だいたいNBA

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セルビアのMegaってこんなクラブ、他ドラフト話

セルビアのMegaってこんなクラブ

セルビアのMegaというクラブ(基本となる名前はKK Mega Basketで、スポンサー契約に絡んで名前が変わります。今はMega Leks。ヨーロッパだとこういうのはよくあります)に関して、マックス・ホルム記者の記事。ヨーロッパ全体では特に強いわけでもないのに、最近やたらNBAドラフトで指名される選手が多く、一番成功したのが2014年のヨキッチ、去年は3人もいい位置で指名されている(24位でルワウ=カバロー、32位でズバック、35位でザゴラック)、DraftExpressを基準にすれば今年も一人指名されそうです。セルビアといえば、フットボールと同じでレッドスターパルチザンがもちろん強いわけで、Megaはだいたいその下のポジションにいるようですが、なんでそのクラブがこれほどNBAドラフト指名選手を排出できるのか。

やってることは単純で、所属チームでプレータイムを得られない才能のある若手を、国籍を問わずヨーロッパ中から集めているということのようです。例えばルワウ=カバローはフランスの2部リーグのクラブで十分多くのプレータイムを得られていたわけではなかったそうですが、Megaでプレーした1年で一気に評価を上げることが出来たということが語られています。DraftExpressを見るとフランス時代もなかなか高い評価を得ていますが、Megaに移籍してから大幅に評価をあげています。

チーム作りの方針は、ヘッドコーチ曰く「我々の目標は選手がより容易により早くNBAに適応できるようにすることだ。彼らが正しく成長することで、クラブもともに成長する」ということのようです。NBAプレーヤーを排出すること自体を目的にするのはどうなんだと思う部分がある一方、そういう目標を立てることが選手の成長につながったり、より良い選手が移籍して来やすくなったりしてチーム成績に好影響を与えることはありそうですし、NBAチームにドラフト指名されればバイアウトで収入が発生したり、あるいはそれがなくても他のヨーロッパの強豪クラブに移籍することで移籍金が発生したり、クラブの知名度が上がってスポンサーがつきやすくなったりということもあるのかもしれません。経営の話は全く聞いてないようですが、経済的にも優位性のある戦略だからやれてるんだと思います。フットボールの優秀な小クラブがやってることをバスケでやってます、ということでしょう、おそらく。経済規模が全然違うので、移籍金で大儲けみたいなのはないと思いますが。

ミルチノフ頑張ってる

セルビアでドラフトと言うと思い出すニコラ・ミルチノフ。彼はパルチザンで17か18かでスターターになったスーパーエリートなのでMegaなんぞお呼びじゃねえぜってな感じですが。

で、そのミルチノフは順調に成長しているみたいです。ユーロリーグで見ると時間が経つごとにプレータイムが伸びてきてますし、スターターになる回数も増えてきているようで結構です。オリンピアコスってヨーロッパでも超がつくぐらいの強豪、このレベルのチームでユーロリーグでスターターに定着できる選手は多分NBAでも問題なくプレーできると思うので、良い傾向だと思います。相変わらずOREBのほうがDREBよりも多いとかいう謎のリバウンド力を発揮していますが、FTが数も率も上がっているようで、TS%が60%を大きく超えてきています。OREBからシューティングファールをもらいやすいので、彼のような強力なオフェンスリバウンダーこそFTは上手くあるべきです。イップスになってしまっている場合はともかく、努力家の選手はその努力がFT%の安定した向上という形で表れやすい、というのがKの認識ですので(レナードオルドリッジを見よ)、60%切っていたFT%が70%まで着々と向上しているという事実は、ミルチノフがスパーズの選手として適切な資質を持つことを示すものだと勝手に認識しています。ちなみに、現在のミルチノフのOREB%はユーロリーグで18.21%ですが、NBAのOREB%のリーダーはハワードとドラモンドの15.2%で、10%を超える選手は16人しかいません。(追記:プレータイムが一定以上ある選手で!プレータイムが比較的短い選手なら10%超えはたくさんいます。なんかダメな論じ方してしまった。それでも18%なんてほぼ見たことないが)リーグも違うしルールも多分違うと思うので比較してもしょうがないとは思いますが、OREB力の異常さは伝わるでしょう。普通こんな数字は見ない。DREB%がCとしてはだいぶ低いのがさらに謎を深めるミステリーな男、ミルチノフ。早く見たいから来シーズン連れて来て、と言いたいけどオリンピアコスと3年契約だからもう1年スタッシュでしょうね。

NCAAトーナメントでドラフトの評価は上がらない

てな話をVice Sportsのサム・ヴェセニー記者が書いている。"Prisoners of the Moment"というタイトルがうまい。NCAAトーナメントはあまりにも大きすぎる注目を集めるため、ファンやメディアはここでのプレーでプレーヤーに対する評価を左右されやすいが、しかしNCAAトーナメントのプレーなんてプレーヤーの資質を正確に評価するためにはサンプルとして少なすぎでしょ、殆どのNBAのフロントはそんなことには評価を左右されないし、そもそもNCAAトーナメントの前にだいたい評価を終えてて、NCAAトーナメントよりもドラフト前のワークアウトのほうが重要、ということのようです。

それでもやはり試合を見てしまうと影響される部分もある。特に人はより最近起こったことに多く影響を受ける(直近バイアス)ため、シーズン最後の試合であるNCAAトーナメントの印象にとらわれやすい。それを避けるために、高校時代からもっと長い期間をかけて観察し、またトーナメントの期間にハイプを避けるためにわざとヨーロッパのプレーヤーを見に行くGMなどもいるそうです。

これはあれですな、夏の甲子園でのプレーの印象にメディアやファンの評価が左右されるNPBドラフトと一緒、そして甲子園に球団フロントが案外左右されないのも一緒(明らかに左右されてるな、という球団も有りますが)。それでメシを食ってるプロの評価というのは正確だし、そのプロが「NCAAトーナメントには評価を左右されない」といっているのであれば、それが正しいスカウティングのやり方でしょう。ドラフト外でオールスター選手になったのがベン・ウォーレス一人だけ、時代を代表する選手はほとんど最上位で指名されていることを見ても、NBAのスカウトは本当に優秀だなあと思います。

DraftExpressの動画色々

DraftExpressの最終版のスカウティングビデオが出始めているので、ああ、今年も春になったんだなあ、と思う次第。前にもちょっと書いたけど、DraftExpressの動画はStrength編だけじゃなくWeakness編も見ましょうね。