だいたいNBA

Kだよ。だいたいNBAのことを書くのです。だいたいスパーズのことを書くのです。

チームを売れ、野生の王国サンアントニオサファリパーク、カーダシアンの呪いは本物か

あまり更新しないのも何なので。

チームを売れ

The Ringer謹製。はー、おもしろ。

この人がオーナーになってからドアマット化したのは事実だし、なんかしょうもない揉め事ばっかりで、ファンが怒るのも無理ない。チームのファンであってオーナーのファンではないですからね。過激派阪神ファンは阪急阪神HDの株買って株主総会で球団運営への文句を言ったりするみたいですが、ニックスファンはMSGの総会でそういうことしないのかね。まあ、それで経営者が変わってもオーナーが変わるわけではないので無意味か。

野生の王国サンアントニオサファリパーク

コウモリが飛んでたりロッカールームに蛇がいたり、NBAで最も野性味あふれるスタジアムであるサンアントニオAT&Tセンターですが、なんでこんなにサファリパークなのかをわざわざFiveThirtyEightのクリス・ヘリング記者がわざわざ解説してくれました。なんかコウモリの群れが中米やメキシコからブラッケン洞窟への渡りの経路にちょうどぶつかるそうで。半ば名物めいてきたコウモリですが、今年はそれにしても出現頻度が多い気がします。

カーダシアンの呪いは本物か

HSACの記事。ハリウッドのゴシップファミリー、カーダシアン家の人間と浮名を流したアスリートは成績が大幅に落ちるという、いわゆる「カーダシアンの呪い」が本当に正しいかをデータに基づいて検証したもの。目の付け所が下世話かつデータ分析として正当なとてもいい記事。

カーダシアンファミリーに限定せずセレブとアスリートのゴシップをすべて扱っており、アメリカ4大スポーツを横断的に分析しているのでNBAに焦点を合わせている分析ではないですが、全体的な傾向として、ゴシップのあった選手はその後成績を落とし、関係が終わった後は相対的に成績が向上する傾向がかなり強いということがわかります。カーダシアン家に限定してもはっきりした傾向が見られます。年齢的に身体能力の衰えの出てくる時期というわけではなさそうなので、やはり実際そういう効果があると言えそうです。派手な女のケツを追いかけ回しているようなやつはダメってことかな。女優やレポーターとゴシップが出たアスリートに特にその傾向が強いというのが納得と言うか何と言うか。

NBAドラフトにおける高卒エントリー復活の方向性がほぼ確定

USA Todayのジェフ・ジルギット記者の記事。各メディアの取り上げ方を見ても、ほぼ確定情報と思われますが、まだ公式に決まったわけではありません。NBAとNBPAの要人が会合を行い、年齢制限の引き下げといわゆるOne-and-Doneルール(以下1&Dルール)を廃止する方向で大筋の話はまとまっているようです。実施されるのは2022年からになるようです。対立点になっているのは、ドラフト候補者の代理人が健康面での情報を隠すことなくNBA側に開示することや、選手をNBA Draft Combineへ参加させる権限をNBAに与えるようNBAが要求していることで、代理人側としては不利な情報を隠すことで指名順位を引き上げる戦略を取れなくなるため、NBPAはこの点でNBAに妥協しないよう代理人たちからプレッシャーをかけられているという話もESPNの報道で出ています。Kは以前から1&Dルールには反対の立場なので、非常に良い制度改善だと考えますし、代理人連中のやっていることは半分詐欺みたいなものなので、この点に関してはNBAの要求が通るべきでしょう。

さて、この記事だけでは「なぜ」今になって高卒エントリーを復活させるのか、その理由がわからないので解説を加えます。

ことの発端は2017年9月27日(現地時間)にFBIが明らかにした、大学・スポーツウェアメーカー(アディダス)・選手とその家族の三者が絡んだ不正リクルート事件です。この事件において、アディダスから回ってきた裏金がコーチや編成担当者を通じて選手とその家族に流れていました。つまり、NCAAが禁じている資金提供による有力選手のリクルートが多数の強豪校で行われていたことがわかったわけです。Wikipediaの記事に事実がよく集約されているのでそちらを参照されたし。ルイビル大のリック・ピティーノHCの解任、裏金を受け取ったブライアン・ボウエンの資格停止を筆頭に、コーチや編成担当者の解任や選手の資格停止、進学を決めていた有力選手の進学取りやめが相次ぎ、大学バスケ界は大きなダメージを受けました。率直に言って裏金自体はどこでもやってることだと思いますし、ナイキが絡む大学がやってないとは全く思いませんが、なんといってもピティーノという大物が関わっていたこと、複数の強豪校にまたがる規模の大きさ、関係者が多く起訴されていることなど、おそらく大学バスケ史上最大規模のスキャンダルではないかと思います。2013年のルイビル大のNCAAトーナメント優勝も取り消されましたが、こういったものもおそらく初めてのことではないでしょうか。

(19:00追記:NCAAトーナメント優勝取り消しは2015年のスキャンダルに基づく決定でした。失礼しました。)

NCAAのトップのマーク・エマートは大学バスケ界が危機的な状況にあると判断し、コンドリーザ・ライスを委員長とする調査委員会を設置しました。この委員会の最終レポートが2018年4月25日に発表され、このレポートにおいて、現在の大学バスケット界に起こっている問題(裏金のみならず、大学バスケ選手の卒業率の低さなども含めている)の構造的要因として、NBAの1&Dルールが存在することで、大きな金銭的価値を持つ有力選手が本人の意志に反して半強制的に大学に縛り付けられてしまうことを真っ先に挙げています。また、プロに進める能力がある選手がプロに行くことを制限すべきではない、それを制限して無給で大学に縛り付ける構造が裏金を生む、としてMLBドラフトルールのような「高卒でプロに進まず大学に進学する場合は、数年大学に在籍することを義務付ける」ルールにもすべきではない、としています。つまり、高卒以上であればどのタイミングでもドラフトエントリーを認めるようなルールにすべきだ、と提言しています。「なぜ」今になって高卒エントリーを復活させるのか、という問いの答えは、このレポートの影響力が非常に強いから、ということになります。NBAコミッショナーのアダム・シルバーは2017年のCBA交渉段階では1&D廃止の意志はなく、むしろ2&Dに伸ばすことを志向していたと考えられ、それを今になって180度変えるのはこのレポートが主要因としか考えられないからです。

このレポートは非常に重要で、今後のNCAAのバスケ政策はこのレポートの提言の方向性に沿って進むものになるでしょう。NCAANBAという関係では上記のとおりですが、それ以外にも様々な提言がなされています。ライス委員長の意見も含めて、大学バスケに関心のある人は読んだほうがいいと思います。このレポート、解説か翻訳を書いたほうがいいなと思っていましたが、結局モチベーションが死んでてやらずじまいでした。ちょっと無理してでもやっておくべきだった。

個人的な意見としては、大学スポーツ自体が巨大産業で、そこに大きなキャッシュフローが存在するから、全体から見れば端金の裏金を必要経費としてリクルートに使えてしまうだけで、1&Dルールがあろうが無かろうが、大学バスケに現在のような巨大なお金の流れが存在する以上は不正リクルートはなくならないだろうと思います。もっともスポーツウェアメーカーの立場から見れば、1&Dルールがあることで、NBAで活躍が見込めるトッププロスペクトが無給の学生でいるうちに、相対的に安めの裏金で予め縁を作って、事前にNBAでのエンドースメント契約の約束をそこでつけておくことで有力な広告媒体を確保できるわけですから(大学生でいる時でも一応広告としての価値はある)、1&Dルールをなくすことでこれらのインセンティブを消すことができ、不正リクルートをある程度抑えることができるのも確かでしょう。ただし、こういう裏金が高校生以下の世代にシフトしていくことになるだろうとも思います。

1&Dルールが何故できたか、シルバーやエマートやNBPAの考え方はどういうものか、1&Dルールがどれぐらい不合理か、ということについては以前詳細に論じたので、NBAドラフト制度や1&Dルールの問題点を基礎から理解したい人はそちらを読んでください。例えば、Yahoo!ニュース個人の菊池慶剛の記事では「元々NBAにはドラフト対象年齢は存在しなかった」とか「高卒有望選手たちが続々NBAに流出することを危惧した大学側に配慮するかたちで」19歳に引き上げたとか書いていますが、Kの書いたものを読めばこれらが間違いであることがわかります。そもそも、年齢制限と1&Dルール(高卒後1NBAシーズンが過ぎるまでNBAドラフトにエントリーできない)は、強く結びついているが別々のルールです。高卒エントリーができないのは年齢制限ではなく1&Dルールの問題で、年齢制限引き下げのニュースの本質は1&Dルール廃止です(それがないと年齢制限を下げても意味がない)。それが分かってないと「年齢制限が19歳に上げられたから高卒エントリーができなくなった(下がったから高卒エントリーできるようになる)」という間違った理解をすることになります。大元のUSA Todayの記者がちゃんとそれを分かっているか怪しい感もありますが。

シーズン半分終わる

スパーズ、ディフェンスがスカスカなので今シーズンは半分勝てないだろうと思っていましたが、だいぶ予想外に勝ち越している。12月に入るまではまあ本当に酷いものでしたが、12月に入ってからは明らかにディフェンスが良くなっている、12月以降現在まででDRtgはリーグ8位で、序盤のひどすぎるディフェンスからは格段に良くなっているといえます。また、12月以降と言っても、転換点は明らかに12月9日のジャズ戦で、この日以降現在までのDRtgはリーグ1位となっています。これ以前の試合は勝っても負けてもDRtgは非常に悪い。このジャズ戦からの明確な変化は、デリック・ホワイトがスターターにほぼ固定されたことです。別にホワイト一人でディフェンスしているわけではないですが、チーム全体のディフェンススキームの改善、ケミストリーの向上に中心にいるとは思います。カニンガムやバルタンズよりもホワイトのほうが機能するというのは少し驚きですが。ここ何試合かはシューティングも異常なほど好調で、5割切っていたTS%もあっという間に.556でリーグ平均まで改善しており、今はチームで一番信頼できる選手でしょうね。我慢して使えば必ず良くなるからもっとちゃんと使ってほしいな、とは思っていましたが、ここまで良くなるとは流石に思わなかったです。

あと、このチームはオルドリッジの調子次第だなあと思います。デローザンの良し悪しで結果が動くという印象はあまりありませんが、オルドリッジの出来で結果が左右される印象は強く、序盤の悪さと12月以降の良さはオルドリッジの調子に連動しているような気がします。昨シーズンはほぼオルドリッジ依存状態で、ポストアップから展開するしかない場面も多かったという意味でオルドリッジ次第という感じでしたが、今季は球離れも良く、チーム全体でボールとプレーヤーがよく動く中でよく機能しており、本当の意味でやっとスパーズらしい選手になったかなあと思います。

今はボールがよく動いてシェアできているのが良いところです。序盤はとにかくデローザンからという感じでしたが、今はボールをちらしてどこからでもという点のとり方で、2014年以降で一番2013-2014シーズンのオフェンスに近い雰囲気になってきていると思います。ORtgも12月以降リーグ1位ですが、攻守両面でプレーの内容が抜群ですね。オフェンスはブレがありますが、ディフェンスはそれほど大きくブレないので、ディフェンスの質が大幅に改善したことで今後は安定して勝ちを伸ばせるのではないかと思います。西はプレーオフ争いが熾烈ですが、41試合中ホームで22試合しているので多少割り引く必要があるとしても、その中でスパーズはまず大丈夫ではないでしょうか。4位ぐらいまではあるかな、という認識です。

今の順位表では西は4位から7位まで0.5ゲーム差、3位から7位でも1.5ゲーム差でこのあたりはどう動いてもおかしくない。8位レイカーズレブロン復帰次第でだいぶ変わるでしょう。8位と9位以降に少し差が出てきたとはいえ、実際の勝率よりも得失点差のほうがチームの力を反映するというのもあるので、レイカーズブレイザーズあたりがジャズと交代で下に落ちる可能性は長期的には高いと思います。キングスは一時よく勝ってプレーオフ出場なるかというところでしたが、質に見合ってない勝率で、多分続かないでズルズル順位を落としていくと思います。同じ勝率でキングス・ウルブズ・ジャズが並んでいますが、上がるとしたらジャズでしょう。ジャズは対戦相手がきつい中で得失点差は大幅にプラスで、長期的には勝ち上がってくると思います。怪我だけが怖い。ペリカンズも得失点差はいいですが、おそらくジャズよりはスケジュールが楽な中で勝ててないので、実力は一段落ちるのではないでしょうか。

東はよくわかりませんが、やはり得失点差で見るに、ラプターズは順位を落としてペイサーズセルティックスが上げてくるかな、という印象です。6位以降はひどすぎてマジで東大丈夫なのこれという感じです。NPBセ・リーグパ・リーグの実力差よりも深刻では。なんとかネッツにプレーオフ出てほしい、という気持ちがありつつも、せっかくドラフト指名権が復活したんだから下に転がってほしい、という気持ちもあり。東8位だと15位指名権だけど、東9位だと8-10位ぐらいの指名権になってしまうのでかなり違う。あとブロッサムゲームがキャブスで結構頑張ってて嬉しいです。なんとか契約に繋げられればいいんですが。

シーズン始まる

特段書くこともないんですけども。オフェンスは思ったよりも悪くない。もっとアイソアイソするかと思いきや存外よくボールが回るので、オフェンスは昨期よりも良くなりそうですが、ディフェンスは予想以上に酷い。特にガード陣はリーグ最低レベルでは?ミルズは今更どうにもならないとしても、フォーブスは少しは良くなっていることを期待していましたが、スターターレベルの相手に対してはこうまで無力かと驚きました。いくらシュートが(いまのところ)よく入っているとしても、これではどうかな、マイナスの方が大きいのではないか。これがマレーとホワイトだったら多分180度違う結果になると思いますが。まともなペリメーターディフェンダーがいまのところゲイしかいない状況で、ペリメーター偏重の今の環境でまともに守れるとは到底思えません。ホワイトが復帰すればまだしも、というところですが、焼け石に水かな。2試合見た印象では、昨期より弱い。今期は半分勝てなくてプレーオフから落ちても文句言いませんよ。

(23:15 追記:Project Spursのポール・ガルシア記者の記事。フォーブスとミルズが完全に穴になっている)

ボックススコアをながめてて、とにかく今期はファールが多い。ペースが早いだけかと思いきや、いまのところ100ポゼッションあたり平均23.04回。過去の数字を見ると、昨季までの10シーズンの平均で21.50回昨季が20.36回2016-2017が20.54回2015-2016が21.00回と戦術的な流れがペリメーター中心になるにつれてファールの回数が減ってきている中で、今期のこの急上昇は不自然。clear path foulに関するルール変更はあったものの、ファールに関するルールの解釈の変更や適用の厳正化に関する方針とかありましたっけ?昨季は審判と選手の間の軋轢が今まで以上に問題になっていたので、厳正なルール適用をすることで曖昧な部分を減らして基準を明確にし、やったやらないの言い争いになりそうな部分をなくしてしまおうとしているのかもしれません。

B.LEAGUEのスタッツの諸問題

NBAの充実したスタッツに慣れているため余計にそう思うというところはあると思いますが、B.LEAGUEのスタッツはイマイチですね。

トータルのスタッツと1試合あたりのスタッツを混在させているのは良くなくて、トータルならトータル、1試合あたりなら1試合あたりで切り替えられるようにすべきでしょう。1試合あたりのスタッツで計算されているのが得点・総リバウンド・アシストだけでスティールその他は計算されないというもの中途半端(全部やると情報量が多すぎて表示しづらくなるから、ということでしょうが、だったらなおさらトータルと1試合あたりで分けて表示すべき)。

また、Play by Playを記録しているのだから、そこから正確なポゼッション数を計算できるはずで、ポゼッションベースのスタッツも見れるようにしたほうがいいでしょう。stats.nba.comのPace(48分あたりポゼッション数)は、ポゼッション数が推定値であって実測値ではないので、ちゃんとやればNBAの先をいけます。ちなみに、stats.nba.comのポゼッション数は「Possessions = FGA + (0.44 x FTA) + TO – OReb」で計算され、割と大雑把な値になります。BBRでは「0.5 * ((Tm FGA + 0.4 * Tm FTA - 1.07 * (Tm ORB / (Tm ORB + Opp DRB)) * (Tm FGA - Tm FG) + Tm TOV) + (Opp FGA + 0.4 * Opp FTA - 1.07 * (Opp ORB / (Opp ORB + Tm DRB)) * (Opp FGA - Opp FG) + Opp TOV))」と計算されます。複雑になりますが、より実測値に近い値が出ます。Play by Playからの実測値はPBP Statsで見ることができます。実測値<BBR<stats.nba.comという順にポゼッション数が大きくなる傾向があります。1試合あたりのスタッツはプレータイムに左右され、単位時間あたりのスタッツはPaceに左右されるので、特定の単位でのスタッツを出すのであればポゼッションベースのスタッツが最もフェアです。

また、Play by PlayからPlus/Minusも計算できるので、それも計算したほうがいいでしょう。Play by Playは基礎データの宝庫なので、ここから引き出せるスタッツはとにかく引き出すべきです。

総合指標系の発展的スタッツは、「どの基礎スタッツが、他と比べてどれぐらいの価値があるか」と重み付けしてしまう部分があります。なのでリーグがそれを採用してしまうと、「ブロックにはそんなに価値がない」とか、(ボックススコアにはディフェンス力を測る要素が少なく、発展的スタッツはオフェンス力ばかり測ることになってしまいがちなことから)「バスケで重要なのは圧倒的にオフェンス」とか「ボールを持ったら放さない選手は優れた選手」などと、リーグが公式にそういう意見表明を実質的にしてしまうことになります。そういうわけでB.LEAGUEがPER(USG%とオフェンススタッツにほぼ左右される)を代表とする総合指標系の発展的スタッツを基本的に取り扱わないのは妥当な態度と言えますが、唯一EFFというスタッツが採用されています。まず、この事の何が問題かと言うと、このEFFというスタッツの計算式が全く示されておらず、ただ「貢献度」とのみ記載されていることです。中身がわからないのに、何がどう貢献しているといえるのか。バスケのスタッツ分析の世界にはすでに2種類のEFF(Efficiency)というスタッツが存在しており、一つはNBAがかつて採用していたもの(現在NBAが採用しているPIEとは別のもの)、もう一つが現在ユーロリーグなどで採用されているものです。実際に式に当てはめたところ、かつてNBAが採用していたものと結果が一致したので、「EFF = (PTS + REB + AST + STL + BLK − Missed FG − Missed FT - TO) / GP」ということになります。単にボックススコアに記録される数値をそのまま足したり引いたりしているだけで、価値の重み付けをしていないために客観性の高い総合指標ということはできます。一方で、価値の重み付けをしない総合指標がプレーヤーの「実質的な価値」を反映することはありません。例えば、このEFFが示すのは、1回のスティールは1点分の価値しかない、ということです。通常1ポゼッションの得点期待値は1を超えます。NBAであれば、スティール(とそれに伴うTO)が存在しない世界では、1ポゼッションあたりの得点期待値は1.16点程度になります(2015-2016レギュラーシーズンのスタッツに基づく)。したがって、スティールには1.16点分の価値があります。また、スティールは速攻につながりやすく、その次のポゼッションは通常よりも得点期待値が高くなりますので、その得点期待値の上昇分の価値も上乗せされます。推測ですが、1回のスティールには1.2点分ぐらいの価値はあるはずです。また、ブロックはDREBなしにポゼッションの交代には結びつかず、スティールと同じ価値があるとは言えません。さらに、相手のシュートミスからDREBを獲得した場合、EFFはオフェンス側に-1、ディフェンス側に+1の価値を見出しますが、ブロックからDREBに繋がった場合はディフェンス側に+2の価値を見出すためこのケースのほうがディフェンス側が高く評価されることになりますが、結果は同じポゼッションの交代であって実質的には価値の違いはありません。そもそも、計算式上は明らかにビッグマンが有利になるようにできていることが問題です。REBやBLKはビッグマンが圧倒的に伸ばしやすく、リム付近でプレーするためシュートミスも少なくTOもゲームメイカーに比べれば少なくなるでしょう。昨シーズンのスタッツを観てもEFFの上位はほぼ外国人ビッグマンで占められています。単に実力的に優れているという面はあるでしょうが、そもそもビッグマンが有利になるスタッツであるからこういう結果になるわけです。シュートミスの少なさやREB%の高さが過大評価につながるのは、ボックススコアベースの他の総合指標も同様ですが、重み付けを放棄するEFFはそういった面が過大に出ます。かといって公式のスタッツが重み付けをするのは良くないでしょう。そもそもの話をすると、ボックススコア自体がディフェンスの価値をほとんど反映しません。厳しいマークで相手選手にタフショットを打たせてDREBにつなげたとして、「相手にタフショットを打たせた」ことを記録する項目がボックススコアにはないので、どうしても、そのディフェンスポゼッションを無失点で終えたことの価値をDREBを獲得した選手が総取りするような計算式しか作れません。このケースでは、タフショットを打たせたマークマンとリバウンダーとで、果たしてどちらの「貢献度」が高かったのか、合わせて1点分の価値があったとして、どのような比率で配分すべきか、その前に他の3選手は「貢献」していなかったと言えるのか、こうした問題点にEFFが、その他のボックススコアベースの総合指標が答えられることはありません。こうしたスタッツで、リーグが公式にプレーヤーの「貢献度」を評価していいのか、個人的にはすべきではないと考えます。

市井のサイトでは、Basketballnavi.DBというサイトが非常に良くできています。「ペイント内での得点」などの項目があることからPlay by Playデータを収集しているのでしょう。nba_pyという、NBA.comのAPIを解析してデータを収集するプログラムがあって、Play by Playデータを扱っているような独立系のスタッツサイトは多分みんなこれを使っていると思うんですが、Basketballnavi.DBも同じような方法でやってるんではないかと思います。立派です。Plus/Minusがあるのも良いです。

しかしながら、このサイトも簡単なものしか計算式を示していないのは問題で、計算式を示す必要がないもの以外はすべて示すべきです。検証不能な数字は全面的には信用できません。例えば、発展的スタッツの中では重要度の高いUSG%というスタッツがありますが、これはBBRstats.nba.comでは計算式が異なり差異が出るのですが、どちらも意味は「あるプレーヤーがフロア上にいるときに、そのプレーヤーがチームのプレーを消費する割合(The percentage of team plays used by a player when he is on the floor)」を指します。簡易なstats.nba.comの計算式を示すと、「(FGA + (0.44 * FTA) + TO) / POSS」であり、これが「そのプレーヤーがチームのプレーを消費する割合=そのプレーヤーがオフェンスポゼッションを終わらせる可能性のあるプレーをする割合」であることがわかるかと思います(シュートが外れてもOREBなどでポゼッションが終了しないこともあるので、ポゼッションを終わらせる「可能性のある」プレー、と表現するのが適切でしょう。ポゼッションを終わらせるFTの数は0.44 * FTAで概算するのが一般的です)。しかし、Basketballnavi.DBではUSG%を「「対象選手がフロアに出ている際」の、チーム攻撃時にシュートを試投する割合」と説明しており、NBAなどで一般的に通用しているUSG%の説明とは異なります。FTAやTOは計算に入れていないのでしょうか。具体的に2017-2018シーズンの北海道のマーク・トラソリーニのUSG%をstats.nba.comの式で計算してみたところ約34%となり、サイトの計算値である29.3%とはかけ離れたものになりました。また、そもそもポゼッションがPlay by Playからの実測値なのか推定値なのかもわからないので、ポゼッションが絡むスタッツはすべてが不明瞭です。これも同じく2017-2018シーズンの北海道のスタッツでポゼッションをstats.nba.comの式で計算してみると4501.72となり、Pace=40分あたりポゼッション数は74.6となります。このサイトの測定値は78.4なのでかなり乖離がありますし、普通は実測値よりも推定値(特にstats.nba.comの式)のほうがポゼッション数が多くなるので、こういう乖離の仕方は不思議です。やはりきちんと検証できないものは信用できないので、計算手法はオープンにすべきでしょう。