だいたいNBA

Kだよ。だいたいNBAのことを書くのです。だいたいスパーズのことを書くのです。

バスケットLIVE素晴らしい

今まではB.LEAGUEを配信で見ようとするとスポナビLiveに入らないといけなくて、確か月1500円ぐらいとられたと思いますが、今期からはバスケットLIVEというのが始まって、Yahoo!プレミアム会員だとタダで見れるようになったそうで。素晴らしいですね。Yahoo!ショッピングをよく利用したり、読み放題プレミアムで山と渓谷を読める関係で普段からYahoo!プレミアム会員でしたが、追加費用無しでB.LEAGUE見れるなら、もう観ます観ます。どことは言いませんが我が県のチームもあるのでスポナビLiveに入ろうかと思ったこともありますが、NBA追いかけるだけでも割と大変で、野球やサッカーも見るならとてもいい選択肢だとは思うもののとてもそっちまで手を出す時間もないので入りませんでした。

試しにPCから我が県のチームのアーリーカップの試合を観てみましたが、ちゃんと見れるので十分ですね。ただ実況は酷い……人によりけりかも知りませんが、野球やサッカーじゃあるまいし、シュート1回入ったぐらいでギャーギャーやかましい。1分に1回ぐらいは入るんだから、いちいち騒がれたら疲れます。可能なら実況のミュート機能がほしい。まあ、NBAリーグパスも実況ミュート機能はつけてほしいですが、5.1chサラウンドシステムを作っていればセンタースピーカーをミュートすることで実況を消せるようです(もちろん、ステレオやヘッドフォンではできないんだけど)。あんまり贅沢言ってもしょうがないか。ともあれ、B.LEAGUEを容易に見ることができる経路ができたので、我が県のチームの試合ぐらいはなるべく観ておきたいと思います。B.LEAGUEは明日から開幕。

ジノビリの引退

公式アナウンス。

まずKとしては、特に残念でもなければ悲しくもないです。40過ぎて現役続け散るほうが異様。30代の働き盛りで死んだひとの葬式は悲惨なものですが、90過ぎて老衰で天寿をまっとうしたひとの葬式なんて、明るい、カラッとしたものですよ。そういう感じです。怪我でプレーヤー人生が台無しになった場合とか、クリス・ボッシュみたいにプレーヤーとしてまだ脂が乗っている時期に病気で引退せざるをえなかった場合とか、そういうのは本当に残念だと思うんだけど。

ジノビリの最も偉大なところは、やはりユーロステップをNBAに導入したことでしょう。当時は特殊な、身体能力に依存しないでレイアップを生み出す魔法のような技術だったと思いますが、今やバスケの基本技術の一つとなっています。ボールを持ってリムに飛び込むのに、既存の技術とは全く異なる手法を導入したことで、ドライブの技術は一変したのではないかと思います。ジェイソン・キッドブラッドリー・ビールジャレド・ダドリーなどが「バスケのやり方を変えた("changed the game")」と評していて、Kもそういうことだと思います。ジノビリよりもいい選手なんてたくさんいるでしょうが、ジノビリよりも後世に影響を与えた選手はほとんどいないでしょう。登場以前と以後で、バスケの技術体系に不可逆の重大な変化を引き起こすような選手なんて歴史上数えるほどではないだろうか。

もうひとつ偉大なのは、現代的な効率重視のプレースタイルに先鞭をつけたことでしょう。つまり、ミッドレンジをごっそりそぎ落とし、レイアップと3Pに集中し、フロップ上等でファールとFTを稼げるだけ稼ぐ、最も点を取りやすいやり方で取り続ける、こういうことを明確にやり始めたほぼ最初の選手ではないかと思われます。現代バスケの理想的なオフェンシブプレーヤーとはまさしくジノビリのような選手で、これを最も先鋭化させたのがジェームズ・ハーデンですが、スタッツを比較するとシュートエリアの偏り具合がほとんど変わらないところに、ジノビリがいかに時代の先を行っていたかが示されているのではないかと思います。

ジノビリ大好きのデアンジェロ・ラッセルくんですが、ジノビリ引退に対するコメントがCongratsとかじゃなくThank you.なのが思い入れが絶妙に滲んでていいと思うな。まあ、こういう情報を予め知っているとそう思えるだけかもしれませんが。

例のトレード

オフィシャルリリース。スパーズからラプターズへレナードとグリーンを出して、ラプターズがスパーズへデローザンとポートルと来年の1巡目指名権(1-20位プロテクト。プロテクトに引っかかった場合は2020年の2巡目指名権と2023年の2巡目指名権)を出す。メディカルチェックの後で正式に確定するのでしょう。

短期で見れば全くフェアバリューではない。長期で見ればデローザンが3年、ポートルが2年契約が残っているので継続性がある。1巡目指名権は、レナードが出場拒否でもしない限り20位代後半なのはほぼ確実、来年のドラフトはおそらく不作なのであまり価値のないものになるでしょう(不作の2016年に29位でマレーを拾うような幸運も起こるが)。サイズとディフェンス力のあるウィングがごっそりいなくなるので、できればアヌノビーを取れれば良かったのにというところ。希望の移籍先をリークしたうえでトレード要求されると価値が下がるのでいい迷惑です。FAで何も残さず出て行かれるよりはマシですが。

スパーズはスコアラーを指名権や成長途上の選手よりも優先していたようです。それでデローザンでようやく動いたというわけね。個人的にはあまり評価していない選手なので懐疑的です。パスの上手さとTO%の低さは結構ですが、リム付近でのシュートが少なくミッドレンジばかりのショットセレクションの悪さと3P%の低さがやはり厳しい。FT稼ぎの技術はリーグ有数なのでそれでなんとかリーグ平均のTS%まで上げている状況。ディフェンスは言うまでもなくかなり悪い。ポジションは違うけど、パスがすごく上手いカーメロ・アンソニーみたいな選手という認識で、基本的にはカーメロがダメなのと同じ理由でダメな選手だと思っています。ダメということもないが、評価とサラリーには見合わない選手だろうと思います。マークをひきつけてパスをさばける、周りを有利な状況にできる選手なので、デローザンがいることでチーム全体の得点効率が上がるということであればそれで良しで、実際ラプターズのon/offスタッツを見るとデローザンが出ているか否かで100ポゼッションあたり4点も多く取れているのですが、しかしこれはTO%が2.5%違うこととOREB%が2.2%違うことが主要因で、TS%はほとんど変わらずeFG%はoffのほうがいいので、「デローザンがいることでチーム全体のシュートがよく入るようになる」ということは無い様です。ディフェンスの改善余地はそれほど大きくないでしょう。やはりショットセレクションとシューティングの改善がないことには、デローザンが来たというだけでチーム成績が大幅に改善するということにはならないように思います。昨シーズンのラプターズはスパーズよりもずっといいチームなので、ただそのままスパーズに来たというだけでは、周りに得点力のある選手が少なくなりマークがきつくなるのでデローザン自身の得点効率も下がるでしょう。イングランドの指導で大幅に改善するということも考えられないではないが、開幕までの短期間で一気に良くなるということはあまり期待しないほうがいいでしょう。オラディポみたいにチームが変わっただけで大幅にプレー効率が良くなるということもありえますが、デローザンがそうなるかは今の段階では誰も与り知らないことです。デローザンがラプターズから出されたということに対しては、非常に可哀想なことだと思います。トロント・スターのダグ・スミス記者がSAENに寄稿した記事が、デローザンがどう愛されていたかがわかるものとなっています。

ポートルに関してはよくわかりません。やたらに得点効率がいいのは素晴らしい。こういう選手に関しては、とにかくペリメーターで相手のガードやウィングをディフェンスする能力があるかどうかが問題。それができればスターターにもなれるだろうし、できなければ淘汰される。今はそういう時代です。

昨期レナード無しで47勝したんだから来期はもっとよくなる、という論調もよく見かけますが、アンダーソンもグリーンもいないし、それに代わるような選手もいないのでディフェンス力は落ちるでしょう。その分得点力の上乗せがなければ成績のキープすら難しいのではなかろうか。それはむしろデローザンよりも、プレータイムの増加と得点力の改善余地の大きいマレー、ホワイト、バルタンズあたりの仕事です。

グリーンがいなくなるのは悲しいことです。15年に契約更新してからシューティングが別人のようにダメになってしまって当惑しましたが、ディフェンスでそれ以上に重要だったので戦力ダウンではあるでしょう。それより、後輩の面倒見が抜群にいい選手で、チームの人間関係を円滑にする上で本当に大事だったと思うんだよなあ。昔SAENで読んだと思うんですけど、アンダーソンの居残り練習に付き合ってディフェンス教えてあげたりとか、そういういい男でした。

アンダーソンが去る日

流石にうんざりしてきた。

2年前にブログ始めた途端にボナーさんとディアウさんという、NBAで1番目と2番目に好きな選手がスパーズを去っていきなりモチベーション下がってそのまま来ているわけですが、この度3番目に好きな選手がいなくなります。はあ。

スパーズ以外ではジャズかグリズリーズぐらいしかアンダーソンが合いそうなチームはないな、とは思うので、いいチームに入ったのではないでしょうか、スパーズ以外では。スパーズ以外では。

アンダーソンは褒めるだけで玄人づらできるとても良い選手です。というか、数字の上でも実際のプレーでも、どこがどういいか指摘するのが難しい、褒める側の能力が問われる選手だと思います。逆に言えば、アンダーソンのどこがどういいかを理解することでこちらの能力が磨かれます。アスレチックな選手がビョーンと飛んでダンクするのを見てスゲーと思ったり、ボールハンドリングのいい選手がクロスオーバーするのを見てウメーというのとは全く違う種類の見識です。スタッツも、1試合あたりのスタッツをどう眺めても良さはわかりません。古典的なスタッツと発展的なスタッツの乖離が激しく、発展的スタッツを見なければいけません。また、そこから、古典的スタッツと発展的スタッツの乖離を生む要因は何か、そもそも発展的スタッツは何を意味するか、そういうことの理解を求められる。アンダーソンが2014年ドラフト組で3番目にいい選手だ、なんて言っても誰も信じないでしょうが、ある面から見ればそういうことになっている。何がその違いを生むのか、ということを頭に入れてそのプレーを見直すとき、バスケの妙味というか滋味というか、身体能力が全く欠けた男がNBAで渡り歩くための工夫と技術とインテリジェンスが見えてくる。前にも取り上げたこの記事がその一端を見せてくれるわけだけれども、もっと微妙なポジショニングとかせこいディフェンスとか、わざわざ取り上げるようなことでない部分に上手さがあったりする。そういう選手です。そういう選手は、やっぱりそう多くはない。

まあ、スパーズにいる限り、レナードが残るにせよトレードで誰か来るにせよ、スターターの座は安泰でも何でもないわけで、おそらくグリズリーズにいたほうがプレーヤーとしてはより充実した仕事ができる可能性が高いでしょう。アンダーソンはNBA一身体能力の低いスラッシャー型PGだと思っているので、昨季やっと出せるようになったそういう面を、2ndボールハンドラーとしてグリズリーズで出せるようになるといいなと思います。

パーカーが去る日

人は肉体の盛衰を避けることはできない、プロスポーツ選手にとって肉体の衰えはプレーの衰えに直結し、プレーの質がチームの要求にかなわなくなれば優先順位を下げられ、最終的には契約を続けることができなくなるわけです。パーカーの体はもうボロボロでしょう。マレー、ホワイト、ミルズと一般的なチームの2番手以上の質を持つPGが3人いるスパーズの今のロースターの状況から考えれば、昨シーズンのパーカーのプレーの質では、PGの3番手まで下げざるをえません。ESPNの記事によれば、スパーズはパーカーに対してmentorship role、上述のロースター状況も合わせて考えると、つまり事実上よりコーチに近い立場でチームにいることを求めていたということでしょう。プレーヤーとしてプレーでチームに重要な貢献をすることをあまり期待していないと言えます。プレーヤーとしては第一線から退いたとも言えます。それでもまだパーカーはプレーヤーとして死にたくなかったから、2番手PGとしてプレーできるチームの中からホーネッツを選んだ、ということでしょう。2年契約の計1000万ドルならスパーズも払えない額ではないので、給料の多寡という次元での決断ではないはずです。

昨シーズンのパーカーのプレーを見てはっきり言えますが、スパーズのPGとしては2番手としても求められる水準に達しておらず、なおかつ年々プレーの質が落ち続けており、来期以降パーカーがプレーし続けてプレータイムを求めるならば、チームの足を引っ張ることになるのがほぼ確実です。また、パーカーがいるとポポヴィッチはパーカーを使ってしまうだろうから、それはホワイトのプレータイムを減らし成長を鈍化させることにもなるため、中長期的にも無益と言わざるをえません。プレーヤーとして重要な仕事をしたいというパーカーの願いとスパーズの(短期から長期に渡る)勝利は両立しない状況です。両者が道を分かつのは必然と考えます。

移籍に関するポポヴィッチのステイトメントは読むべきです。また、この件に関する記事としてはSAENのマイク・フィンガー記者の記事が最も良いと思います。「誇り高くもエゴのない」パーカーのプレーヤー人生を振り返りつつ、ホーネッツで納得の行くプレーができることを願うのみです。