読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

だいたいNBA

Kだよ。だいたいNBAのことを書くのです。だいたいスパーズのことを書くのです。

どうしてビッグマンはフリースローを決められないのか

NBA

というテーマの記事をESPNのトム・ハーバーストロウ記者が書いている。タイトルと画像をざっと見た時は完全に物理学的・技術的な話だと思ったのですが、全然違いました。要はこれ、心理的な問題、いわゆるイップスなんですよ、これはたくさん練習したからといって解決できないんですよ、という話。面白いけど長いので、要点だけ意訳して箇条書してみよう。

  • フリースローが上手い選手は、ビッグマンがそれを決められないのは練習不足だと思っている。もっと練習したまへ!
  • よく言う「手がでかいとボールが相対的に小さすぎてコントロールが難しい」という理屈は、シャックと同じぐらい手のでかいレナードが87.4%も決めている事実や、アルビダス・サボニスが現役時代最も手の大きい選手と言われていながら80%以上決めていた事実を考えると間違いだろう。NBAドラフトコンバインで手のサイズを図るようになってからもっとも大きいアンドリュー・ニコルソンが78%、身長に比して最も小さいマイケル・カーター=ウィリアムスが69%というあたりからもおかしい理屈だ。
  • ビッグマンと呼ばれる選手とそうでない選手の違いは背の大きさで、フリースローにおいて両者の物理的な違いはリリースポイントの高さだけ。ノビツキーみたいに非常にうまいビッグマンもいる。良いシューターはリリースポイントやボールの角度などの技術的な構成要素が常に殆ど変わらないが、ダメな選手はこういった要素が打つたびにバラバラになっている。だから物理的要因が結果の違いを生むということは全く無い。
  • 20歳から40歳までの身長7フィート以上のアメリカ人男性の17%がNBAプレーヤー(!)で、母数自体が小さいので、ビッグマンは子供の頃から、他のことが良ければフリースローが下手でも淘汰されない環境で育っている。
  • ドワイト・ハワードは練習では70%代後半の成功率なのに試合では48.9%、アンドレ・ドラモンドは練習で65%の成功率なのに試合では35.5%の成功率で、ふたりとも30%もギャップがある。試合という状況下になると劇的に成功率が下がるのだから、これは技術的な問題ではなくて心理的な問題、つまりイップスなのだ。
  • イップスは、正確さを要求される仕事に直面し、それに失敗するリスクを意識するときに起こる。無意識的に起こるものではない。
  • デアンドレ・ジョーダンは「エアボールはするな、エアボールしなきゃそれでいいぞ、シャクティン・ア・フール入りはしたくない」とフリースローの時に考えているとJ.J.レディックに語ったそう。シャックによって自分の恥が世界中にさらされるのは恐ろしいようだ。「他のプレーの時は注目が一点に集まることはないが、フリースローの時はそれだけが注目される」とも。
  • アンダーハンドスローはじつは良い投げ方で、ウィルト・チェンバレンが100点ゲームを達成した試合では下手投げで28/32という好成績を残し、その年に61.3%というキャリアハイを残したが、カッコ悪いと感じたためにやめてしまった。リック・バリーによると、シャックは「下手投げにするぐらいなら0%シューターになったほうがマシ」と言って指導を拒否したそう。恥ずかしいという感情はかなりプレーヤーを阻害する。
  • ハワードいわく「フリースローのことをより多く考え始めると、入らなくなり始める。それでミスしないようにたくさん練習すると全く入らなくなる。フリースローは完全に心理的な問題。練習じゃ外さないのに、試合になって「あいつまた外すぜ」って声が聞こえると、それが脳裏にこびりついてしまう。フリースローになると会場の注目が一点に集まって、チームの欠点(=ハワードのフリースロー能力)が全世界に広がってしまう。他の選手だって欠点はあるけど、フリースローみたいな注目のされ方はしないんだよ」
  • スポーツのトッププレーヤーに一度なったら、より良い結果を得るのにより多くの練習をこなす必要はないという研究がある。練習で慣れは作れるが、心理的な問題は解決できない。他のプレーの時は考える時間はないが、フリースローの時はそれがあるためイップスに陥りやすい。フリースローの前に、気持ちを落ち着けて集中する方法を身につけなければならない。

 意訳ですよー。離れたセンテンスをつまんで繋げてるところもあるし、間違って理解しているところもあるだろうからあまり信用しないように。ハワードとかジョーダン、ドラモンドなんかは「練習してないからうまくならない」みたいな捉え方をされがちだとは思うんですけど、実際は練習するほど入らなくなる状態みたいで、今までで一番練習したのに自己ワーストみたいな時があった(というか今がそうなのか)ようで、なんかもう可哀想になってくる。ハワードが、バスケットボールキャンプできた子供に「うちの父ちゃんがお前のフリースローはクソだっていってたー」と言われたエピソードとか、もうキツすぎ。ハックされること自体が「お前のフリースローはクソだな」と相手チームに言われてるのと同じことだし、それで自チームの足を引っ張っていると認識させられるわけだから、それもキツイ。「失敗したら馬鹿にされる」という心理のせいでイップスになり、それを克服するために猛練習して、それでも失敗してまたバカにされて心理的な泥沼に陥るという負のスパイラル、よく耐えられるよな。いや、耐えられてないから成功率が向上しないのか。とりあえずKはもう君らのこと馬鹿にしないよ……。