーズに1巡目指名を受けるところまで上り詰めました。まさに食物連鎖を駆け上がるようにしてNBAプレーヤーに成り上がったと言えます。しかし、この成り上がりの第一歩は「ホワイトを評価していた唯一の人物がタイミングよくUCCSのコーチになったこと」であり、本当に運が良かったとしか言いようがありません。また、コロラド大HCのタッド・ボイルがカンザス大でプレーしていたときにカンザス大のACを務めていたのがビュフォードで(HCはラリー・ブラウン。アルヴィン・ジェントリーもACをしていたようです。すごいメンツだ)、このときの繋がりもあってドラフト前にビュフォードがボイルとホワイトについて話し合い、それが指名に影響したようです。なんと人に恵まれた人生だろうか。

(2019/04/23 22:40 追記:ホワイトが最初に勧誘を受けていたJohnson & Walesを「料理学校」と訳しましたが、これは間違いです。本文中にただJohnson & Walesとあるためなんとなくそう思い込んでいましたが、正式にはJohnson & Wales Universityですので立派な大学です。調理の専門課程で知られた大学、と認識・訳出するのが正しいです。調査不足でした、失礼いたしました)

重要なのは、この選手が殆どゼロの状態からドラフト1巡目指名選手へと5年で急激に成長したことで、この成長力はこれからもおそらく続くだろうと思われることです。経歴自体が成長余地と高い向上意欲を示すものと言えると思います。諸々のスカウティングレポートが弱点として「それほど優れたクイックネスはない」事を挙げていますが、ドラフトコンバインの数字を見る限りでは身体能力自体はかなり高く、ボールハンドリングの改善やディフェンス技術の向上、経験によってまだまだ向上するのではないかと思います。

ホワイトに関する記事で他に良いものがいくつかあります。まずはThe Ringerのジョナサン・チャーク記者のスカウティングレポートで、ホワイトのスカウティングレポートの中でもかなり質の良いものです。NBA.comのクリス・ドーチ記者の記事ではボイルがホワイトについて存分に語っています。ボイルがウィングだったホワイトをPGとして着実に鍛え上げたことでホワイトの能力的限界を押し広げ、今ドラフトでもトップレベルの万能型プレーヤーへと成長させたことは間違いないでしょう。The Denver Postのキャメロン・ウルフ記者の記事はホワイトのコーチたちや友人たちからのホワイトへの見方が伝わる、地元紙でしか書けない良い記事です。ホワイトが3年間を過ごしたコロラドスプリングスの地元紙Colorado Springs Gazetteのポール・クリー(画家のパウル・クレーと同じ綴だ)記者の記事は、UCCS時代のホワイトのことも忘れないでくれよ、という地元紙記者の熱のこもった良い記事。同記者はナゲッツが24位でホワイトを指名しなかったことを批判する記事も書いています。生まれも育ちもコロラドのスター候補となるとそれこそチャウンシー・ビラップス以来、しかもナゲッツのPGはやや将来が不透明なポジション、しかもおらがまちでステップアップした、UCCS初のNBA選手がナゲッツNBAプレーヤーになってくれるとしたらストーリーとしては完璧です。怒る気持ちも分かる。

(7/3 18:10 追記)

Spurs.comのローン・チャンの記事が大変良い出来ですのでこちらも読まれたし。

ジャロン・ブロッサムゲーム

驚異的な身体能力を持った選手ですが、意外というべきかかなりの大怪我を乗り越えてきたようです。myAJC.comのキャロル・ロジャース・ウォルトン記者の記事がブロッサムゲームの障害を乗り越えるプロセスを丁寧に描いています。ブロッサムゲームは2012年にクレムソン大学に入学する予定だったようですが、その年の4月に練習中にダンク後の着地で左足を骨折、骨が突き出るほどの大怪我で最初のシーズンはレッドシャツで過ごすことになり、更に翌年6月には回復を早めるために尻の骨の骨髄を移植する再手術を行い、骨折から復帰まで1年半ほどかかったようです。更にフレッシュマンシーズンの最後には、軽いものではあるもののまた左足を骨折。読んでて嫌になりますが、これほどの怪我を乗り越えてNBAに手がかかるところまで来たその精神力はすごいです。「チタンロッドで補強したからもう骨折の心配はない」「骨折前よりアスレチックになった」と語っていますが、実際ゴリゴリにアスレチックなプレーをしていて、よく怖くないなあと思ってしまいます。こうした状況で自分をサポートしてくれた周囲の人々に対する感謝の念は非常に強く、昨年のドラフトでエントリーを取り下げて大学に戻ったのはそうした周囲の人々へ恩返しの気持ちもある程度あったのではないかと思います。ちなみに、nbadraft.netの昔のモックでは「去年クリッパーズが25位で指名を確約していたという噂があったのにエントリーを取り下げた」と書かれていますが、流石にこれは間違いでしょう。当時のコーチのコメントを読むに、1巡目で指名されたかったけど、ドラフトコンバインやワークアウトからその手応えを得られなかったから戻ってきたというのが一番大きい理由でしょう。

これ以外ではHoopsHypeのアレックス・ケネディ記者の記事がかなり質の良いものだと思います。ブロッサムゲームがどれほど練習熱心で人間的に優れているかということをチームメイトが語っているのを読むと、これならスパーズで大丈夫だな、と安心します。ボランティア活動にも非常に熱心だったらしく、いい話が書かれています。また、このインタビューではクワイ・レナードと自分を比べていると語っています。サイズ的に似通っていることや、シューティングが下手な選手だったレナードがNBAトップレベルのシューターにまでなったことなどが自分に重なるようです。トーリーン・プリンスも「デマール・キャロルに近い」と言われるたびに「モデルにしているのはレナード」と答えていましたが、最近ウィングでレナードを目標にしている選手が増えてきているような気がします。プリンスはサンアントニオ出身なので余計にというところもあるでしょうが、レナードのこの「俺に似ている」と思わせる力はなんでしょうか。高校時代からトップエリートだったわけではなく、ディフェンス専門のロールプレーヤーから地道な努力で着実にNBAのトップまで上り詰めている感じが努力型のプレーヤーの共感を呼ぶのでしょうか。「誰もがレブロンにはなれない」とみんなが思う一方で「レナードにならなれるかも」と思われるのは、後の世代にいい影響を与えているのだと思います。サンアントニオ出身のプリンスがホークスに指名され、アトランタ出身のブロッサムゲームがスパーズに指名される、同世代の比較的似たタイプのフィジカルなウィングがクロスするのもなかなか乙ですね。

しかし、ブロッサムゲームも背番号5かあ。スパーズはほぼ毎シーズン誰かが5番つけてますが、ここ数年は渋滞に近い状態ですね。ジョセフが5番を4年つけてる間に大学まで5番をつけていたアンダーソンが入ってきて1番に変えて、ジョセフがいなくなったら今度マレーが5番つけて、更にブロッサムゲームがかぶりますよ。サマーリーグでは15番をつけているようですが、え、まさかと思うけど欠番にしないの……?

今更でもないドラフトーク2017

予想の答え合わせから

まずは結果。

全体の予想は正解率5/30。ものの見事に外しまくる。ひどいもんだ。それでも去年は4つしか当たらなかったからまだ良い方よ。順位は異なるものの指名したチームが同じ場合は正解とすると、DraftExpressは15/30nbadraft.netは8/30チャド・フォードは12/30でさすがの正答率。上の方は当てやすい一方で下の方はハズレが溜まって正答率が低くなっていくのだけれどそれでも当てているDraftExpressは流石と言うべきか。23位でアヌノビーとか普通は当たらん。しかし、毎年当たらなくても予想するのは、そのプロセスで諸々の分析をすることでこのチームはここが強いとか弱いとか厚いとか薄いとかそういうことが分かるから。ドラフト後のFAの動きも各チームの狙いがある程度わかってきます。当たったかどうかより理解したかどうかが重要なのです、と無様な言い訳をしておく。まあ、でも仕事で書いて5つしか当たってないやつもいるから大丈夫。

DraftExpressといえば、去年のドラフト感想で「DraftExpressのモックは当日のインサイダー情報に基づいてドラフト直前に変えている」と書きましたが、今年もやってましたね。証拠なしで言ってもしょうがないので今年は変更がある場合にできる限り全てに近いぐらいの頻度でarchive.isにデータを保存しておりました。で、6/22というのがドラフト当日なわけですが、これの09:37更新版では例えばニリキーナ(実況アナウンスからンティリキーナと表記していましたがこっちが正しいらしい)が15位で、その次の更新の14:26更新版でも同じでしたがドラフトが始まった直後の16:06更新版ではニリキーナが8位に変更され、その10分後の16:16更新の最終版でも同じ結果になっています。ドラフトが始まったのが東部標準時の19:00で、DraftExpressの更新時間は太平洋標準時で東部標準時に3時間遅れなので、ドラフトが始まってからの不自然で大幅な変更です。要はここでインサイダー情報が入って当てにいったということでしょうが、なんだかなあ、これで当てたとか言われてもねえという感あり。他ではアヌノビーとブラッドリーが前日までは異なる予想だったのに当日に「正解」の予想に変わっています。まあ、でも現場の各チームのGMなどは、こういうインサイダー情報に基づいた確実な予想があることで(特に複数指名権を持つチームが)指名戦略を変えたりできて良いのかもしれません。あと、去年に比べればこういう変更は少なかったと思います。去年はメイカーとかパパヤニスとか極端な順位変更が結構ありましたからね。nbadraft.netも直近までせせこましく変えたりしますが、アヌノビーやパセシニクスなど、自分とこで評価していない選手に関してはたとえ一般的な評価がどれほど上がろうともずっと2巡目予想で貫いています。これはもう予想というより評価の押し付けですが、Kの尊敬する格闘とんち漫画家の板垣恵介先生は「強さとは我儘を通す力」と語っておられます、nbadraft.netのモックは、強い、漢の予想と言えるでしょう。憧れちゃいますね。

あとスパーズの予想も完璧に外す。ポジション分析の段階でガードもありうると考えていたなら、ホワイトは確実にガードの本命にしていたと思いますが、スパーズって2年連続で同じポジションの1巡目指名とかなかったと思うし、特に去年マレー指名できちゃったので今年はガードはないなと思って外してしまった。ブロッサムゲームもまさか落ちてこないよなと思ってたら落ちてきてしまった。こっちに関してはいい方に外れたので良し。先に書いたようにスパーズ的な観点から言えば非常に素晴らしい素材です。シューティングが改善すればそれだけで平均よりだいぶ上のウィングに化けうる。ホワイトについてはこれでいいのかどうかよく分かりません。ミルズほどのスピードはありませんがそれ以外ではミルズの上位互換だと思うので(シューティングに関しては不明)、これでミルズが去ってもあまり問題にならなくなったと思います。サイズがあって身体能力が高くて視野が広くてバスケットボールIQが高くて、シューティングもパスもドリブルもあらゆる技術が高水準で、現時点でほぼケチの付け所がないんじゃないでしょうか、完成度が非常に高いです。特にプルアップ3Pを高率で決められること(2モーションなのにフィートセットからリリースまで一切無駄がなくかなり早いので、スペースが少しでもあれば安定したフォームで躊躇なく打てる)やFTを稼ぎまくることで得点効率が抜群にいいのが素晴らしい。ディフェンスでややフィジカルが弱いとか23歳とかマイナス点はそれぐらいか?ディフェンスといっても、ガードなのにBLKが1試合あたり1.4とかどうかしてるし(BLK%が4.9%とかC並み。ジャレット・アレンのBLK%が5.0%なのでこれとほぼ同じです。とにかく読みとタイミングが抜群。サイズと身体能力はもとよりIQの高さでブロックしている面が強い)、サイズがあってフットワークが軽いのでフィジカルと技術を鍛えればすぐにものになると思います。Pac-12のオールディフェンシブチームに選ばれてるし、そもそもディフェンスは大学レベルではかなり良い部類でしょう。ディビジョン2からの叩き上げで、しかも今までずっとウィングで、最終学年で初めてのディビジョン1チームでのプレーにして初めてPGでプレーしてちゃんとものになっているところとか、バスケットボールIQと成長力は恐るべきものがあると思います。マレーとの兼ね合いをどうするかが今後問題になるでしょうが、将来的にジョージ・ヒルみたいになってくれるといいなと思います。他にも山ほど優秀な選手がいる中でベストの選択として選んだのだろうから、これはこれでいいか。去年マレーを獲得していなかったら「最高!100点!」と喜んでいたことでしょう。

ホワイトやブロッサムゲームの記事は後で集めよう。しかし、インサイド、オルドリッジをトレードするとして特にPFはどうしたものだろうか。いっそアンダーソンにでもやらすのか。

ドラフト雑感

今年は人材豊富で、基本的にどこが誰をどの順位で指名しても「いい指名」になる感じでした。13位まではほぼ評判通りという指名で、それ以降も多少の順番の前後はあっても、基本的には波乱と呼ぶべきものはありませんでした。1巡目だとアデバヨが早いな、ハートが入るんだ、ぐらいのとこですかね、驚いたのは。去年の大荒れっぷりが恋しい。

指名が早い順から感想。てきとうです。

シクサーズは100点以上。一体これで誰がどこに文句つけるのか。シクサーズファンは少なくとも開幕までは毎日夢心地でしょう。サム・ヒンキーの方角に毎日礼拝しないとね。個人的には50位のレソートが好きで好きで……もう犬かってぐらいボールを追いかけ回して可愛いです。NBAでも一生懸命あっちへこっちへ走り回ってほしい。スタッシュだろうけど。なんかGM変わってからインターナショナルプレーヤーばっかり指名してますが、ブラウンの要望かなんかでしょうか。あとパセシニクスのために2020年の1巡目と2巡目指名権をトレードしたことに、ついにシクサーズも他所に指名権を与える立場になったか、という妙な感動をおぼえます。しかし、シクサーズの指名権ではなくサンダーの1巡目(1-20位でプロテクト、条件が複雑)とネッツかニックスの安い方の2巡目指名権なのが微妙に腰が引けていてダサい。感動がさめる。ここは男らしく「2020年には俺らトップチームになってっから!シモンズでフルツでエンビートだから!」と自分とこの指名権を出してほしかった。3年後にリーグのトップ10になっている、サンダーより上のチームになっているという自信がないってことよな。Kはこのトレード、ダサいって言い続けるからな……。

レイカーズも100点以上でしょうか。弱いところに的確にいい選手を指名していて賢いと思います。28位を30位と42位に交換して42位でブライアントというのは本当にうまい。それと各ポジションでシュートレンジの広い選手を揃えているのが、方向性がわかりやすい。あとはシューティングを改善するためには戦術構築が問題で、一番穴の大きいディフェンス力は現時点ではほとんど改善できないメンツだと思うので、長期的なコーチングと育成の成果がこれから問われます。オヤジが言うような「来年ロンゾがプレーオフに連れていくぜ」みたいなことには多分ならないでしょう。バスケットボールの半分はディフェンスですので、それがリーグ最低のチームはオフェンス力がリーグ最高のチームにならない限り、82試合の半分を勝つことはできません。まあ、半分どころか45勝してプレーオフに出れないこともあるのが地獄ウェストの地獄たる所以ですが。偉大なるポール・ジョージ様のお力をお借りして早くて2年、多分3年以上はかかるんじゃないですかね。なんにせよ1年でどうにかなるようなものではないでしょう。

セルティックスはこれ、いいのか悪いのかなんとも言えない感じで。セルティックスの主力って基本的に外様で、ドラフトから中心選手が育ってないんだよなあ。ブラッドリーは効率があまりよろしくないですがまあこれは良しとして、スマートは基本的には失敗に分類していいでしょう、オリニクもロールプレーヤー以上になれない、ロジアーもダメダメ、ブラウンは結論出すのに早すぎるとして、このチームはわりとドラフト下手なんではないだろうか、あるいは育成が下手か。うーん、主に育成かな。オジェレイはここで取れて羨ましいと個人的には思いますが、3位はジョシュ・ジャクソンで良かったのではないか、他にもっといい選手がいるのではないかと思う余地のある指名が今年もなされたという印象です。結果がいい方に行けばそれでいいですが。しかし、これだけ条件の良い指名権をたくさん持っててすでに良いプレーヤーがたくさんいて、5年以内に優勝できなかったら大問題だぞ。

サンズは病気が治ってよかったね。治ったと見せかけて54位でアイザイア・ブリスコーをぶっこんでくるのではないかと期待していたら違った。本当に治ったのだ。来年ぶり返すかもしれませんが。32位は他にもっといい3&Dプレーヤーがいたのではないかと思います。サンズにとって一番欲しいポジションに他の年なら1位指名されるような選手を取れたのは奇跡に近いですね。

元祖謎ドラフト本舗、キングスが実にらしくない真っ当な指名をして大変驚いています。10位を売って15位と20位で可能な限り良いSFの指名とPFのポテンシャルピック、本当にこれはキングスだろうかと不審になる上手さ。去年なんてトレードダウンした挙句13位以外は完全に成り行き指名してたのに……。ジャイルズについては、インサイドはかなり厚いので、また去年指名したラビシエが良かったので、失敗してもそれほど痛くないということでPFでリスクを取りに行けたんだろう、と理解しております。PGが本当にいないので34位で重ねてPGを取りに行ったのも良かったのではないでしょうか。新人二人にいきなりおまかせでは厳しいので、多分誰か堅実で新人の良い教材になるベテランPGをFAで取りに行くと思います。誰がいいかな、カリーかな。

マジックは選べる範囲でできる限りいい選手を選びましたという感じ。誰もケチはつけない感じ。うーん、これ以上特に書くことない感じ。

ブルズとウルブズのトレードについては批判的なことしか思い浮かばないです。ブルズファンとウルブズファンには申し訳ないんだけど、本当に不快な代物でしたね。まずトレード内容の妥当性を考えると、やはりブルズがバトラーを安売りした印象があります。シボドーが昨シーズンからバトラーを獲得を熱望していたことは明らかで、他に引き合いも多数あったため、バトラーのトレード市場は完全に売り手市場だったのだから、もっと条件を有利にできただろうと思います。ラヴィーンが来シーズンプレーできる試合数がかなり限られていることと来オフにRFAになることを考えると、バトラー(契約が3年残っている)対7位指名権+ダン(この選手もシニアドラフティーだ)でも安売りしている感があるのだから、16位指名権は出さなくても可能だったのではないか。全盛期を迎えたフランチャイズプレーヤーをこうまで安売りできるブルズGMの蛮勇ぶりは、よそから見る分には呆れを通り越してちょっと清々しい感じもしますが、怒れるブルズファンは石投げてOK、許可します。ウルブズ側の不快な点はラヴィーンを出したこと。そもそも、この手のプレーヤーを毎試合勝負が決まっても引っ張って長時間プレーさせ続けたらどうなるか、シボドーはデリック・ローズから学ばなかったのだろうか。さんざん使い潰した挙句当然のように壊して、それでトレードではいさようならってひどい話だ。シボドーはバトラーのトレードを主導したはずだし、社長なんだからトレードの内容に許可を出す立場なわけでしょう、本当に嫌な気持ちになります。トレードの一方が安売りしたとき、その相手方は得な買い物をしたことになりますが、だからといって「うまいトレードをした」とウルブズ側を褒める気には全くなりません。最低のコーチと最低のGMの最悪のコラボレーションがこの醜悪なトレードだったと思いますよ。ブルズの指名については足りないところにちゃんと選んだなという感じですが、ベルをウォリアーズに金銭トレードで出したのは謎。1巡目指名されててもおかしくないような選手を普通金で売ります?マルカネンとポルティスでPFが十分になったからというのであれば別のポジションで指名すればいいだけだし。なんで売ったのか理由が分からない。まず1年しっかり育成して、2年目の出来具合をみてその後のことを考えればいいと思いますが。毎年即戦力になりそうな選手ばかり指名するところといい、基本的に待つことができないんですかね。そういやDリーグチームもしばらく持っていませんでしたが、育成とかする気がないのだろうか。

ニックスは必要なポジションにいい選手を選びましたよ。問題は才能を消尽させない環境づくりをしてあげられるかどうかですよ、このチームの場合は。そしてそれが無理そうなのはご存知の通り。ポルジンギスほどのポテンシャルの持ち主でもスタッツに現れる限りでは1年目と2年目でほとんど質的な向上がみられない。NBA1年目から2年目の期間って多分1番と言っていいぐらいプレーヤーが成長する時期だと思うんですが。頑迷なフィル・ジャクソンをクビにするのが最大の補強なんだろうけど、いつもは悪い意味で行動力のあるドーランが、今や悪い意味で行動しなくなってしまった。仮にクビにしたとしてもドーランがまた悪い意味で行動的になるだろうし。関係者全員のHPをそこにいるだけで削っていく毒の沼地のようなニックスですが、ドラクエじゃないのでトラマナなど唱えられない。もはや立ち入らないのが一番という状況でしょうか。情けなや。今のニックスでプレーしたいと思ってるプレーヤーなんてほぼいないんじゃないでしょうか。

マブスはアスレチックで火力のあるPGという一番必要な選手をゲット。長期的に中心選手になっていく期待がかけられますが、よくも悪くもウェストブルック的なプレーヤーなので、非効率なボールを動かせないプレーヤーになってしまう恐れはありますが、カーライルならきちんと教育できるでしょう。人に恵まれたチームに指名されるのはスミスにとって幸運だと思います。

ブレイザーズ、ロースターの空きも3枠しかないし、10位と15位+20位の交換はうまい。しかしまさかPFを二人指名するとは。どんだけ現有PF陣を信頼してないんだ。信頼しろっつー方が無理か。アミヌが実質PFとして、PF5人。うーん、まあ取った二人は両方ともいい選手なので指名自体は悪くないのかな。

ホーネッツが謎ドラフトをしなかったのにはがっかり。残った選手で一番いいのを普通に指名しやがって……。ケチをつけるところがあるとしたらそれぐらいでしょうか。今年は謎ドラフトが少なくて寂しいですね。ホーネッツとキングスが頑張ってくれないと面白みが減るなあ。

ピストンズは、あ、そっち?という感じですが、足りないところに想定される選手を普通に取った形か。これも特に言うことないかな。非常に真っ当です。

ジャズはトレードしてミッチェルとブラッドリー。性格のいいウィングスパンのある選手を取るという実にジャズらしいと言うかなんというかな指名でしたね。最初ナゲッツがミッチェル指名したときは「またSG!!」と呆れましたがトレードして獲得したのが「またストレッチ4!!」だったので再び呆れました。ジャズがウィングにいかなかったのはヘイワード残留への自信の表れとKは受け取っておきますよ。あとやっぱり古典的Cは取るのね。ウィリアムス=ゴスもジャズらしい。全体的にチームカラーの出た指名だったと思います。

ヒートについて。Q.あのー、なんで?A.貪欲なハードワーカーが好きだからじゃい。とのことです。ホワイトサイドとどちらか片方だけという使い方はしないだろうから、サンダーみたいなダブルCの状況がどんどん出てきそうで、フロアのストレッチとかどうするんだ感。ディフェンスは次シーズンもまたバッキバキになりそう。まー、ヒートはスカウティングがかなりいいので結果的にやっぱり正解だった、という未来が来そうではある。

ジャスティン・パットンは全部がいい方に改善するとちょっとしたタウンズになりそう、とか書いたらタウンズのいるチームに指名されてしまった。PFという感じでもないので、シボドーがタウンズを壊してくれないとほとんど試合でれなさそう。ジェンも契約延長したし。シボドーって確かDリーグも全然活用しないよね。パットンが成長・活躍できる環境が整うということはウルブズにとって不幸な状況ということになりますし、ウルブズにとって順調な状況はパットンにとって不幸な環境になりそう。

バックスはポジションお構いなしとは書いたものの、まさかここまでとは。こりゃメイカーはCで使っていくということで確定か。なんか、全ポジションでかくてニョローンとしたのが揃ってる。

ペイサーズはあちこちのメディアで指名の評価が低いですが、結構良くない?2巡目でザ・センターという感じのアニボグも取れて、身体能力の高いスラッシャー型のコンボガードのサムナーも取れて、ほしいところにかなりいい素材を指名できていると思いますが。ウィングとPGも必要ですが、18位、47位、52位で指名するならこれでケチはつけられないでしょう。与えられた条件の中では十分良い選択をしたと思いますけどね。来年は今の所ウィングが充実しているみたいですし、長期で見ると悪い指名とは思えない。

ホークスは会心の指名ではなかろうか。点とリバウンドを取れるPFというホークスが一番必要としている選手がよく残ってたなあ。また、このチームならシューティングレンジもちゃんと広げられるだろうし、チームとコリンズの双方にとって最良のマッチングだと思います。バスケットボールIQがアレでディフェンスがひどいらしいのでそのへんの伸びしろが怪しいですが、なんとかするしかない。なんとかして。

サンダーはアスレチックな3&Dのウィングがほしいということかな。来季サンダーはサラリーキャップに全く余裕がないと言うか多分タックスラインをぶっちぎると思うので、ディフェンスは出来ても点を取れないロバートソンと高額の契約延長をするとは考えにくい、他のウィングはオフェンスかディフェンスのどっちかがさっぱりな選手が多いのでファーガソンに両方できる選手になってほしい、ということでしょうか。まあ、ああいう戦い方をしている以上誰が来てもシューティングの悪さはどうにもならないと思います。サンダーに来る前、シングラーはなかなか良いシューターだったことを思い出そう。プレーヤーの問題じゃなく戦術の問題ね。ボールが動かないチームのシューティングが改善することはないし、サラリーキャップ的に優秀なスコアラーが入ってくることもないので多分戦術も昨季とあまり変わらないでしょうから、来季は良くて現状維持ですかね。ファーガソンはフィジカル的に仕上がってないので、最低1年は育成期間が必要なのではないかと思います。

ネッツはドラフト以前にトレードが見事。どん底感は相変わらずだし短期的に良くなることはないだろうけど、少なくともその環境の中で長期的視点から打てる手は最大限に打っていて大変良いと思います。ロベス兄はどん底ネッツを長年支えてくれていたわけですから、できればもっと長くプレーしてほしかったという感もありますが、仕方ないか。ラッセルは心機一転ネッツで頑張ってほしい。アレンも22位では本来指名できない選手だと思うので良かったと思います。2019年にようやくドラフト1巡目指名権が使えるようになるので、あと2年は地ならし期間だな。ショーン・マークスGMの手腕は見事ですが、もうドラフト指名権と交換できるような資産がないので、来オフは今まで以上に難しいオフになりそうです。キャップルームがスカスカなので今年もRFA選手へのネッツ爆弾が炸裂しそうで非常に楽しみ。ブレイザーズはおかげでスカスカキャップルームからタックスライン超え目前まで急進しててすごかったですね。他所のチームに同じことをしていたので因果応報ですが。

ラプターズは安い買い物をしたのではないかと思います。シューティングはだいぶ怪しいですし時間がかかるでしょうが、このレベルのディフェンダーはそうはいないと思います。1年目はしっかりリハビリと育成に注力して、戦力として期待するのは2年目からでしょうか。

ナゲッツは去年エルナンゴメス取って更にストレッチ4を二人ですか……ダレル・アーサーもいるし……。シューター型のSGも4人ぐらいいてバランスが悪いっすね。実際今シーズン3Pポンポンチームになって得点効率がいいのだから、こういう方向に傾くのも分からいではないが。ロケッツみたいにC以外全員シューターみたいな方向に行きたいのかも。

2巡目はいい選手いっぱい。各チーム好きそうな選手を取ってるなあ、という。ハルテンシュタインとアニボグはここまで落ちたか、モトリーが指名されなかったのか、という部分は驚きでした。

今年は荒れなかったのであんまり面白くなかったし全体的に書くこともないですね。キングスが今年もSGを指名して我々の知性の限界を試してきたり、ジョーダンが「ワシャ大学で実績を残した者しか認めん!」と怒りのフランク・メイソン11位指名とかやらかしてたら大喜びでしたがそういうのもなかったので。来年は大荒れの指名を期待。おわり。

NBAドラフト予想2017

個人的に毎年やってるもので

概要。

  • ポジション分析が大前提。
  • 置きに行きません。
  • スパーズ以外のチームに関して詳しくありません。
  • 故にめちゃくちゃ当たりません。

FAやトレードを考慮すると極端に複雑になりますし、そもそもそんなことを予想するのは不可能なので基本的に考慮しません。単純に今の戦力やスタッシュしているプレーヤーのポジションからどこが長期的に足りないかをみて予想します。予想するのは1巡目だけで2巡目はやりません。

1位セルティックス……マーケル・フルツ

ガードとウィングは揃っていて足りないのはビッグマンなんだけど、今年の最上位はPGとウィングなのでどうもこうも。去年PFとCにスタッシュしているのでそこも長期的にはそんなに苦しくないか。素直に一番いい選手を取るのではなかろうか。スマートはいくらディフェンスが良くてもあのシューティング(しかもほとんど成長してない!シューティングコーチおらんの?)ではどうにもならんし、スターターの2人のガード(とインサイド)はサイズがなさすぎてサイズのあるラインナップをぶつけられると脆いしで、結局早くに台頭していくのではないでしょうか。ブラッドリーが元々PGだったことを考えるとガードが全員PGというウルトラ偏った陣容になりそうで楽しみ。

2位レイカーズ……ジョシュ・ジャクソン

ロンゾのオヤジが息子をレイカーズに入れたくて入れたくてしょうがないという感じですが、レイカーズが誰を入れたいかが問題であってその逆ではない。基本的には全ポジション足りないのだろうけど、ガードはその中では力のある選手がいる方で、相対的に薄いのはウィングとCでしょうか。ということでウィングの1番いい選手にしときましょ。外のシュートが弱いですがスラッシャー型かつゲームメイカー型のウィングなのでイングラムとも違う個性がある。今時は2ガード1ウィングよりも1ガード2ウィングのほうが主流に近くなってきているし(2ガードがメインのチームはディフェンスで苦しみがち)、イングラムとジャクソンのサイズと身体能力のある2ウィングとか攻守両面で相手は嫌だと思いますよ。まあ、ピック&ロールをたくさんしたいならロンゾ・ボールのほうがいいと思いますが。なお、大学時代3P%が素晴らしかったラッセルとイングラムNBAではかなり落としているように、3P%は個人の能力よりもチーム全体の戦力と戦い方に左右されます。また、NCAANBAでは3Pラインの距離がかなり違います。したがって、ロンゾが来たら3Pが改善されると考えるのは間違いです。むしろあの変なフォームでシューティングレンジを伸ばせるのかを懐疑的に考えたほうがいいと思います。高校時代は3P%が悪く、FT%も現段階でかなり悪いのだから。

3位シクサーズ……フランク・ンティリキーナ

マジで。まずチームとしてシモンズをPGとして使うつもりであるということが大前提。そんでCとPFは分厚すぎるぐらい分厚い。ウィングもスタウスカスが本格化してきたしルワウ=カバローも良くなってきてたし更にコークマズもスタッシュしてるしで結構厚い。足りないのはガード、それもPGだけ。で、シモンズがゲームメイクするなら、必要とされるPGとは、ちゃんとディフェンスができキャッチアンドシュートで3Pが打て、もちろんその選手はその選手でゲームメイクできなければならない、かつこういう役割を受け入れられるメンタリティとか人間性がいるわけです。となると全部揃っているのはンティリキーナだけなので、こうなります。

4位サンズ……ディアーロン・フォックス

常識的な見地から:ガードとビッグマンはもう十分います。必要なのはウィングです。場合によってはCもです。でも、今年の4位指名権を行使するならPGかSFですよね?だったら残ってる中で一番いいSFのジェイソン・テイタムで間違いないですね?いやあ、実に簡単な話じゃないですか。

医学的な見地から:サンズのフロントは「ケンタッキー大出身のガードしか活躍してくれない」という経験から、ケンタッキー大出身のガードを獲得しなければいけないという強迫観念にとらわれています。4位指名権を使えば今期のケンタッキー大で最も評価されているPGを指名できますし、ここで指名しなければもう指名できる可能性はありませんのでフォックスを指名するでしょう。この症状に効く薬があるわけではないので、ケンタッキー大出身のガードじゃない選手に活躍して貰って粘り強く回復を待つしかありませんね。おだいじに。

5位キングス……ジョナサン・アイザック

キングスで必要なのはPGとSF、10位にトップレベルのSFが残っている可能性はない一方でPGが残っている可能性はあるので5位はSFに使うほうがいいでしょう。で、テイタムとアイザックでなんでアイザックかと言うと、アイザックのほうがロングレンジの質が高いから。今のオーナーのもとでキングスはデータボール的なチームづくりの方向性を目指していることはある程度明らかで、そうなるとミッドレンジ中心で身体能力も特別高くないテイタムよりは、3Pが打てリム付近までボールを持っていけるサイズと身体能力があるアイザックのほうが効率的でチームの方向性に合うでしょう。

6位マジック……ロンゾ・ボール

マジックほど特徴のないチームがあるだろうか。全てのポジションが少しずつ劣っている結果全体がすごく劣っているという、逆にどっから手を付けていいかわからない状況ではないでしょうか。フォーニエがめちゃくちゃバスケうまい、ぐらいの印象しかないっす。チームの方向性もよくわからないし。よくわからないからとりあえず残ってる選手で一番評価が高いやつで予想しときますね。オヤジの面倒もよろしく頼む。

7位ウルブス……ラウリ・マルカネン

とりあえずガードは十分いる、インサイドも厚いしウィングもなかなか、どこが長期的に必要か判別しにくい。多分、ラヴィーンとウィギンズとタウンズがコアになるのでしょう。となるとそれ以外のポジションで長期的にいい選手がほしいのはPFかなあ。それもストレッチ4。じゃあマルカネンかな。あまりしっくり来ませんが、消去法的にこんな感じで。

8位ニックス……ジェイソン・テイタム

カーメロ・アンソニーを出したくて出したくてしょうがない状況なのに、似たようなタイプのテイタムなんか取るか?という感もありますが、さすがにアンソニーよりはボールを動かせるだろうし、若手なんで教育していけばなんとかなるでしょう。PFとCはなんとかなりそうな一方でガードが全く足りませんが、リーが素晴らしい活躍かつ長期契約をしているのでSGはぎりぎりなんとかなるとして、PGは本当にヤバイ。かと言ってボールを持ったら離さないデニス・スミスが来ようものなら更におかしくなりそう。うーん、やっぱりテイタムか。ガードはFAでなんとかして。ポルジンギスが言うには若手が成長できる環境が整ってないということなので、誰が指名されるにしても自分の力で頑張ってください……。

9位マーベリックス……デニス・スミス

どのポジションも半端にプレーヤーが揃っているので意外と予想が難しい。本来はこんなに成績落とすようなチームじゃないし。とりあえず長期的にみて薄そうなのはPGとPFか。となるとスミスというのが一番合理的かな。PGは少ない割にアンダーサイズの優秀なSGは何気にたくさんいるのでモンクだとちょっと過剰だし、PFでザック・コリンズなどというのもありかもしれませんが、ディフェンス力よりも火力がほしいはずなのでやっぱスミスだな。

10位キングス……マリック・モンク

おーいPG残んなかったぞー。どうしよう。順番で決めればモンクなんでしょうが、そこキングスで過剰なほど分厚いポジションだし、スタッシュしてるやつまでいるし(しかもかなり優秀)。あともうビッグマンとSGしかいねえよ。PFやCも同じぐらい分厚い。しょうがない、一応高校生のときはコンボガードだったみたいだし、サイズ的にはNBAのSGとしては厳しいし、モンクにPGやってもらおう。実際モンクにPGのスキルがついたらリラードみたいになるかもわからんし。

11位ホーネッツ……ザック・コリンズ

ガードはなかなか充実していて、ウィングもまあキッド=ギルクリストがもうちょっと成長してくれればというところで、インサイドもいるっちゃいるような。基本的にはフロントコート陣が補強ポイントでしょうか。チームスタッツを見るとTOV%が低くFTでかなり得点が取れて逆に相手にFTを与えないためまずまずのレイティングになっていますが、eFG%は低く対戦相手のeFG%は高いので基本的にはオフェンス力もディフェンス力も低いと言えますし、またOREB%もかなり悪いのが厳しいです。攻守で効率がよくOREBを取れる選手となるとザック・コリンズでしょうか。OREB力で言うとジョン・コリンズでもいいかもしれませんがディフェンス面での評価が多分こっちのが高いし、サイズ的にCでも行けるので。なんかコンセンサスと一致してしまってつまらんな。このチームは比較的謎ドラフトをしがちなチームで裏切ってくれると思うのでそれを期待。

12位ピストンズ……ドノヴァン・ミッチェル

インサイドがギッチギチ。屈強なビッグマンたちが狭い部屋にギッチギチに詰まっている光景を想像してしまいますよ、このチームは。足りないのは明確で、SGで3Pを打てる選手。ミッチェルかケンナードが妥当な線で、ミッチェルのほうが身体能力が高いですしディフェンス力もあるので、あまりアスレチックな印象のないピストンズにとってスパイスにもなりディフェンス力のさらなる強化にもなる。あと明るく性格のいい選手らしいのでSVGのおやっさんとも楽しくやってけそう、という印象論でミッチェル。

13位ナゲッツ……OG・アヌノビー

ナゲッツについて考えるとき、いつも「なんでこれだけメンツが揃っていてプレーオフに出れないのか」と思ってしまう。各ポジションに水準以上の選手が揃っているのに。まあ、一番身も蓋もない理由は「ナゲッツがウェストのチームだから」ということでしょう。82試合中52試合もレベルの高いウェストのチームと戦わなきゃいけないんだもの。イーストのチームとの対戦成績は16勝14敗で勝率.533ウェストのチームとの対戦成績はウェストのチームとの対戦成績は24勝28敗で勝率.462、仮にナゲッツイーストのチームだったら52*.533+30*.462=41.6なので42勝してプレーオフに出れた可能性が高かったんだよね。地獄ウェスト、哀れナゲッツ

ということで現有戦力の底上げで十分です補強ポイントなんてものはないです。とも言ってられないが。強いて言えばSFかCが足りないかと思いますが、リーグ最高レベルのオフェンス力と最低レベルのディフェンス力を兼ね備えた超ピーキーなおもしろチームに必要なのは多分まともなウィングディフェンダーもだめなんだけど、どっちかと言うと外のほうがだめだと思うので。ということで全体的な評価とウィングディフェンダーとしての能力・ポテンシャルを加味してこうなりました。

14位ヒート……T.J. リーフ

FAが大量でロースターがスカスカなのですが、とりあえずガードは比較的厚い(リチャードソンかウェイターズは残すだろう)、ウィングもウィンズロウがいる(もっとできるはず)、Cはホワイトサイドがいる、となるとPFかな。ディフェンスは今年も良かったので、欲しいのは得点力のあるPFということになろうか。ジョン・コリンズはわりとCに近いPFで、効率はいいけどフロアをストレッチする力やボールを動かす力に疑問あり。ホワイトサイドとも役割を食い合う。ジャイルズも実質Cみたいなもの。となるとリーフでしょうか。

15位ブレイザーズ……ジョン・コリンズ

ロースターがすでに12枠埋まっとる。ノンギャランティーのエジーリ、クォーターマン、コノートンは多分クビでしょ。5分類法で空いているポジションはPG、SG、Cとなるのでそのへんが埋まるべきでしょうが、ほんとうに薄いのはフォワードなんだよなあ……特に頭数だけは多いPF。このチームはとにかくガード軍団がボンボン3P放りたいチームだと思うので、オフェンスリバウンドが取れてインサイドで確実に点が取れる選手、ということでジョン・コリンズではないでしょうか。ブレイザーズのディフェンスは非常に悪く、特に外を致命的に守れないわけですが(インサイドは悪くない)、ディフェンスの弱いガード3人を中心に回しているのでどうにもなりません。でもその3人で高火力を実現しているのでトレードオフですな。諦めて。

16位ブルズ……ジャスティン・ジャクソン

毎年のように1巡目で4年生選手を指名するシニア大好きブルズに試練の年!この順位で指名すべき有力4年生ドラフト候補がいない!現時点で相当仕上がっている選手ばかり指名するチームなので、この辺の順位でないと指名できない選手でシニア力(なんだそりゃ)の高い選手となるとジャクソンですかね。22歳だし。ウィングは比較的厚く本来であればPFのほうが優先度高いですが、他のビッグマンは素材型の1年生ばっかりで年増好きのGMの陰茎が勃たないと思う。今期トレードで入ってきたグラントも2015年ドラフトの19位指名のシニアで、ブルズはそのみっつ後で2年生のポルティスを指名しましたが、多分本命はこっちだったんだと思う。怖い……。

17位バックス……イケ・アニボグ

こっちは逆に完全なるポテンシャル志向。アデトクンポで味をしめたのか、とにかくサイズがあるとか身体能力が高いとか若いとかそういう志向ですね。パーカーがいるのに去年同じPFのソン・メイカーを指名したりポジションもお構いなし。ポジション的にはPGかCなんでしょうけど、ブログドンをPGとして扱うならCのほうが薄いですね、そしてこのポジションには今ドラフトで最も若く最も洗練度が低く最も素材の味が濃厚なアニボグという選手がいますね、ってことで。

18位ペイサーズ……ハリー・ジャイルズ

ウィングとビッグマンは充実。PGだけがいない。かと言ってこの順位で指名するべきPGもいない。てかなんでこのチーム勝てなかったんだろう。50勝ぐらいしそうなメンツだと思うんですが。数字を見る限りでは3P%はいいけど本数が少なく、相手には結構3Pを決められていた、というのが効率で差をつけられたところか?あとリバウンドが弱い。よくみたらターナー以外にCらしいCがいないのな。ターナーもCらしいCかと言われるとちょっと違う感じもするし。となるとシューターかCか。3Pを打てる選手は現にそれなりにいるので、リバウンドに強いCを取るのがいいでしょうか。てことでジャイルズ。アレンとパットンよりもおそらくリバウンド力が高いので。ポテンシャルの評価が非常に高いのと怪我のリスクが大きいので、なんならトレードのダシにしてもいいでしょう。3&Dのウィングを取るとしたらオジェレイもアリかもしれませんが、この順位だとやや微妙だし、これもジャイルズをトレードに出して他から計算できる選手を取ったりするほうが確実か。予想が難しいです。

19位ホークス……アイザイア・ハルテンシュタイン

FAでごっそり抜ける。一応ガードとウィングとCはいるけど、シュローダー以外は絶妙に頼りない。プリンスあたりは飛躍しそうな感じがしますが。ベイズモアとの契約が重荷になってますね。必要なのは点が取れるPFか、ということでハルテンシュタイン。全く自信なし。リバウンド力も込みでスワニガンなんてのもあるかもしれないけど、走力とディフェンス力のなさはこのチームでは問題でしょうね。

20位ブレイザーズ……ルーク・ケンナード

君らの好きそうなSG残ってたぞ。次はPGだな。

21位サンダー……ジャウアン・エヴァンス

まずドラフト指名権を持っていることにびっくり。なんか前オフから自分とこに戦力的に有利なトレードばっかしてませんでした?それでなお指名権残してんの?どんだけ交渉がうまいんだプレスティ……。とりあえず足りないのは2番手PGか堅実に点を取れるPFか。3P%の悪さはプレーヤーの問題じゃなくウェストブルックにボールを集中させてボールが動かない戦術の産物なので誰が入っても良くなりません(それであの数字を残しているアブリネスがどれだけ優秀か)。なのでシューターを求めなくても良いでしょう。PFはサボニス取ったばかりだし、アダムスとカンターのダブルCでプレーすることもあるみたいだし、PGのほうが深刻ですかね。ということで思い切って正統派PGのエヴァンスでどうですか。プルアップ3Pも打てるし。じゃなかったらラブかな。

22位ネッツ……アンジェス・パセシニクス

全部足りない。強いて言えばPGとCにしっかりした軸がある、というぐらい。ウィングはルヴァートとホリス=ジェファーソンが有望。SGはキルパトリックが素晴らしかったし契約も残ってる。つーとPFですかね。チームの方向性が、とにかく早いペースで3Pをボンボン打つというあれを極端に突き詰めたあれなので、走れて3Pを打てるPF。更にOREBが取れないこととリム付近で点を取れないことが問題なのでそれも解決できる選手。これ全部解決できそうな選手はパセシニクスぐらいか。走れて中も外も抜群に得点効率が高い、リバウンド数はやや少ないもののOREBの比率が高くOREB%はレベルの高いスペインリーグで9.8%アレンが10.9%パットンが7.5%ウィルソンが6.7%ラブが10.7%なのでこの辺で指名できそうな他のビッグマンと比べてもOREB力に差がないと言うか十分優れている。まあ、この選手はPFじゃなく普通にCなんだけども要求満たせばそれで十分でしょう、ポルジンギスもっとでかいし。

23位ラプターズ……ケイレブ・スワニガン

C大国。ノゲイラくれや。基本的にどこもかなり揃ってます。ロウリーが残る前提で考えてPFか?比較的古典的なタイプのPFは去年取ってるし同じタイプのラブには行かないかなあ。ロウリーとデローザンでもりもりFT稼ぎまくりな一方で、eFG%は特別優れていると言うほどでもないし3PAが少ないのでストレッチ4が欲しい感じですかね。ウィルソンやライドン、クズマもいますが技量的・効率的にはスワニガンのほうがかなり上なのと、ラプターズのゆったりしたバスケであればスワニガンの悪いところが比較的消えるので。

24位ジャズ……ジャレット・アレン

ウィングかCか。ヘイワード残留には全力を尽くすと思うし、ホイホイ金だリングだで他所にいくようなタイプでもなさそうなので残る前提で実質1枚しかいないC優先。ジャズは古典的Cが活躍しやすいプレースタイルだと思うのと何故か良いCが残っちゃったのでアレン。ちなみに、ジャズはスパーズ以外で一番スパーズっぽいスカウティングしてると思うので(GMがスパーズ出身の今の人になってから特に。デロン・ウィリアムスで散々苦労させられた経験もあるでしょう)、実際のとこオジェレイ持ってかれそうで怖い。

25位マジック……D.J. ウィルソン

何気にウィングとCはいるんだよな。PFかな。ゴードンが外のないPFで、全体的に中より外が悪いのでウィルソン。走れる選手なので比較的試合ペース早めのマジックにもいいでしょう。サイズがあってフットワークが良くディフェンス面でも全体をカバーできるので、ディフェンスが全体的に悪いこのチームにはいいのでは。てかスタッツをどの角度から見てもいいところがマジで一つもないぜマジック。1試合あたりの得失点から計算するBBRの予測勝敗では24勝で全体29位になるんだけど、これで実際には28勝させたヴォーゲルはやっぱり名将。

26位ブレイザーズ……デリック・ホワイト

はいPG。

27位ネッツ……テレンス・ファーガソン

トランジションに強い3Pが打てる選手、ということでぴったりのが残ってしまった。

28位レイカーズ……ジャスティン・パットン

これも実際にはあり得なさそうなのが残ってしまった。こうしてみてみるとどこのチームも意外とCはいる、そして古典的なタイプのビッグマンは需要が弱い。パットンは3P%を見るとすごい外が強い感じがしますが、実際はほぼペイントで点を取っている選手で、スピードという意味でも距離という意味でもとにかく走れてアクティブ、どちらかと言うと平面のディフェンスで怖いタイプ。でもリバウンドは弱いしリムプロテクターとしても飛び抜けているわけではない。Cにリバウンド力を求めるチームもリムプロテクトを求めるチームもフロアのストレッチを求めるチームもいまいち指名しにくいという。全部がいい方に改善するとちょっとしたタウンズみたいになりそうではある。やっぱりちゃんとしたシューティングコーチのいるホークスあたりの案件ですかね……でもリバウンド力のないインサイドで苦しんできたチームなので手が出なさそう。

29位スパーズ……アイヴァン・ラブ

はい。別に残そうと思ってたわけではないんだけど、真面目に検討するとこのタイプのPFはやっぱ需要がない。去年エントリーしてたらロッタリー指名が有力だったと思いますが、その選手が1年待っただけで1巡目下位から2巡目上位ぐらいに落ちるというのは、去年のドラフトがレベル低かったのか今年のドラフトがレベル高いのか。

30位ジャズ……セミ・オジェレイ

はいウィング。

以上でーす。

6/20 19:45追記

セルティックスの持つドラフト1位指名権とシクサーズの持つ3位指名権と将来の1巡目指名権のトレード成立ポール・ジョージが来オフにレイカーズへFA移籍する可能性が高いという信憑性のある報道が出たため予想を一部変更します。

  • 2位レイカーズ……ロンゾ・ボール
  • 3位セルティックス……ジョシュ・ジャクソン
  • 6位マジック……ジェイソン・テイタム
  • 8位ニックス……フランク・ンティリキーナ

ポジション分析については本文のとおりです。

2位について。3ウィングというのはウォリアーズの最も強力なラインナップやホークスのようにウィングが充実していたチームがよく使うラインナップで、3ガードや3ビッグマンはオフェンスかディフェンスに看過できない偏りが出るためほぼみられない一方、3ウィングはNBAでは比較的みられるラインナップになっています(ウォリアーズとホークスはともにディフェンスがとてもいいチームで、3P中心の時代においてウィングはオフェンス以上にディフェンス面で重要です。5分類法のSGとCの役割が縮小した分、ウィングとPF、特にウィングの役割が拡大してきているというのが今の流れでしょう)。しかしながらスターターから3ウィングというのはめったにありません。ましてトップレベルの才能を持ったウィングを同時に3人抱えることは宝の持ち腐れになる可能性が高いので、またペイサーズがポール・ジョージを一時PFとして使用したときに上手くいかなかったことを鑑みて、レイカーズがウィングを指名する可能性は大幅に減ったと思われます。となるとガードで指名するならロンゾ・ボールでしょうか。非常にありきたりなつまらない結論になってしまいましたが、長期的かつ合理的に考えるとこうなってしまうのでしょうがない。

3位について。1位でフルツを取らないということはガードを取らないということとほぼ同義ですので、ウィングで1番いい選手のジャクソンを指名するのでしょう。このチームもクロウダー、ブラウンともう一人のウィングとのバランスが悩ましいところです。トーマスとエイブリーの2ガードが基本なので2ウィングのラインナップですら組みにくいのに、3ウィングというのは非常に難しい。どうすんの。

6位と8位については本文でした説明通りです。

トレードがあればまた必要に応じて予想を変更します。