だいたいNBA

Kだよ。だいたいNBAのことを書くのです。だいたいスパーズのことを書くのです。

スパーズのスターターPGがトニー・パーカーからデジョンテ・マレーへ

ついに来るべき時が来た。スパーズは今日のペイサーズ戦でスターターのPGをパーカーからマレーへ変更、しかも怪我のリハビリのための負担軽減目的ではなく、恒常的な変更のようです。SAENのトム・オースボーン記者の記事あたりを読みましょう。

ポポヴィッチが試合前にパーカーに対して世代交代の時が来たと思うと告げ、パーカーはそれに対して問題ないよと快諾したようです。「ポポヴィッチがチームにとって良いことだと考えていることがあるなら、僕は自分のベストを尽くし、それをサポートする。僕はデジョンテを出来る限りささえてやり、マヌやパティとともにセカンドユニットで全力を尽くしたい。("If Pop sees something that is good for the team, I will try to do my best...I will support Pop's decision, and I will try to help DJ as best as I can and try to be the best I can in that second unit with Manu and Patty (Mills).")」

重要なのはミルズではなくマレーと入れ替わったことで、スパーズが目先の勝利よりも長期的な勝利を目指している点でブレがないこと、現時点で十分ではなくともスターターで使うに値する能力がマレーにあると認識していることでしょう。マレーをパーカーの後継者にするという覚悟がある程度定まったと言えそうです。ディフェンスに関しては昨シーズンとは別人と言っていいほど良くなっており(特に粘り強さが格段に上がった)、ガードではチームで最もディフェンスが良い選手に成長したと思います。リバウンドに関しては、ガードの選手としてはおそらくリーグナンバーワンと思われます。足りないのはゲームメイクとシューティングでしょう。AST/TOやTO%などを見る限りでは、ゲームメイク能力が昨シーズンから着実に成長してきているのは間違いないでしょうが、不用意なTOが多いのも確かで、まだ求められる水準にありません。シューティングに関しては全然ダメです。昨シーズンはほとんど相手のサードユニットとのマッチアップで、今シーズンはファーストユニット・セカンドユニットでのプレーのため難しくなっている部分はあるでしょうが、求められる水準にないことだけは確かです。オープンスリーをちゃんと決められないとペネトレイト等の他の手段の効果が弱くなるので、ジャンプシュートの質を高めることが最大の課題と言えます。しかし実際昨シーズンと比べて全く成長していないかというとそうではなくて、FT%は大学時代の66%から安定して向上させており、3P%こそ昨シーズンから落としているもののBBRのデータを見る限りではミッドレンジジャンパーの本数と率は良くなっており、シューティングレンジの拡大は進んできているという印象です。数字が悪くなっているから成長していないということではなく、一歩々々階段を上がっている姿が見えるスタッツではないかと思います。

前回ディフェンス面でのサイズの重要性について書きましたが、マレーはベン・シモンズを除けばおそらくリーグで最もサイズのあるスターターPGではないかと思います。インタビューやその他から今シーズンはマレーのウィングスパンについて「7フィートある」というような情報がよく聞かれるようになりましたが、ESPNの6' 11"という情報が多分正しかったのでしょう(代理人にでも教えてもらったのだろうか)。4番までとは言いませんが、3番までならサイズ面でミスマッチを作られることはほぼなく、マレーがPGを務めるのであればディフェンス面で他チームに対して大きく有利になることは間違いないと思います。

デジョンテ・マレーのドラフト指名とスパーズの育成・スカウティング思想の最後に「なるべく2年後までに結論出して」と書きましたが、これで出たと考えていいでしょう。マレー以外の選手がスパーズのスターターPGになるとしたら、それはミルズではなくデリック・ホワイトだと思います。昨年のドラフトで指名されたPGの中で、総合的に見てホワイトよりも実力が優れていると確実に言えるのはマーケル・フルツだけで、シューティングとクイックネスと経験以外でホワイトがミルズに劣る部分はおそらくないはずです。中長期的にマレーの競争相手になるのはホワイトでしょう。来シーズン何かの拍子にクリス・ポールあたりが転がり込んできたらどうなるかわかりませんが、キャップスペース的にまず考えにくい話です。なんにせよ、今シーズンは最後までマレーがスターターを勤め続けるということになりそうです。高いレベルでたくさんプレーすること以上にプレーヤーを成長させるものはありません。これから加速度的に成長していってくれれば嬉しいです。SAENのジャバリ・ヤング記者が最近書いた非常に良い記事を読んで、これなら大丈夫だろう、とKはある程度楽観的です。