だいたいNBA

Kだよ。だいたいNBAのことを書くのです。だいたいスパーズのことを書くのです。

諸々の情報

オルドリッジ自身がトレードの噂を否定

この間のトレード話は「オルドリッジはスパーズでの自分の立ち位置に不満なのではないか / スパーズはオルドリッジの仕事に不満なのではないか」という憶測だけを根拠にして始まった・広まった感がありましたが、スパーズがトレードを画策しているないしオルドリッジがトレードを求めているというような話について、当の本人が「トレードの話なんてクラブの誰からも聞いたことがない。自分がスパーズに不満があるなんて噂には賛成しない。自分はここで幸せだ」といっている以上、この話題は一旦ここで終わりでしょう。「日々ポポヴィッチと対話する中で、去年よりもさらにチームを引っ張るような働きをすることを求められている」というようなこともいっていて、これからトレードしようとしている選手にそういうこと求めるかね、という感じですな。

前回書いたようにこれからもこういう話は出るでしょう。こういうのにはさっさと慣れて流せるようになるのが精神衛生上一番いいと思います。スパーズは組織的に安定しすぎていて、中心選手のトレードなんてまず話題に出ないし、出たとしても非現実的すぎてスパーズファンは余裕でスルーできたわけですが、オルドリッジはFA加入で多少生々しさがあるせいか、大きなトレード話に慣れてないスパーズファンがうろたえている様子が全世界的に見れて面白い。月イチぐらいでカズンズのトレード話が出るキングスファンから見たら軟弱極まりない有様であろう。

スパーズがカイル・アンダーソンの4年目のチームオプションを行使

オフィシャルリリース。まあ当然っちゃ当然。4年目の年俸は215万ドルぐらいですが、今の段階でも余裕でそれ以上の価値がありますし、成長スピードも順調そのもの、CARMELOだと来シーズンから5年間で7570万ドルの価値のある選手と評価されてたりする。高え!正直そこまでの価値はないと思いますが、しかし一般的に考えられているよりもはるかにいいプレーヤーなのは確かだと思います。彼のスタッツを眺めても、どこがそんなにいいんですかねえ、と言われそうな地味な数字の並び。特に一番目を引きやすいシューティング関係が地味。身体能力が低いかつプレーがなんか不格好で、実際のプレーを見てもいい選手に全然見えないし、どこがどういいのか説明するのが本当に難しい。Kも「説明しろ」と言われたら言葉に窮するのですが。とりあえずBBRの2014年ドラフト指名選手のページで各項目でソートしてみると、すべてのスタッツで指名順位(30位)より上であることがわかりますが、何より、発展的な指標(Winshare、48分あたりWinshare、Box Plus/Minus、Value over Replacement Player)が全て10位以内に入っています。あとD3P%がめちゃくちゃ良くて、ペリメーターディフェンダーとしてはかなり有能でディフェンス面での効率がいいとか、比較的新しい種類のデータで貢献度を測るとより高く評価される傾向のある選手と言えます。あと実際に見ててもカバーディフェンスを手を抜かずにやる、ちゃんと相手のシュートに食らいついていく、PFで使われるときはスクリーンを誠実にかけるなど数字に出にくい貢献をしっかりする選手で、怪我もしないし、どこのポジションでも使えるし、アンセルフィッシュで堅実だしで、使う側としてはいてくれると最高に助かる選手だろうなと思います。これで3Pがもっと入るようになればロールプレーヤーとしては究極と言えます。

ダニー・グリーンが左太ももの負傷で3週間の離脱

ギャース!痛え!なんぼシューティングが本調子でないといっても、グリーンのオフボールの動きでフロアにスペースを作って他の選手のオフェンスを容易にできますし、SGとしてリーグ最高のディフェンダーなのは間違いないので、この離脱は確実にマイナスです。しっかり休んで完璧に直してから復帰して欲しいっす。多分グリーンの代わりのスターターはシモンズになると思うので、チャンスだと思って頑張ってほしい。無駄なファールは減らしてね。

スパーズがジョエル・アンソニー、ライアン・アーチディアコノ、パトリシオ・ガリーノ、リヴィオ・ジャン=シャルルをウェイブ

オフィシャルリリース。これはつまり保証契約をしていた14人の選手のうちジャン=シャルルを外して、ニコラス・ラプロヴィットラとブリン・フォーブスを開幕ロースターに残すということです。というわけでこの前した予想は大外れということで。これで開幕ロースターはポジション別で見ると、

  • PG:パーカー、ミルズ、マレー、ラプロヴィットラ
  • SG:グリーン、ジノビリ、シモンズ、フォーブス
  • SF:レナード、アンダーソン
  • PF:オルドリッジ、リー、バルタンズ
  • C:ガソル、デッドモン

ということになります。ガード厚すぎ。リーはC兼任、バルタンズはSF兼任、アンダーソンはPF兼任、シモンズはSF兼任、マレーはSG兼任ということで複数ポジションでプレーできる選手が多いのはいいけど、フロントコート陣は一人怪我しただけでもやりくりがきつくなります。マレーとフォーブスは多分ほとんどDリーグでプレーするでしょう。 パーカーを休ませた時に2番手PGとしてマレーではなくラプロヴィットラを使えるというのはかなりの安心材料とは言えます。ふたりとも契約は2年目チームオプションの2年のルーキーミニマムということになるでしょう。

それにしてもジャン=シャルルをウェイブしたのは驚きました。ドラフト1巡目氏名選手の契約なので2年間約240万ドルは保証されているので、そこを切るというのは難しい決断だったのではないかと思います。今見たように、フロントコート陣は一人怪我しただけでやりくりが大変になるので。先日SAENのジェフ・マクドナルド記者が「キャンプディールを結んだ選手から二人残すことはありうるか」という記事を書いていたのですが、その中で「切られうるとしたらジャン=シャルル」と書いていて、可能性としてはゼロではないだろうけどまあないだろうなと思っていましたが、本当にそうなってしまった。もっとも、マクドナルド記者は残るとしたらフォーブスとアンソニーだと思っていたみたいですが。ポジションにかかわらずプレーの内容が最も良かった二人を残して、一番内容が悪かったジャン=シャルルを切った形でしょうか。単純に内容が悪いというだけではなく、伸びしろが期待していたよりも少ないという判断なのかもしれません。うーん、不毛の2013年ドラフト組がますます不毛に……。

大丈夫か、ハリソン・バーンズ

プレシーズンの試合のボックススコアを適当に流し見していた時に気づいたんですけども、バーンズのスタッツはこれ、いくら何でもひどすぎませんこと?プレシーズンのスタッツなんて気にしてもしょうがないというのはありますが、これはちょっと不安になる酷さ。「自分を証明しよう」などと気負いがちな性格らしいので、そんな感じで空回っているのかなんなのか。あるいは周りにいい状況をたくさん作ってもらえた、GSWのある意味ぬるま湯な環境から外に出てきたら、GSW以外のシステムで機能するだけの個の能力が全く錆び付いていたか。後者だったら結構まずいんではないか。全然バーンズの情報を追ってませんし、今の状況がどう認識されているのか分かりませんが、せっかくMAX契約で獲得した長期的なチームの顔に慣れるはずの選手がこのままだったらと想像するとゾッとします。Mavs Moneyballでは「パニックになるのはまだ早い」てなことをいっていますし、Kもまだ結論を出すには早すぎるとは思いますが。

RSCIという、大学の新一年生に対する各種メディアのスカウティングの評価を総合したランキングがあるんですが、バーンズって彼の世代でナンバーワンだと認識されていたんですよね。カイリー・アービングとかブランドン・ナイトがいた世代ですな。本来ならもっと活躍してなきゃいけないし、それが出来るだけの素材だったとは思うんですが……って過去形で書いたらダメだな。まあ、頑張れ(なげやり)。

恒例GMアンケート

 いやあ、毎年これが楽しみで……。NBA.com日本語版にも翻訳したのがありますので、そっちで見ても内容は大体同じかな。オリジナルのほうがやや細かい情報まで載ってます。チームを運営する側の視点がどういうものかが結果に現れるのが面白いんですよね。例えば「今日から新しいチームを始動させて誰とでも契約できるとしたら、誰と契約する?」という項目の最多得票がレブロンとデュラントを抑えてタウンズというあたりとか。若くて、今後8年は契約できるので、長期的な視点でものを考えなければいけない立場ならではの答えと言えます。その他個人的に面白かったものをいくつか。

「今オフの移籍選手で最も過小評価されている選手は?」という項目で1位がジョージ・ヒルなのは単純に嬉しいですが、「最も大きなインパクトを与える移籍選手は?」という項目でもヒルに一票入っていたらしい。入れたのはどこのマニアだ。多分スパーズ絡みのGMだろうが、さてはビュフォードか。

NBAでプレーしてない最高の海外選手は?」という項目の1位ミロシュ・テオドシッチ、3位ナンド・デ・コロはともにヨーロッパ最強豪の一角、CSKAモスクワ所属。CSKAモスクワの選手の経歴などをざっと眺めてもらえば分かると思いますが、若手が少なくて油ののったベテラン揃い、有力チームの有力選手を買い集めた感が漂うラインナップだと思います。今更ドラフトークという記事で、ネッツのプロホロフオーナーのことを「自由競争のおかげで基本的に金で勝利が買えるヨーロッパのスポーツ文化からやってきた」などと腐しましたが、彼はかつて破綻寸前だったCSKAモスクワの実質的なオーナーとして資金を注入し、それでユーロリーグ優勝まで導いた経験があって、彼がネッツでやったお大尽経営のバックグラウンドがまさにこれなわけです。NBAでそれに失敗した原因は、前に書いたように、NBAはヨーロッパと違って寡占市場で、サラリーキャップや苛烈なラグジュアリータックスに縛られて自由競争でないこと、それと中国経済の成長減速による資源価格の暴落(彼の本業はレアメタル採掘業者)、さらにウクライナ問題に端を発するロシアへの経済制裁によるルーブル暴落による資産の下落によって経済的な余裕がなくなってきて、年間1億ドルも赤字(ほぼラグジュアリータックス分)を垂れ流すネッツの経営を黙認できなくなってきたことによります。……なんだか話が飛んでしまった。話題にしたいのはそこではなくて、これを契機にCSKAモスクワのメンツを見てたらジェフ・エイアーズがいてびっくりしたということでした。2013-2014シーズンの優勝メンバーの一人なわけだけれど、デ・コロはこの年の途中でウェイブされて優勝メンバーではないんだよな、リングはもらったんだろうか、この二人はどんな顔して顔を合わせるんだろう、気まずくなったりしないのかな、とか変なことを考えてしまったのでした。

「最高のアシスタントコーチは?」という項目も面白い。スパーズからも入るわけだけれど、メッシーナイングランドをおいてボーレゴの方に多く票が入っているのがへえって感じです。スパーズ以外だとペリカンズとマジックでしかACの経験がないのですが、ペリカンGMのデル・デンプスは2010年就任でボーレゴもその年にAC就任、マジックのロブ・ヘニガンGMが2012年就任でこの時にボーレゴもマジックのAC就任、二人のGMはその前にスパーズで仕事をしていたので、そういうつながりなんでしょうね。ボーレゴに入った2票はこの二人のものでしょう。いろんな名前が挙がるので面白い項目です。

「どの選手が将来最高のHCになるか?」は「いろんなチームを渡り歩いた苦労人のベテランバックアップPG」に票が集まりやすい傾向があると思います。高い戦術理解力とバスケットボールIQを求められるポジション、ベテランとして縁の下を支えた経験、チームメイトとのコミュニケーション能力などがあるとみなされやすいからでしょうか。例えば今シーズンからサンズのHCに正式に決まったアール・ワトソンなんかは典型的なこのタイプですね。名前が上がっている選手でもロニー・プライス、ジェイソン・テリー、ショーン・リビングストン、アンドレ・ミラー、ジャミーア・ネルソンなどがそうでしょうか。ネルソンはマジックでずっと主力でやってたから毛色が違うか。しかしこの中にSFで上位にいるジャレッド・ダドリーはやっぱり目立つ。バスケットボールIQが高い印象はやっぱりあるのでコーチ向きなんだろうなとは思うけど、得票率10.3%ということは各GMのうち3人は入れているということで、そんなに評価が高いのか、と。ダドリーのどういうところが評価されているのかは結構知りたい。あとボナーさんに1票入っているのでKは満足です。

「ホームコートアドバンテージもらい過ぎなのは?」で1位がウォリアーズなのは、ムービングスクリーンをファール取らないという印象が強いのがやっぱり原因ですかね。あと強いチームに票が入りやすいというのはあるでしょうが、その中で2位に飛び込んだナゲッツ標高が高いせいで環境に慣れてないアウェイチームの不利が大きくなる、特に連戦の2戦目だときついという認識をされているようです。そればっかりはしょうがないと思うんですが。個人的にはアホみたいにフリースローをもらいまくってるウルブズをどうにかして欲しいのです。去年はホームで1試合あたり21.9-28.0(FTM / FTA)も貰って決めて相手チームは16.9-22.8(FTM / FTA)フリースローだけで5点も得失点差をプラスにしているんですよね。ちなみにロードだと20.8-26.0対17.4-23.2で3.4点プラスなので、ホームで1.6点分有利になっている。同じくゴリゴリフリースローもらうチームの代表のロケッツは、ホームは19.9-28.417.8-23.9で2.1点分プラス、ロードは20.9-30.3対19.4-25.4で1.5点分プラスなので、ホームで0.6点分有利になっている(ロードのほうがFTAが多いのは、ハワードとカペラというハックしやすい相手がいたからだと思います)。ハーデンのフロップにピーピー笛を吹く印象のロケッツのホームゲームよりもさらにウルブズのほうが有利な笛を吹いてもらっているわけで、「ファールをもらうのが上手い選手が多い」という以上のものがあるとKは思うのです。あと、これは1試合あたりのスタッツで比較してしまいましたが、1試合あたりのポゼッション数がウルヴスが95.2(リーグ20位)に対してロケッツが97.6(リーグ7位)で、ペースの早いロケッツのほうが1試合あたりのフリースローによる差が相対的に大きくつきやすいにも関わらずこれですもの。これが判官びいきというやつか……。

長くなっちゃった。以上でござんす。