だいたいNBA

Kだよ。だいたいNBAのことを書くのです。だいたいスパーズのことを書くのです。

スパーズが勝ってメシがうまい

ンマーーーーイ!!!!

試合は仕事終わってから出ないと見れないため、結果がわかったうえで見るのが基本なので「ほお、ここでこうだったのか」とかそういう比較的さめた態度で見てるのですが(嫌な視聴者だ)、シーズン初戦、しかもウォリアーズ相手の圧勝にはさすがにウキウキでございやす。昨日寝る前に布団の中で45点差で圧勝する姿をシミュレーションしながら眠りについた甲斐があったってもんです。うひひ。ちなみにそのシミュレーションでは、アンダーソンが3Pを3本決めて20点取る予定もとい妄想だったのですが、現実にはシモンズが3Pを3本決めて20点とったのであった。

勝利の要因は「ベンチの差」と「インサイドの差」ということになるだろうか。今更ドラフトークでウォリアーズの指名に触れた際「今年のウォリアーズは前シーズンよりも選手層が薄くなって弱くなってる」「Cは現段階でかなり薄い」「クリッパーズが抱えている問題と同じ問題(ベンチがスカスカで、スターター陣が稼いだリードをベンチが食い潰す結果、スターター陣を引っ張らざる得なくなって消耗する)を抱え、前シーズンよりもさらに消耗してポストシーズンを戦うハメになる」とかテキトーに書きましたが、なんか全部当たりそう。やだこわい。

ゲームチャートを眺めてみるとベンチの得点が54対16、FG%が.488対.333とあまりにあんまりな差。29点差のこの試合、文字通りベンチの質が結果を分けたと言えます。おっきなメディアのアナリストですら、勝敗や順位はスターターの質の差で決まると思ってそこしか分析してない人が多くて呆れますが、シーズンはロースターに登録された15人で戦うものであってスターター5人で戦うものではないですからね。

更にペイントでの得点は50対48でそれほど違わないものの、セカンドチャンスポイントが26対4と差が大きい。両チーム似たようなFG%なのにリバウンド数が55対34、スパーズがオフェンス時のリバウンドはスパーズのOREB21対ウォリアーズのDREB27で、スパーズのOREB%が.438でウォリアーズのDREB%が.563。対して、ウォリアーズのオフェンス時のリバウンドはスパーズのDREB34対ウォリアーズのOREB8で、スパーズのDREB%が.810でウォリアーズのOREB%が.190。リバウンドで完全に圧倒したことも大きな差がついた要因でしょう。オルドリッジ、デッドモン、リーらがビッグマンらしい仕事を見事にこなした一方、ウォリアーズはドレイモンド・グリーン以外がリバウンドで全く仕事をさせてもらえなかったと言えます。スパーズはOREBに対しては基本的に積極的でなく、OREBに人を割くよりもさっさと戻ってディフェンスを万全にやれという方針(一方でDREBに対しては、速攻狙いで前に走らせるよりも4,5人がかりで確実に取るという方針)だと思いますが、この試合はよく取れてました。特に後半。スパーズのリバウンドがいいという以上に、ウォリアーズのリバウンドが悪すぎるというべきか。ウォリアーズは去年もインサイドが盤石なジャズ相手にかなり苦しんでいましたが、ディフェンスではインサイドをしっかり固めでオフェンスリバウンドをとらせない、オフェンスではドライブを多用してインサイドを徹底的についていく、オフェンスリバウンドも積極的にとりにいく、というのが目先はウォリアーズ攻略法として有効でしょうか。

で、実際試合を見た印象としては、やっぱりシモンズが目立ってたかなあ、という感じ。もともとプレーが派手なのでいいプレーが目立ちやすい選手ではありますが、前半シュート6本で全部成功というのはやっぱりすごい。特にブザービーターの3Pはかなり大きかったと思います。あとカリーのファストブレークをブロックしたプレーとか。ラストプレーでNBAの珍プレー王ことジャベール・マギーにポスタライズダンクをかましたところも良かったっすね。後ろでオルドリッジがちょけてたのも良かった。たのしそう。NBAが公式のハイライトを作ってます(ちょけてるオルドリッジは映ってません)。

あとフリースロー15本全部決めてキャリアハイの35点も取りやがったレナードは、去年よりもさらにボールハンドラーとしてプレーする局面が増えててまだ進化している。「アイスマン精子とボウエンの精子から生まれたスパーズ妖怪」とKは勝手に言いふらしているのですけれど、今度はジノビリ感まで出してきた。こわい。スパーズ大妖怪になってきている。3Pが入らなかったのとフリースローが多かったので35点も決めている印象がなかったのですが、32分のプレーで35得点3アシスト5スティールって普通にどうかしている。レナードはスコアリング能力が文句なく高い一方でUsage%が25%程度とチームのエース格としてはボールを持つ回数や時間が少ない選手だったのですが、この試合では36%もいってました。難しい相手だったので余分にレナード中心のオフェンスにしたという面もあるでしょうが、今シーズンはパーカーの持つ時間を減らしてレナードのUsage%が30%を超えるようになるかもなあ、と思いました。あとシューティングファールをもらうのがうまい。いまリンクしたBBRのFTr(Free Throw Attempt Rate)という項目を見ると去年は3割程度で通算は3割切っていますが、これは比率としては少ないのです。レブロンデュラントは通算で4割を超えています。フリースローを貰って決める能力は得点力を高めるために極めて重要で(ただし、シューターはオープンで3Pを打つのが仕事なので自然とコンタクトプレーが減ってFTrは下がります)、去年のレナードで物足りない部分があるとしたらこの部分だったのですが、今年はフリースローでの得点力が上がってるかもしれません。この辺もジノビリ感出てきてる。こわいこわい。

(10/27 19:30 追記:SAENのジェフ・マクドナルド記者によると、レナードはフリースローを稼げないことが課題だと思っていたらしく、オフの間マッチアップ相手がどう自分をディフェンスしているか(ディフェンダーの手の位置!)を映像で分析して、コンタクトをもらう方法を研究していたそうです。)

オルドリッジに関しても文句なし。オフェンスリバウンドを8本もとって、ディフェンスでもしっかり締まったプレーをしてくれたし、去年レギュラーシーズンで1本も決まらなかった3Pを早速一発決めてくれたのも良かった。ポストシーズンでやっと入った時は大喜びしてたもんね。1本入れば今後は気負わずに打てるようになるのではないでしょうか。ESPNのマイケル・ライト記者の記事によると、オルドリッジは今シーズン3Pをより多くうつことを求められているそうなので、これは自信になるのではないかな。ブレイザーズでも長年着実にシューティングレンジを広げ続けていたので、1年の定着期間をおいて、今シーズンはオルドリッジの能力が真に発揮されるシーズンになりそうな感じがします。

総合して、今日は基本全員良かったですね。スパーズのボールムーブとインサイドへのドライブ、サイズの優位を活かしたオフェンスにウォリアーズは対応できてない印象でした。

一方でウォリアーズのスピードとボールムーブにスパーズが対応できていたかというと必ずしもそうとは言えないと思います。例の4人がいる間はウォリアーズのオフェンスは文句なしに良かったと思います。しかし4人が揃ってない時は機能しなくなるな、というのがKの印象です。前半はむしろよくボールが動いていて、なかなか入らないものの内容のあるオフェンスだったと思いますが、リードを広げられるにつけカリーとデュラントの個人技頼みになっていった印象です。NBAで一番ベンチが厚いスパーズとかなり薄いウォリアーズでベンチのぶつけあいになったら断然スパーズに分があるなとは思ってましたが、ここまでウォリアーズのベンチがひどいとは思いませんでした。ウォリアーズのクリッパーズ化待ったなしやで。

以上でーす。

諸々の情報

オルドリッジ自身がトレードの噂を否定

この間のトレード話は「オルドリッジはスパーズでの自分の立ち位置に不満なのではないか / スパーズはオルドリッジの仕事に不満なのではないか」という憶測だけを根拠にして始まった・広まった感がありましたが、スパーズがトレードを画策しているないしオルドリッジがトレードを求めているというような話について、当の本人が「トレードの話なんてクラブの誰からも聞いたことがない。自分がスパーズに不満があるなんて噂には賛成しない。自分はここで幸せだ」といっている以上、この話題は一旦ここで終わりでしょう。「日々ポポヴィッチと対話する中で、去年よりもさらにチームを引っ張るような働きをすることを求められている」というようなこともいっていて、これからトレードしようとしている選手にそういうこと求めるかね、という感じですな。

前回書いたようにこれからもこういう話は出るでしょう。こういうのにはさっさと慣れて流せるようになるのが精神衛生上一番いいと思います。スパーズは組織的に安定しすぎていて、中心選手のトレードなんてまず話題に出ないし、出たとしても非現実的すぎてスパーズファンは余裕でスルーできたわけですが、オルドリッジはFA加入で多少生々しさがあるせいか、大きなトレード話に慣れてないスパーズファンがうろたえている様子が全世界的に見れて面白い。月イチぐらいでカズンズのトレード話が出るキングスファンから見たら軟弱極まりない有様であろう。

スパーズがカイル・アンダーソンの4年目のチームオプションを行使

オフィシャルリリース。まあ当然っちゃ当然。4年目の年俸は215万ドルぐらいですが、今の段階でも余裕でそれ以上の価値がありますし、成長スピードも順調そのもの、CARMELOだと来シーズンから5年間で7570万ドルの価値のある選手と評価されてたりする。高え!正直そこまでの価値はないと思いますが、しかし一般的に考えられているよりもはるかにいいプレーヤーなのは確かだと思います。彼のスタッツを眺めても、どこがそんなにいいんですかねえ、と言われそうな地味な数字の並び。特に一番目を引きやすいシューティング関係が地味。身体能力が低いかつプレーがなんか不格好で、実際のプレーを見てもいい選手に全然見えないし、どこがどういいのか説明するのが本当に難しい。Kも「説明しろ」と言われたら言葉に窮するのですが。とりあえずBBRの2014年ドラフト指名選手のページで各項目でソートしてみると、すべてのスタッツで指名順位(30位)より上であることがわかりますが、何より、発展的な指標(Winshare、48分あたりWinshare、Box Plus/Minus、Value over Replacement Player)が全て10位以内に入っています。あとD3P%がめちゃくちゃ良くて、ペリメーターディフェンダーとしてはかなり有能でディフェンス面での効率がいいとか、比較的新しい種類のデータで貢献度を測るとより高く評価される傾向のある選手と言えます。あと実際に見ててもカバーディフェンスを手を抜かずにやる、ちゃんと相手のシュートに食らいついていく、PFで使われるときはスクリーンを誠実にかけるなど数字に出にくい貢献をしっかりする選手で、怪我もしないし、どこのポジションでも使えるし、アンセルフィッシュで堅実だしで、使う側としてはいてくれると最高に助かる選手だろうなと思います。これで3Pがもっと入るようになればロールプレーヤーとしては究極と言えます。

ダニー・グリーンが左太ももの負傷で3週間の離脱

ギャース!痛え!なんぼシューティングが本調子でないといっても、グリーンのオフボールの動きでフロアにスペースを作って他の選手のオフェンスを容易にできますし、SGとしてリーグ最高のディフェンダーなのは間違いないので、この離脱は確実にマイナスです。しっかり休んで完璧に直してから復帰して欲しいっす。多分グリーンの代わりのスターターはシモンズになると思うので、チャンスだと思って頑張ってほしい。無駄なファールは減らしてね。

スパーズがジョエル・アンソニー、ライアン・アーチディアコノ、パトリシオ・ガリーノ、リヴィオ・ジャン=シャルルをウェイブ

オフィシャルリリース。これはつまり保証契約をしていた14人の選手のうちジャン=シャルルを外して、ニコラス・ラプロヴィットラとブリン・フォーブスを開幕ロースターに残すということです。というわけでこの前した予想は大外れということで。これで開幕ロースターはポジション別で見ると、

  • PG:パーカー、ミルズ、マレー、ラプロヴィットラ
  • SG:グリーン、ジノビリ、シモンズ、フォーブス
  • SF:レナード、アンダーソン
  • PF:オルドリッジ、リー、バルタンズ
  • C:ガソル、デッドモン

ということになります。ガード厚すぎ。リーはC兼任、バルタンズはSF兼任、アンダーソンはPF兼任、シモンズはSF兼任、マレーはSG兼任ということで複数ポジションでプレーできる選手が多いのはいいけど、フロントコート陣は一人怪我しただけでもやりくりがきつくなります。マレーとフォーブスは多分ほとんどDリーグでプレーするでしょう。 パーカーを休ませた時に2番手PGとしてマレーではなくラプロヴィットラを使えるというのはかなりの安心材料とは言えます。ふたりとも契約は2年目チームオプションの2年のルーキーミニマムということになるでしょう。

それにしてもジャン=シャルルをウェイブしたのは驚きました。ドラフト1巡目氏名選手の契約なので2年間約240万ドルは保証されているので、そこを切るというのは難しい決断だったのではないかと思います。今見たように、フロントコート陣は一人怪我しただけでやりくりが大変になるので。先日SAENのジェフ・マクドナルド記者が「キャンプディールを結んだ選手から二人残すことはありうるか」という記事を書いていたのですが、その中で「切られうるとしたらジャン=シャルル」と書いていて、可能性としてはゼロではないだろうけどまあないだろうなと思っていましたが、本当にそうなってしまった。もっとも、マクドナルド記者は残るとしたらフォーブスとアンソニーだと思っていたみたいですが。ポジションにかかわらずプレーの内容が最も良かった二人を残して、一番内容が悪かったジャン=シャルルを切った形でしょうか。単純に内容が悪いというだけではなく、伸びしろが期待していたよりも少ないという判断なのかもしれません。うーん、不毛の2013年ドラフト組がますます不毛に……。

大丈夫か、ハリソン・バーンズ

プレシーズンの試合のボックススコアを適当に流し見していた時に気づいたんですけども、バーンズのスタッツはこれ、いくら何でもひどすぎませんこと?プレシーズンのスタッツなんて気にしてもしょうがないというのはありますが、これはちょっと不安になる酷さ。「自分を証明しよう」などと気負いがちな性格らしいので、そんな感じで空回っているのかなんなのか。あるいは周りにいい状況をたくさん作ってもらえた、GSWのある意味ぬるま湯な環境から外に出てきたら、GSW以外のシステムで機能するだけの個の能力が全く錆び付いていたか。後者だったら結構まずいんではないか。全然バーンズの情報を追ってませんし、今の状況がどう認識されているのか分かりませんが、せっかくMAX契約で獲得した長期的なチームの顔に慣れるはずの選手がこのままだったらと想像するとゾッとします。Mavs Moneyballでは「パニックになるのはまだ早い」てなことをいっていますし、Kもまだ結論を出すには早すぎるとは思いますが。

RSCIという、大学の新一年生に対する各種メディアのスカウティングの評価を総合したランキングがあるんですが、バーンズって彼の世代でナンバーワンだと認識されていたんですよね。カイリー・アービングとかブランドン・ナイトがいた世代ですな。本来ならもっと活躍してなきゃいけないし、それが出来るだけの素材だったとは思うんですが……って過去形で書いたらダメだな。まあ、頑張れ(なげやり)。

恒例GMアンケート

 いやあ、毎年これが楽しみで……。NBA.com日本語版にも翻訳したのがありますので、そっちで見ても内容は大体同じかな。オリジナルのほうがやや細かい情報まで載ってます。チームを運営する側の視点がどういうものかが結果に現れるのが面白いんですよね。例えば「今日から新しいチームを始動させて誰とでも契約できるとしたら、誰と契約する?」という項目の最多得票がレブロンとデュラントを抑えてタウンズというあたりとか。若くて、今後8年は契約できるので、長期的な視点でものを考えなければいけない立場ならではの答えと言えます。その他個人的に面白かったものをいくつか。

「今オフの移籍選手で最も過小評価されている選手は?」という項目で1位がジョージ・ヒルなのは単純に嬉しいですが、「最も大きなインパクトを与える移籍選手は?」という項目でもヒルに一票入っていたらしい。入れたのはどこのマニアだ。多分スパーズ絡みのGMだろうが、さてはビュフォードか。

NBAでプレーしてない最高の海外選手は?」という項目の1位ミロシュ・テオドシッチ、3位ナンド・デ・コロはともにヨーロッパ最強豪の一角、CSKAモスクワ所属。CSKAモスクワの選手の経歴などをざっと眺めてもらえば分かると思いますが、若手が少なくて油ののったベテラン揃い、有力チームの有力選手を買い集めた感が漂うラインナップだと思います。今更ドラフトークという記事で、ネッツのプロホロフオーナーのことを「自由競争のおかげで基本的に金で勝利が買えるヨーロッパのスポーツ文化からやってきた」などと腐しましたが、彼はかつて破綻寸前だったCSKAモスクワの実質的なオーナーとして資金を注入し、それでユーロリーグ優勝まで導いた経験があって、彼がネッツでやったお大尽経営のバックグラウンドがまさにこれなわけです。NBAでそれに失敗した原因は、前に書いたように、NBAはヨーロッパと違って寡占市場で、サラリーキャップや苛烈なラグジュアリータックスに縛られて自由競争でないこと、それと中国経済の成長減速による資源価格の暴落(彼の本業はレアメタル採掘業者)、さらにウクライナ問題に端を発するロシアへの経済制裁によるルーブル暴落による資産の下落によって経済的な余裕がなくなってきて、年間1億ドルも赤字(ほぼラグジュアリータックス分)を垂れ流すネッツの経営を黙認できなくなってきたことによります。……なんだか話が飛んでしまった。話題にしたいのはそこではなくて、これを契機にCSKAモスクワのメンツを見てたらジェフ・エイアーズがいてびっくりしたということでした。2013-2014シーズンの優勝メンバーの一人なわけだけれど、デ・コロはこの年の途中でウェイブされて優勝メンバーではないんだよな、リングはもらったんだろうか、この二人はどんな顔して顔を合わせるんだろう、気まずくなったりしないのかな、とか変なことを考えてしまったのでした。

「最高のアシスタントコーチは?」という項目も面白い。スパーズからも入るわけだけれど、メッシーナイングランドをおいてボーレゴの方に多く票が入っているのがへえって感じです。スパーズ以外だとペリカンズとマジックでしかACの経験がないのですが、ペリカンGMのデル・デンプスは2010年就任でボーレゴもその年にAC就任、マジックのロブ・ヘニガンGMが2012年就任でこの時にボーレゴもマジックのAC就任、二人のGMはその前にスパーズで仕事をしていたので、そういうつながりなんでしょうね。ボーレゴに入った2票はこの二人のものでしょう。いろんな名前が挙がるので面白い項目です。

「どの選手が将来最高のHCになるか?」は「いろんなチームを渡り歩いた苦労人のベテランバックアップPG」に票が集まりやすい傾向があると思います。高い戦術理解力とバスケットボールIQを求められるポジション、ベテランとして縁の下を支えた経験、チームメイトとのコミュニケーション能力などがあるとみなされやすいからでしょうか。例えば今シーズンからサンズのHCに正式に決まったアール・ワトソンなんかは典型的なこのタイプですね。名前が上がっている選手でもロニー・プライス、ジェイソン・テリー、ショーン・リビングストン、アンドレ・ミラー、ジャミーア・ネルソンなどがそうでしょうか。ネルソンはマジックでずっと主力でやってたから毛色が違うか。しかしこの中にSFで上位にいるジャレッド・ダドリーはやっぱり目立つ。バスケットボールIQが高い印象はやっぱりあるのでコーチ向きなんだろうなとは思うけど、得票率10.3%ということは各GMのうち3人は入れているということで、そんなに評価が高いのか、と。ダドリーのどういうところが評価されているのかは結構知りたい。あとボナーさんに1票入っているのでKは満足です。

「ホームコートアドバンテージもらい過ぎなのは?」で1位がウォリアーズなのは、ムービングスクリーンをファール取らないという印象が強いのがやっぱり原因ですかね。あと強いチームに票が入りやすいというのはあるでしょうが、その中で2位に飛び込んだナゲッツ標高が高いせいで環境に慣れてないアウェイチームの不利が大きくなる、特に連戦の2戦目だときついという認識をされているようです。そればっかりはしょうがないと思うんですが。個人的にはアホみたいにフリースローをもらいまくってるウルブズをどうにかして欲しいのです。去年はホームで1試合あたり21.9-28.0(FTM / FTA)も貰って決めて相手チームは16.9-22.8(FTM / FTA)フリースローだけで5点も得失点差をプラスにしているんですよね。ちなみにロードだと20.8-26.0対17.4-23.2で3.4点プラスなので、ホームで1.6点分有利になっている。同じくゴリゴリフリースローもらうチームの代表のロケッツは、ホームは19.9-28.417.8-23.9で2.1点分プラス、ロードは20.9-30.3対19.4-25.4で1.5点分プラスなので、ホームで0.6点分有利になっている(ロードのほうがFTAが多いのは、ハワードとカペラというハックしやすい相手がいたからだと思います)。ハーデンのフロップにピーピー笛を吹く印象のロケッツのホームゲームよりもさらにウルブズのほうが有利な笛を吹いてもらっているわけで、「ファールをもらうのが上手い選手が多い」という以上のものがあるとKは思うのです。あと、これは1試合あたりのスタッツで比較してしまいましたが、1試合あたりのポゼッション数がウルヴスが95.2(リーグ20位)に対してロケッツが97.6(リーグ7位)で、ペースの早いロケッツのほうが1試合あたりのフリースローによる差が相対的に大きくつきやすいにも関わらずこれですもの。これが判官びいきというやつか……。

長くなっちゃった。以上でござんす。

スパーズがラマーカス・オルドリッジをトレードするかもという噂

日本時間の今日、スパーズが公開の練習試合を行いましたが(Facebookの公式アカウントで見れます)、ちょうどその日にこんな話が出てきました。この手の話はいちいち取り上げたくないのだけれど、それなりに話題になっているみたいだから少し触れよう。

まず、ESPNのザック・ロウが12日に半ば放言めいた予想として「オルドリッジがトレードの材料に上がるかもね」みたいなことを言っているけど、あくまでもこれはロウの個人的な予想でしかなく、一定以上確かなインサイダーの情報に基づいたものではないから、今回の噂を補強する根拠としては無意味なものでしょう。

で、今回の噂に火がついて煙が立ったのは、ESPNのジャッキー・マクミューランがCSNNEで「オルドリッジがトレードされるかも」という話をしたことが発端です。彼女はインサイダー情報に通じていると考えられていますし、オルドリッジはスパーズにフィットしていないと考えるライターも多いため、この話が現実味があるものと認識されているようです。ボールシェアを重視するチームオフェンスのスタイルや、オフェンスのファーストオプションがレナードでオルドリッジは2番めであること、プレータイムを30分程度に制限されていることが不満なのではないかとみなされやすい、彼のブレイザーズ時代のプレースタイルから考えるとそう推測しやすいこともあります。1試合あたりのスタッツが落ちていることもその推測に「確からしさ」を与えるでしょう。しかしながら、昨シーズンは開幕から一貫して成績を上げ続けていて、特に2月以降はチーム内で完全にフィットするポジションを探し当てたと言えるようなプレー内容であったことは、月ごとのスタッツから見ても明らかです(1試合あたりではなく36分あたりのスタッツに直しています)。彼自身もオールスターブレイクの後まで快適なゾーンが見つけられなかったと発言していますし、その後の成績、特にプレーオフでかなり良いプレーをしていたことは事実です。オルドリッジがスパーズでのプレーに不満や不安があってそれを漏らしたのだとしてもそれ以前の話であって今の話ではないのではないか、と思います。リンクしたESPNのマイケル・ライト記者の記事でのオルドリッジの発言を読む限り、次シーズンに向けてのオルドリッジの自信とモチベーションは高いと見るべきでしょう。

SAENの取材に対してスパーズのインサイダーは「そんな話はどこのチームともしてないよ」と一蹴しています。一方でリーグのインサイダーの語るところによると「オルドリッジの適切なトレード話の持ちかけに対してスパーズはオープン」という情報もあります。まあ、後者の点については、仮にこれが本当でも、「うちはどんなことに対してもオープンだよ、話し聞くだけなら聞くよ」とビュフォードGMが前になんかの記事で発言していたので、このことがトレード話の信ぴょう性を高める要素にはならないと思います。もちろん、トレードの可能性を否定する要素にもなりません。

この件に関してSAENのジェフ・マクドナルド記者とジャバリ・ヤング記者が良い記事を書いているので、ひとまずはこれを読んでおくのがいいでしょう。この記事書かれているように、メディアに出る限りの話では、オルドリッジは一貫してスパーズでプレーすることに対してポジティブな発言をしていましたし、スパーズはレナードのチームだともいっていました。ポポヴィッチは「我々はオルドリッジと一緒にゆっくり前に進んでいく」と発言しています。スパーズのトップ二人は一貫してオルドリッジのプレーに満足していると言い続けていました。ここまで挙げた情報を前提とすると、少なくとも表面的にはスパーズがオルドリッジを放出する理由はないように思われます。

しかしながら、とにかくこのチームは言わなくていいことは外部には絶対に言わない、何か起こるにしてもすべてが水面下で誰にも察知できないように事を運ぶところがありますので、実際どうなのかは誰にもわからないと言わざるを得ません。オルドリッジが放出されないという確証を持てるだけの根拠も、それがなされるという根拠も、スパーズは一切提供しないわけです。レナードとヒルのトレードの時も、2チーム間のみで情報が行き来し、レナードを重点的にスカウティングしている素振りも見せず、レナードの代理人ですらその兆候を一切感じなかったほど情報を漏らさない。事が起こるときは、ある日突然前触れもなく起こるでしょう。そんなチームだから、ああかもこうかもどうなんだろと確度の低い噂話に気を揉んでも全く意味がありません。100%噂を否定出来るだけの根拠がない限りはこういう話題は出続けるでしょうから、SAENの記事タイトルにあるように、肯定も否定もできないこういう噂話にたいしてはただ慣れるのみでしょう。

Kubuntu 16.10にアップデート

Ubuntu 16.10が公開されて各種の派生ディストリビューションもこれに対応したアップグレードが行われたわけですが、安定性重視なのでUbuntuはずっとLTS版で使ってきましたし、KubuntuもLTS版を使っていましたが、じゃあKubuntu 16.04.1 LTSがそんなに安定していたかというと全然安定していなかったので、ほんなら最新版で使うわ、ということで16.10にアップグレードしてみました。

で、早速「16.04.1から16.10にアップグレードできない」という根本的な問題に足を引っ張られる。そこからかよ!アップデートマネージャーは「新バージョンあるよ!使ってね!」みたいなことを言っておきながらこれはどういうことか、と白目をむいて泡を吹いた次第。ここ2日ぐらいはこれが解決できなくてなんだよこれと思ってほったらかしていましたが、今日Kubuntuのリリースノートを見たら、ubuntu-release-upgrader-qtをインストールしないとアップグレードできない問題があったらしい。

Note: If the distribution upgrade process fails to launch, you may need to install the package ubuntu-release-upgrader-qt.  

ほお、と思ってMuonでパッケージをインストールしてからアップグレードしたら出来ました。解決したのが日本時間で言うと昨日ぐらいの話なので、うまくいかなかったのもしょうがない。パッケージマネージャーがMuonからPlasma-Discoverに移行した際に、もともとMuonではデフォルトでインストールされていた(依存していた)ubuntu-release-upgrader-qtがDiscoverにデフォルトでインストールされてなかったために起こった問題だそうで。

アップグレードして変わったことというと、まず描画が全体的にさらに派手かつかっこ良くなっていることでしょうか。KDE 5.5から5.7.5へと変わっていますし、それ以外にも色々アップデートされているようです。あと、前に書いたDiscoverで検索ができない現象も解決していた。これは大変嬉しい。というか前の状態がひどすぎた。それ以外には特に目立って変わった部分はないかな。まあ、派手でかっこいいのはいいことです。Windowsライクで非常に使いやすいというのもすばらしい。それでちゃんと動いて問題起こさなければ最高ですよ。現状はなかなか最高とまでは言えませんが。

スパーズの開幕ロースター予想、他

スパーズの開幕ロースター予想

してみんとす。まず保証契約をしている14人は確定として、ポジションごとに分けるとこうなります。

  • PG:パーカー、ミルズ、マレー
  • SG:グリーン、ジノビリ、シモンズ
  • SF:レナード、アンダーソン
  • PF:オルドリッジ、リー、バルタンズ、ジャン=シャルル
  • C:ガソル、デッドモン

この中で来年Dリーグで主にプレーしそうなのがマレーとジャン=シャルル。トシなので頻繁に休みを与えられそうなのがパーカーとジノビリとガソル。ということで相対的に薄くなりそうなのがPGとC。なのでロースターの15人目として最後に加えるとしたらPGかCということになるでしょう。

で、本命はどうなのかというと、「誰も加えない」のような気がします。つーのも、比較的10日間契約をよく使ってDリーグの選手をNBAで試したりっていうのをよくやるチームで、開幕から14人全部埋めることってそんなに多くないように思います。どうだったかな、勘違いかもしれませんが。PFを出来る選手は多いので、Cは場合によってはリーに任せることもできる。PGはマレーに経験を積ませる目的で多めに使うのもいいだろうし、シモンズも一応できないことはないし、アンダーソンは大学まではPGで、やらせればボールハンドラー・ゲームメイカーの仕事もできるでしょう。そもそもボールを全員でシェアするチームにおいては古典的なゲームメイカーは必ずしも必要ではないというのもある。ということで本命は「誰も加えない」ということで。

で、PGとCでどちらがより薄いかといえば、ガソルを休ませた時に専任のCがデッドモンだけということになりますのでCでしょう。そしてこのポジションでキャンプディールを結んでいるのが、経験豊富で堅実なジョエル・アンソニープレシーズンマッチでもいいプレーをしていたみたいで、やはり対抗となるのはアンソニーでしょう。

単穴がPGのニコラス・ラプロヴィットラ。単純にプレーの質では彼が一番インパクトのあったプレーヤーと言えそうです。南米とヨーロッパでプロとして十分なキャリアがあって技術的にはNBAでも全く問題なさそう。しっかりゲームメイクとディフェンスができて、何より3Pがよく入る。年齢も26歳でプレーヤーとしてかなりいい時期。プレーだけを基準にするなら彼が入っても全くおかしくないですが、ガードは人材が豊富すぎるぐらい豊富なので……。今年1年マレーをDリーグに閉じ込めて徹底的にたたきあげる気がスパーズにあるなら契約するかもなあ、という。

連下はブライン(ブリン、のほうが近いかな)・フォーブス。前にも書いたけど、シューティングだけなら天才といってもいいと思います。ただそれ以外の技術となると心もとない。特にディフェンスが。そしてピュアシューターである一方サイズ的にはSGでもやや厳しく、ディフェンスをかなり鍛えないとつらい。そして何よりSGはスパーズの中でも特に厚いポジションなので、ここに割って入るのは至難の業と言わざるを得ません。ラプロヴィットラ以上にポジション的な難しさが大きい。というわけで、フォーブスが残る可能性はあるが、かなり低いと思います。

アーチディアコノとガリーノは残らないでしょう。フォーブスと合わせて3人ともDリーグのオースティンで叩き上げコースだと思います。シモンズやジャマイカル・グリーン(次シーズンはザック・ランドルフに変わってグリズリーズの先発PFを務めるそうです。ここまでたどりつくなんて、感動だ!)のように、NBAで活躍できる選手へと成長してほしいものです。

というわけで、誰も残らなかったら大当たり、アンソニーが残ったらかすり当たりぐらいの感じでひとつよろしく。

クリス・グラントがスパーズのスカウトになるらしい

ということらしい。2010年7月から2014年2月までキャブスのGMをやってたのだった。2005−2010の間にキャブスのアシスタントGMなのでダニー・フェリー門下ということで、そう考えるとスパーズに縁がないこともない。しかしこの人も、キャブスのGM就任直後にレブロンに出て行かれ、解雇されたあとにレブロンが戻ってくるとか、なんとも損な仕事をさせられてきたものです。

2011年ドラフトのカイリー・アービングとトリスタン・トンプソンの指名は成功と言えるものの、2012年のディオン・ウェイターズ、2013年のアンソニー・ベネットは完全に失敗で、成績も低迷していたのでやっぱりGMとしては優秀とは言えなかったと思います。2013年ドラフトは不作過ぎて上位指名権のチームほどハズレを引くというちょっと特殊なドラフトだったので、あの失敗はあまりきつくは責められない性質のものだったと個人的には思いますが、2012年ドラフトは言い訳の聞かない失敗だったと思います。あの年のコンセンサスはこんな具合でしたが、4位でトーマス・ロビンソン、ハリソン・バーンズ、ダミアン・リラード、アンドレ・ドラモンドらが残っていたわけで、ロビンソン以外はどれとっても正解。というか、前年トンプソンをとっているのでポジションのかぶるロビンソンは選ばないとして、普通ならハリソン・バーンズを指名すべきドラフトだったわけです。SFも別に厚くなかったし(というか全ポジション薄かった)。バーンズをどう評価するかは人それぞれでしょうが、ウェイターズよりダメな選手だと思っている人は現時点でいないでしょうし、当時もいなかったと思います。何だったんだろうね、あのドラフトは。

スカウトといっても担当する役割が全然違うのですが、この記事でいうteam scoutってなどんなもんでしょうか。相手チームの戦力・戦術分析をするのは普通advance scoutと呼びますし、学生や外国のプレーヤーのスカウトはcollegeとかinternationalとかが付きますし。他チームやDリーグチームの選手の評価をするアレかなあ。正直良く分かりません。

GMの実績を見るとそこまで優秀そうな感じがしない人ですが、そもそも本当に優秀じゃなかったらダニー・フェリーに雇われないし、キャブスのGMなんて任されないと思います。スカウトみたいな裏方の仕事は表には出てこない(スパーズは特に)ので働きぶりを我々が知ることはないと思いますが、頑張ってほしいものです。キャブスを首になってからNBAで仕事がなかったみたいですが、ここからまたNBAチームのGMやらなんやらへと繋がる道もできると思うしね。