だいたいNBA

Kだよ。だいたいNBAのことを書くのです。だいたいスパーズのことを書くのです。

(スパーズについては)シーズン終わる、ドラフトロッタリーと少しの予習

(スパーズについては)シーズン終わる

今年はNBA自体をあまり見ていなかったので、あまり書くべきことがありません。コロナ中断もあり、見たいという気持ちが湧きもせず続きもせずという具合で。スパーズはディフェンスが全く良くならなくてうんざりしましたね。ディフェンスのいいチームが好きだからスパーズが好き、という面がもともと強いので、実に見る気の失せるつまらないチームになっちゃったなあと。ペリメーター偏重の今のNBAでスターターにフォーブスとデローザンを並べてたら「殺してくれ」と言っているようなもんだな、と見てて思いました。リーグ再開後はまあまあという感じでしたが、別に良くはない、リーグ平均以下のディフェンス力だったことは否定できないでしょう。ガード偏重のチーム作りをするとどうなるかということがわかっていないとは思いませんが、スパーズがどれだけかっちりディフェンスをするチームだったとしても、本質的にディフェンス力のない選手やアンダーサイズな選手を揃えていたらどうにもならない、このことを2年かけて実証してくれたので、もう同じ間違いはしないでほしい。ゲイやケルドンが出ている時間帯のディフェンスの良さを見ても、今のバスケはウィングがやるスポーツだということは明白で、一芸に秀でた選手とかよりも攻守両面でバーサタリティの高い選手を多く揃えて育成する方向でちゃんとやってほしいです。過去のドラフトでマレー・ホワイト・ウォーカーの3人を連続して指名したのは、彼らのサイズや資質からして間違いということは全くありませんが、まともにプレータイムを得た11人のうち本来ガードに分類される選手が7人を占めるというのは異常であり、更にビッグマンが3人いるため、ウィングがゲイだけ(せいぜい加えてもデローザン)というバランスの悪さは必ず修正する必要が有るでしょう。勝てないチーム構成でやはり勝てなかったということを確認したシーズンと言えます。

プレーオフを逃したことは当然のことで、むしろよく再開後にあれだけ粘ったなという印象です。昨季プレーオフから落ちてもそれはそれで自然なことだったと思います。来季はリーグ再開後に見せたような、若手中心の、誰のUSG%も25%を超えないような攻守両面でバランスの良いバスケをしてほしいものです。

ケルドンがあれだけやれるとは思いませんでした。リーグ中断後に相当伸びたのでは。規律がしっかりしていてやるべき仕事をきっちりやる一方、自分で行くべきと思ったら躊躇なく行く判断力の良さというか速さを感じました。かなり活躍していた一方でUSG%がわずか15.6%というのが素晴らしい。技術も身体能力もサマニッチのほうがいいはずなんだけど、結果残すのはケルドンなんだよな。シューティングは短期的に良い方にぶれたという面が強いでしょうが、これからが楽しみです。ディフェンスのフットワークが重いのは改善しないといけないでしょう。サマニッチは顔面がますます良好になっていたのですごいと思いました。顔面にも伸びしろはある。

優勝予想、バックス。

(追記)バックス、アホー!!去年と今年どっちか優勝しなきゃだめだろ!!

ドラフトロッタリーと少しの予習

1位引く確率は下から1〜3位で同じなのでそのへんのブレは普通のこととして、可能性の低いところに飛び込めたホーネッツとブルズ大勝利オメデト。現有戦力から見て1位エドワーズ、2位ワイズマンはほぼ確定かな。ホーネッツは確信を持てる選手がいないので誰に行ってもおかしくない、ブルズは長期的にはウィングが薄くなる可能性が高いんだが、年増好きを発揮してトッピンとかやりそう。3位以下は何がどうなるやら予想がつかんですな。豊作年ならプレーヤーの序列が明確になるのでそれほど動かないんだけど、今年はホントさっぱり。全体で見れば去年よりマシというか10位以下はどれも似たりよったりで、逆に言うと20位台や30位台でまずまずの厚みがあるとも言える。来年以降の指名権を絡めるトレードは2巡目含めても少ないだろうと思います。その意味で、荒れはするものの去年ほどの謎ドラフトにはならないのではないか。

予習として、プレイヤーランキングは一応ESPNを標準としてみるのがいいでしょう。スカウティングレポートとしてはThe Stepienが詳細を極めており、ダントツで優れているのでここだけ抑えておけばそれ以上は必要ないと思います。スカウティングビデオはHoop Intellectが過不足なく十分なものだと思います。アダム・スピネラのチャンネルもコンパクトにまとまっており、ドラフトにかからない可能性が高い選手も扱っているのでHoop Intellectを補完できます。また、RSCIはプレーヤーの資質を測る上でなんだかんだあてになる指標だと思います。

前に書いたように、STL%とTS%はプロ入り後の成績を予測する指標として優れているので、ポジションを加味しながら、指名が予想される範囲でこの両方が優れている選手をあげてみます。

こんなところでしょうか。このあたりは指名レンジの中では比較的成功率の高い選手と思われます。サイズを加味するとドットソンとフリンはディフェンス力に不安が有ります。リーグのレベルの差というものは確実にあるので、スタッツを見るにはそれを考えるべきです。アメリカの大学とそれ以外の国の差ということで言えば、ユーロリーグに参加しているレベルのチームは皆大学よりもレベルが高いでしょう。今年で言えばデニ・アブディヤがそれに当たります。イスラエルリーグのレベルとユーロリーグのレベルは全然違うので成績は分けてみるべきです。各国リーグの中ではスペイン、ロシア、トルコは大学以上のレベルでしょう、ギリシャあたりも大学以上ではないかと思いますが、詳しくないのであまり確定的なことは言えません。アメリカの大学はBig Ten, ACC, Big12, Big East, SECが5大リーグで、それに次ぐPac12とAACを加えた7つのリーグがいわゆるメジャーカンファレンスで、WCC以下はいわゆるミッドメジャーということになるかと思います。5大リーグとそれ以外、メジャーとミッドメジャーの間にはレベルの差があり、また5大リーグでもBig TenとACCがトップを走りBig 12とBig Eastが追いかけSECが少し離されるという状況があります。つまりティリーやフリンの成績は割り引いて考え、ヴァッセルやティルマンの成績は重みのあるものと見るのがいいでしょう。大学生の中ではハリバートンが頭一つ抜けて優れた成績を残しており、ヘイズとともに今年のPGでは最も期待できると思われます。また2巡目で予想される中ではティルマンがどこを切っても素晴らしい成績です。ティリーは、ミッドメジャーの特異的に強いチームの一員なのでかなり割り引くべきですが、数字自体は極めて優れています。この中でウィングと呼べるのはヴァッセルだけなので注目に値します。ベイはプレースタイル的にウィングと言っていいものやら。

スパーズは11位(再開後の勝率が指名順位に影響しなくてよかった)で、このへんはウィングの選手が指名候補に多いので良かったですね。てかちゃんとウィング指名しろよ、流石に。指名候補になるのは、ヴァッセル、プレシャス・アチュワアーロン・ネスミスパトリック・ウィリアムズあたりか。

ヴァッセルの魅力はウィングとしては理想的なサイズと身体能力、3P%の高さ、ディフェンス面での万能性、チームのリーディングスコアラーなのにUSG%が20%という規律の高さなどでしょう。完成度の高い即戦力に近い3&Dというような見方をされているのではないかと思います。個人的にはちょっとそれは怪しいのではないかと思います。まずシュートフォームが特殊で、振りかぶって投げるようなリリースの仕方や、腕が少し右に流れるような動き方で、安定したシューティングができるフォームには見えません。実際3Pがよく入るのとは対象的にミッドレンジはかなり率が悪い。FT%がシューターと呼ぶには悪いこともあり、一般的に認識されているよりもシューティングは信頼できないのではないか。スコアリングはもっぱら3Pとトランジションに依存しており、それ以外の能力は高くない。身体能力が高いと言ってもクイックネスはそれほどでもなく、ボールハンドリングもうまくない、更にコンタクトに弱いため、リムまでボールを持っていく能力がなく率の悪いミッドレンジを打たされるのが常のようです。FTrも低く、ドライブからファールをもらうというようなこともできない。またTOは極めて少ないものの、パスがうまいというわけでもなく、ゲームメイクができるタイプでもない。ということでオフェンス面ではバーサタリティが低く、評価されているシューティングも怪しい面があります。ディフェンスはオンボールもオフボールも素晴らしいですが、クイックネスが高いとまでは言えないこと、フィジカルコンタクトが弱すぎるため、クイックなガードやビッグマン相手のディフェンスは苦しく、NBAのフィジカルなプレーヤー相手に言われているほどのバーサタリティを発揮できるかは疑問。体型的に本当に肉つくのかなという印象も受けます。けして完成度の高い選手ではなく、育成に結構手がかかるのではないかと思います。

アチュワはフィジカルな才能に関しては今年のドラフトで一番じゃないでしょうか。腕が長い選手は総じて足も長く、足が長いとフットワークが重くなる傾向があるように思いますが、ワチュワはこのサイズにしてクイックネスが高くガード相手でもついていけますし、C相手でも全く当たり負けしない頑強さもある。身長が高すぎないのもいいところで、真にNBAレベルで1番から5番まで守れる才能のある選手だと思います。ボールハンドリングがこのサイズの選手としてはうまくフットワークもいいですが、それ以外のあらゆる技術が洗練からは程遠い。バスケットボールIQも低く視野も狭い。オフェンス面で将来どういうことができる選手になるのか全く想像つきません。年齢が21歳で技術的には全然ということで、指名するチームは勇気がいるし相当我慢して育成する必要があります。

ネスミスの3P% .522と言うのは、今年NCAAの3Pラインが伸びたことを考えると本当に驚異的。怪我して14試合しか出てないので上ブレしているところが当たった&強いところとあまり試合してないというのは注意が必要です(とは言ってもSMUやオーバーン相手に6割以上の確率でバカバカ決めているが)。シュートフォームはケチの付け所ゼロで、このフォームならそりゃ入るでしょ、という感じです。オフボールの動きも素晴らしく、スペースを作るのが本当にうまい。シューターとしてはおそらくバディ・ヒールド以来最も良い選手でしょう。問題はそれ以外で、ジャンプ力やクイックネスが高くなく、ボールハンドリングも下手で視野も狭いのでシューター以上にはなれなさそうな印象です。シュートフェイクからペネトレイトなどしてもそこから効率的なオフェンスに繋げられる能力がありません。特にジャンプ力の不足からかリム付近での得点力が低いのは問題。ウィングとしては理想的なサイズでフィジカルコンタクトも強い一方クイックネスが不足しているので、ディフェンダーとしては悪くはないが高い素質があるとも言えないところです。ただ現状ではディフェンダーとしてまずまず良い評価を得ているので、3&Dウィングが欲しいチームにとっては確信を持って指名できる選手でしょう。

ウィリアムズはサイズに身体能力の高さにフィジカルコンタクトの強さ、攻守両面でのバーサタリティの高さ、バスケットボールIQの高さを兼ね備えており、更に19歳になったばかりの若さもあり、素材としての魅力はピカイチでしょう。フィジカルな才能ではアチュワのほうが優れていますが、それ以外の点ではウィリアムズのほうがはるかに優れています。ヴァッセルに足りないフィジカルコンタクトの強さはウィリアムズにとっては全く問題ではなく、ボールハンドリングもうまくピックアンドロールボールハンドラーとして驚くほど良いパスを出せるなどゲームメイカーとしての才能もあり、シュートフォームもオーソドックスなきれいなフォームでシューターとしての資質も高い(FT%はヴァッセルより10%も高く.833、ミッドレンジの成功率もおそらくヴァッセルよりも良い)、ヴァッセルにとって問題になりそうなことをことごとくクリアしている。問題点は技術的にまだ洗練されておらず特別に優れた部分がないことと、ディフェンス面でのクイックネス不足があげられます。技術に関してはシーズン中18歳だったわけだしまあそんなものでしょう。ジャンプシュートのリリースが遅いというのは言われることですが、膝をしっかり使って正しいフォームでうつことを意識している印象で問題ない思います。TOは多いものの、パスミスは少なく殆どはトラベリング、アウトオブバウンズ、オフェンシブファール由来だそうで、余り心配する必要はなかろうと思います。ディフェンスに関して、STL%もBLK%も高く、ペリメーターからリムプロテクトまで評価が高く、特にチームディフェンダーとしてポジショニングやヘルプ、コミュニケーションに関する評価は非常に高く、ディフェンダーとしての資質は疑うところがないでしょう。ただしフットワークはウィングとしては重く、クローズアウトやマークマンを追いかける場合、ガードやアスレチックなウィング相手のディフェンスなどで苦しくなります。この点の改善がウィリアムズにとっては最も重要で必要なことです。

ここであげた中では、最も資質が高く、伸びしろが大きいのはウィリアムズだと思います。規律がしっかりしていてコーチの言うことも聞くタイプでしょう。このインタビューでなぜFSUに来たのかについて答えていますが、「他のリクルートしてきたチームはオフェンスの話をしてきたのにFSUはディフェンスの話をしてきたのが良かった。ディフェンスを改善したいと思ってたから」みたいなことを答えていますが、このあたりは普通の5つ星選手のメンタリティとは違うなと思います。この動画も面白い内容です。高校入ったときはPGでそこから身長が伸びて今のサイズになったらしく、それでガードのスキルが揃っているようです。個人的には、派手なダンクやブロックを決めても一切アピールせずにすぐ次のプレーに移るところも好ましいと思います。大学入ってからではなく高校の時点でもそんな調子みたいなので、生来浮かれない性格なんでしょう。そういうところがリーダーシップがないとか言われるんでしょうけども。というわけでウィリアムズが最もおすすめです。

2巡目はティルマンでもティリーでも、あとジョーダン・ウォラとか、残ってる中で評価の高い選手でも指名してくれればいいかなと思います。2巡目かかるかどうかぐらいのところだとラミーン・ジェネーという選手が面白い。身長は6' 7"でウィングとして理想的ですが、強烈に手足が長く多分スタンディングリーチはビッグマン並みにあるでしょう。それでいて身体能力も高く、ガード並みのボールハンドリングとゲームメイクスキルがあるという結構とんでもない素質があります。線が細いのとシューティングが悪いのが弱点でしょうし、USG%が40%近くてどういうチームでプレーしてるんだという感じですが、持ってるものが面白すぎるので気になってます。