だいたいNBA

Kだよ。だいたいNBAのことを書くのです。だいたいスパーズのことを書くのです。

今更でもないドラフトーク2017

予想の答え合わせから

まずは結果。

全体の予想は正解率5/30。ものの見事に外しまくる。ひどいもんだ。それでも去年は4つしか当たらなかったからまだ良い方よ。順位は異なるものの指名したチームが同じ場合は正解とすると、DraftExpressは15/30nbadraft.netは8/30チャド・フォードは12/30でさすがの正答率。上の方は当てやすい一方で下の方はハズレが溜まって正答率が低くなっていくのだけれどそれでも当てているDraftExpressは流石と言うべきか。23位でアヌノビーとか普通は当たらん。しかし、毎年当たらなくても予想するのは、そのプロセスで諸々の分析をすることでこのチームはここが強いとか弱いとか厚いとか薄いとかそういうことが分かるから。ドラフト後のFAの動きも各チームの狙いがある程度わかってきます。当たったかどうかより理解したかどうかが重要なのです、と無様な言い訳をしておく。まあ、でも仕事で書いて5つしか当たってないやつもいるから大丈夫。

DraftExpressといえば、去年のドラフト感想で「DraftExpressのモックは当日のインサイダー情報に基づいてドラフト直前に変えている」と書きましたが、今年もやってましたね。証拠なしで言ってもしょうがないので今年は変更がある場合にできる限り全てに近いぐらいの頻度でarchive.isにデータを保存しておりました。で、6/22というのがドラフト当日なわけですが、これの09:37更新版では例えばニリキーナ(実況アナウンスからンティリキーナと表記していましたがこっちが正しいらしい)が15位で、その次の更新の14:26更新版でも同じでしたがドラフトが始まった直後の16:06更新版ではニリキーナが8位に変更され、その10分後の16:16更新の最終版でも同じ結果になっています。ドラフトが始まったのが東部標準時の19:00で、DraftExpressの更新時間は太平洋標準時で東部標準時に3時間遅れなので、ドラフトが始まってからの不自然で大幅な変更です。要はここでインサイダー情報が入って当てにいったということでしょうが、なんだかなあ、これで当てたとか言われてもねえという感あり。他ではアヌノビーとブラッドリーが前日までは異なる予想だったのに当日に「正解」の予想に変わっています。まあ、でも現場の各チームのGMなどは、こういうインサイダー情報に基づいた確実な予想があることで(特に複数指名権を持つチームが)指名戦略を変えたりできて良いのかもしれません。あと、去年に比べればこういう変更は少なかったと思います。去年はメイカーとかパパヤニスとか極端な順位変更が結構ありましたからね。nbadraft.netも直近までせせこましく変えたりしますが、アヌノビーやパセシニクスなど、自分とこで評価していない選手に関してはたとえ一般的な評価がどれほど上がろうともずっと2巡目予想で貫いています。これはもう予想というより評価の押し付けですが、Kの尊敬する格闘とんち漫画家の板垣恵介先生は「強さとは我儘を通す力」と語っておられます、nbadraft.netのモックは、強い、漢の予想と言えるでしょう。憧れちゃいますね。

あとスパーズの予想も完璧に外す。ポジション分析の段階でガードもありうると考えていたなら、ホワイトは確実にガードの本命にしていたと思いますが、スパーズって2年連続で同じポジションの1巡目指名とかなかったと思うし、特に去年マレー指名できちゃったので今年はガードはないなと思って外してしまった。ブロッサムゲームもまさか落ちてこないよなと思ってたら落ちてきてしまった。こっちに関してはいい方に外れたので良し。先に書いたようにスパーズ的な観点から言えば非常に素晴らしい素材です。シューティングが改善すればそれだけで平均よりだいぶ上のウィングに化けうる。ホワイトについてはこれでいいのかどうかよく分かりません。ミルズほどのスピードはありませんがそれ以外ではミルズの上位互換だと思うので(シューティングに関しては不明)、これでミルズが去ってもあまり問題にならなくなったと思います。サイズがあって身体能力が高くて視野が広くてバスケットボールIQが高くて、シューティングもパスもドリブルもあらゆる技術が高水準で、現時点でほぼケチの付け所がないんじゃないでしょうか、完成度が非常に高いです。特にプルアップ3Pを高率で決められること(2モーションなのにフィートセットからリリースまで一切無駄がなくかなり早いので、スペースが少しでもあれば安定したフォームで躊躇なく打てる)やFTを稼ぎまくることで得点効率が抜群にいいのが素晴らしい。ディフェンスでややフィジカルが弱いとか23歳とかマイナス点はそれぐらいか?ディフェンスといっても、ガードなのにBLKが1試合あたり1.4とかどうかしてるし(BLK%が4.9%とかC並み。ジャレット・アレンのBLK%が5.0%なのでこれとほぼ同じです。とにかく読みとタイミングが抜群。サイズと身体能力はもとよりIQの高さでブロックしている面が強い)、サイズがあってフットワークが軽いのでフィジカルと技術を鍛えればすぐにものになると思います。Pac-12のオールディフェンシブチームに選ばれてるし、そもそもディフェンスは大学レベルではかなり良い部類でしょう。ディビジョン2からの叩き上げで、しかも今までずっとウィングで、最終学年で初めてのディビジョン1チームでのプレーにして初めてPGでプレーしてちゃんとものになっているところとか、バスケットボールIQと成長力は恐るべきものがあると思います。マレーとの兼ね合いをどうするかが今後問題になるでしょうが、将来的にジョージ・ヒルみたいになってくれるといいなと思います。他にも山ほど優秀な選手がいる中でベストの選択として選んだのだろうから、これはこれでいいか。去年マレーを獲得していなかったら「最高!100点!」と喜んでいたことでしょう。

ホワイトやブロッサムゲームの記事は後で集めよう。しかし、インサイド、オルドリッジをトレードするとして特にPFはどうしたものだろうか。いっそアンダーソンにでもやらすのか。

ドラフト雑感

今年は人材豊富で、基本的にどこが誰をどの順位で指名しても「いい指名」になる感じでした。13位まではほぼ評判通りという指名で、それ以降も多少の順番の前後はあっても、基本的には波乱と呼ぶべきものはありませんでした。1巡目だとアデバヨが早いな、ハートが入るんだ、ぐらいのとこですかね、驚いたのは。去年の大荒れっぷりが恋しい。

指名が早い順から感想。てきとうです。

シクサーズは100点以上。一体これで誰がどこに文句つけるのか。シクサーズファンは少なくとも開幕までは毎日夢心地でしょう。サム・ヒンキーの方角に毎日礼拝しないとね。個人的には50位のレソートが好きで好きで……もう犬かってぐらいボールを追いかけ回して可愛いです。NBAでも一生懸命あっちへこっちへ走り回ってほしい。スタッシュだろうけど。なんかGM変わってからインターナショナルプレーヤーばっかり指名してますが、ブラウンの要望かなんかでしょうか。あとパセシニクスのために2020年の1巡目と2巡目指名権をトレードしたことに、ついにシクサーズも他所に指名権を与える立場になったか、という妙な感動をおぼえます。しかし、シクサーズの指名権ではなくサンダーの1巡目(1-20位でプロテクト、条件が複雑)とネッツかニックスの安い方の2巡目指名権なのが微妙に腰が引けていてダサい。感動がさめる。ここは男らしく「2020年には俺らトップチームになってっから!シモンズでフルツでエンビートだから!」と自分とこの指名権を出してほしかった。3年後にリーグのトップ10になっている、サンダーより上のチームになっているという自信がないってことよな。Kはこのトレード、ダサいって言い続けるからな……。

レイカーズも100点以上でしょうか。弱いところに的確にいい選手を指名していて賢いと思います。28位を30位と42位に交換して42位でブライアントというのは本当にうまい。それと各ポジションでシュートレンジの広い選手を揃えているのが、方向性がわかりやすい。あとはシューティングを改善するためには戦術構築が問題で、一番穴の大きいディフェンス力は現時点ではほとんど改善できないメンツだと思うので、長期的なコーチングと育成の成果がこれから問われます。オヤジが言うような「来年ロンゾがプレーオフに連れていくぜ」みたいなことには多分ならないでしょう。バスケットボールの半分はディフェンスですので、それがリーグ最低のチームはオフェンス力がリーグ最高のチームにならない限り、82試合の半分を勝つことはできません。まあ、半分どころか45勝してプレーオフに出れないこともあるのが地獄ウェストの地獄たる所以ですが。偉大なるポール・ジョージ様のお力をお借りして早くて2年、多分3年以上はかかるんじゃないですかね。なんにせよ1年でどうにかなるようなものではないでしょう。

セルティックスはこれ、いいのか悪いのかなんとも言えない感じで。セルティックスの主力って基本的に外様で、ドラフトから中心選手が育ってないんだよなあ。ブラッドリーは効率があまりよろしくないですがまあこれは良しとして、スマートは基本的には失敗に分類していいでしょう、オリニクもロールプレーヤー以上になれない、ロジアーもダメダメ、ブラウンは結論出すのに早すぎるとして、このチームはわりとドラフト下手なんではないだろうか、あるいは育成が下手か。うーん、主に育成かな。オジェレイはここで取れて羨ましいと個人的には思いますが、3位はジョシュ・ジャクソンで良かったのではないか、他にもっといい選手がいるのではないかと思う余地のある指名が今年もなされたという印象です。結果がいい方に行けばそれでいいですが。しかし、これだけ条件の良い指名権をたくさん持っててすでに良いプレーヤーがたくさんいて、5年以内に優勝できなかったら大問題だぞ。

サンズは病気が治ってよかったね。治ったと見せかけて54位でアイザイア・ブリスコーをぶっこんでくるのではないかと期待していたら違った。本当に治ったのだ。来年ぶり返すかもしれませんが。32位は他にもっといい3&Dプレーヤーがいたのではないかと思います。サンズにとって一番欲しいポジションに他の年なら1位指名されるような選手を取れたのは奇跡に近いですね。

元祖謎ドラフト本舗、キングスが実にらしくない真っ当な指名をして大変驚いています。10位を売って15位と20位で可能な限り良いSFの指名とPFのポテンシャルピック、本当にこれはキングスだろうかと不審になる上手さ。去年なんてトレードダウンした挙句13位以外は完全に成り行き指名してたのに……。ジャイルズについては、インサイドはかなり厚いので、また去年指名したラビシエが良かったので、失敗してもそれほど痛くないということでPFでリスクを取りに行けたんだろう、と理解しております。PGが本当にいないので34位で重ねてPGを取りに行ったのも良かったのではないでしょうか。新人二人にいきなりおまかせでは厳しいので、多分誰か堅実で新人の良い教材になるベテランPGをFAで取りに行くと思います。誰がいいかな、カリーかな。

マジックは選べる範囲でできる限りいい選手を選びましたという感じ。誰もケチはつけない感じ。うーん、これ以上特に書くことない感じ。

ブルズとウルブズのトレードについては批判的なことしか思い浮かばないです。ブルズファンとウルブズファンには申し訳ないんだけど、本当に不快な代物でしたね。まずトレード内容の妥当性を考えると、やはりブルズがバトラーを安売りした印象があります。シボドーが昨シーズンからバトラーを獲得を熱望していたことは明らかで、他に引き合いも多数あったため、バトラーのトレード市場は完全に売り手市場だったのだから、もっと条件を有利にできただろうと思います。ラヴィーンが来シーズンプレーできる試合数がかなり限られていることと来オフにRFAになることを考えると、バトラー(契約が3年残っている)対7位指名権+ダン(この選手もシニアドラフティーだ)でも安売りしている感があるのだから、16位指名権は出さなくても可能だったのではないか。全盛期を迎えたフランチャイズプレーヤーをこうまで安売りできるブルズGMの蛮勇ぶりは、よそから見る分には呆れを通り越してちょっと清々しい感じもしますが、怒れるブルズファンは石投げてOK、許可します。ウルブズ側の不快な点はラヴィーンを出したこと。そもそも、この手のプレーヤーを毎試合勝負が決まっても引っ張って長時間プレーさせ続けたらどうなるか、シボドーはデリック・ローズから学ばなかったのだろうか。さんざん使い潰した挙句当然のように壊して、それでトレードではいさようならってひどい話だ。シボドーはバトラーのトレードを主導したはずだし、社長なんだからトレードの内容に許可を出す立場なわけでしょう、本当に嫌な気持ちになります。トレードの一方が安売りしたとき、その相手方は得な買い物をしたことになりますが、だからといって「うまいトレードをした」とウルブズ側を褒める気には全くなりません。最低のコーチと最低のGMの最悪のコラボレーションがこの醜悪なトレードだったと思いますよ。ブルズの指名については足りないところにちゃんと選んだなという感じですが、ベルをウォリアーズに金銭トレードで出したのは謎。1巡目指名されててもおかしくないような選手を普通金で売ります?マルカネンとポルティスでPFが十分になったからというのであれば別のポジションで指名すればいいだけだし。なんで売ったのか理由が分からない。まず1年しっかり育成して、2年目の出来具合をみてその後のことを考えればいいと思いますが。毎年即戦力になりそうな選手ばかり指名するところといい、基本的に待つことができないんですかね。そういやDリーグチームもしばらく持っていませんでしたが、育成とかする気がないのだろうか。

ニックスは必要なポジションにいい選手を選びましたよ。問題は才能を消尽させない環境づくりをしてあげられるかどうかですよ、このチームの場合は。そしてそれが無理そうなのはご存知の通り。ポルジンギスほどのポテンシャルの持ち主でもスタッツに現れる限りでは1年目と2年目でほとんど質的な向上がみられない。NBA1年目から2年目の期間って多分1番と言っていいぐらいプレーヤーが成長する時期だと思うんですが。頑迷なフィル・ジャクソンをクビにするのが最大の補強なんだろうけど、いつもは悪い意味で行動力のあるドーランが、今や悪い意味で行動しなくなってしまった。仮にクビにしたとしてもドーランがまた悪い意味で行動的になるだろうし。関係者全員のHPをそこにいるだけで削っていく毒の沼地のようなニックスですが、ドラクエじゃないのでトラマナなど唱えられない。もはや立ち入らないのが一番という状況でしょうか。情けなや。今のニックスでプレーしたいと思ってるプレーヤーなんてほぼいないんじゃないでしょうか。

マブスはアスレチックで火力のあるPGという一番必要な選手をゲット。長期的に中心選手になっていく期待がかけられますが、よくも悪くもウェストブルック的なプレーヤーなので、非効率なボールを動かせないプレーヤーになってしまう恐れはありますが、カーライルならきちんと教育できるでしょう。人に恵まれたチームに指名されるのはスミスにとって幸運だと思います。

ブレイザーズ、ロースターの空きも3枠しかないし、10位と15位+20位の交換はうまい。しかしまさかPFを二人指名するとは。どんだけ現有PF陣を信頼してないんだ。信頼しろっつー方が無理か。アミヌが実質PFとして、PF5人。うーん、まあ取った二人は両方ともいい選手なので指名自体は悪くないのかな。

ホーネッツが謎ドラフトをしなかったのにはがっかり。残った選手で一番いいのを普通に指名しやがって……。ケチをつけるところがあるとしたらそれぐらいでしょうか。今年は謎ドラフトが少なくて寂しいですね。ホーネッツとキングスが頑張ってくれないと面白みが減るなあ。

ピストンズは、あ、そっち?という感じですが、足りないところに想定される選手を普通に取った形か。これも特に言うことないかな。非常に真っ当です。

ジャズはトレードしてミッチェルとブラッドリー。性格のいいウィングスパンのある選手を取るという実にジャズらしいと言うかなんというかな指名でしたね。最初ナゲッツがミッチェル指名したときは「またSG!!」と呆れましたがトレードして獲得したのが「またストレッチ4!!」だったので再び呆れました。ジャズがウィングにいかなかったのはヘイワード残留への自信の表れとKは受け取っておきますよ。あとやっぱり古典的Cは取るのね。ウィリアムス=ゴスもジャズらしい。全体的にチームカラーの出た指名だったと思います。

ヒートについて。Q.あのー、なんで?A.貪欲なハードワーカーが好きだからじゃい。とのことです。ホワイトサイドとどちらか片方だけという使い方はしないだろうから、サンダーみたいなダブルCの状況がどんどん出てきそうで、フロアのストレッチとかどうするんだ感。ディフェンスは次シーズンもまたバッキバキになりそう。まー、ヒートはスカウティングがかなりいいので結果的にやっぱり正解だった、という未来が来そうではある。

ジャスティン・パットンは全部がいい方に改善するとちょっとしたタウンズになりそう、とか書いたらタウンズのいるチームに指名されてしまった。PFという感じでもないので、シボドーがタウンズを壊してくれないとほとんど試合でれなさそう。ジェンも契約延長したし。シボドーって確かDリーグも全然活用しないよね。パットンが成長・活躍できる環境が整うということはウルブズにとって不幸な状況ということになりますし、ウルブズにとって順調な状況はパットンにとって不幸な環境になりそう。

バックスはポジションお構いなしとは書いたものの、まさかここまでとは。こりゃメイカーはCで使っていくということで確定か。なんか、全ポジションでかくてニョローンとしたのが揃ってる。

ペイサーズはあちこちのメディアで指名の評価が低いですが、結構良くない?2巡目でザ・センターという感じのアニボグも取れて、身体能力の高いスラッシャー型のコンボガードのサムナーも取れて、ほしいところにかなりいい素材を指名できていると思いますが。ウィングとPGも必要ですが、18位、47位、52位で指名するならこれでケチはつけられないでしょう。与えられた条件の中では十分良い選択をしたと思いますけどね。来年は今の所ウィングが充実しているみたいですし、長期で見ると悪い指名とは思えない。

ホークスは会心の指名ではなかろうか。点とリバウンドを取れるPFというホークスが一番必要としている選手がよく残ってたなあ。また、このチームならシューティングレンジもちゃんと広げられるだろうし、チームとコリンズの双方にとって最良のマッチングだと思います。バスケットボールIQがアレでディフェンスがひどいらしいのでそのへんの伸びしろが怪しいですが、なんとかするしかない。なんとかして。

サンダーはアスレチックな3&Dのウィングがほしいということかな。来季サンダーはサラリーキャップに全く余裕がないと言うか多分タックスラインをぶっちぎると思うので、ディフェンスは出来ても点を取れないロバートソンと高額の契約延長をするとは考えにくい、他のウィングはオフェンスかディフェンスのどっちかがさっぱりな選手が多いのでファーガソンに両方できる選手になってほしい、ということでしょうか。まあ、ああいう戦い方をしている以上誰が来てもシューティングの悪さはどうにもならないと思います。サンダーに来る前、シングラーはなかなか良いシューターだったことを思い出そう。プレーヤーの問題じゃなく戦術の問題ね。ボールが動かないチームのシューティングが改善することはないし、サラリーキャップ的に優秀なスコアラーが入ってくることもないので多分戦術も昨季とあまり変わらないでしょうから、来季は良くて現状維持ですかね。ファーガソンはフィジカル的に仕上がってないので、最低1年は育成期間が必要なのではないかと思います。

ネッツはドラフト以前にトレードが見事。どん底感は相変わらずだし短期的に良くなることはないだろうけど、少なくともその環境の中で長期的視点から打てる手は最大限に打っていて大変良いと思います。ロベス兄はどん底ネッツを長年支えてくれていたわけですから、できればもっと長くプレーしてほしかったという感もありますが、仕方ないか。ラッセルは心機一転ネッツで頑張ってほしい。アレンも22位では本来指名できない選手だと思うので良かったと思います。2019年にようやくドラフト1巡目指名権が使えるようになるので、あと2年は地ならし期間だな。ショーン・マークスGMの手腕は見事ですが、もうドラフト指名権と交換できるような資産がないので、来オフは今まで以上に難しいオフになりそうです。キャップルームがスカスカなので今年もRFA選手へのネッツ爆弾が炸裂しそうで非常に楽しみ。ブレイザーズはおかげでスカスカキャップルームからタックスライン超え目前まで急進しててすごかったですね。他所のチームに同じことをしていたので因果応報ですが。

ラプターズは安い買い物をしたのではないかと思います。シューティングはだいぶ怪しいですし時間がかかるでしょうが、このレベルのディフェンダーはそうはいないと思います。1年目はしっかりリハビリと育成に注力して、戦力として期待するのは2年目からでしょうか。

ナゲッツは去年エルナンゴメス取って更にストレッチ4を二人ですか……ダレル・アーサーもいるし……。シューター型のSGも4人ぐらいいてバランスが悪いっすね。実際今シーズン3Pポンポンチームになって得点効率がいいのだから、こういう方向に傾くのも分からいではないが。ロケッツみたいにC以外全員シューターみたいな方向に行きたいのかも。

2巡目はいい選手いっぱい。各チーム好きそうな選手を取ってるなあ、という。ハルテンシュタインとアニボグはここまで落ちたか、モトリーが指名されなかったのか、という部分は驚きでした。

今年は荒れなかったのであんまり面白くなかったし全体的に書くこともないですね。キングスが今年もSGを指名して我々の知性の限界を試してきたり、ジョーダンが「ワシャ大学で実績を残した者しか認めん!」と怒りのフランク・メイソン11位指名とかやらかしてたら大喜びでしたがそういうのもなかったので。来年は大荒れの指名を期待。おわり。

NBAドラフト予想2017

個人的に毎年やってるもので

概要。

  • ポジション分析が大前提。
  • 置きに行きません。
  • スパーズ以外のチームに関して詳しくありません。
  • 故にめちゃくちゃ当たりません。

FAやトレードを考慮すると極端に複雑になりますし、そもそもそんなことを予想するのは不可能なので基本的に考慮しません。単純に今の戦力やスタッシュしているプレーヤーのポジションからどこが長期的に足りないかをみて予想します。予想するのは1巡目だけで2巡目はやりません。

1位セルティックス……マーケル・フルツ

ガードとウィングは揃っていて足りないのはビッグマンなんだけど、今年の最上位はPGとウィングなのでどうもこうも。去年PFとCにスタッシュしているのでそこも長期的にはそんなに苦しくないか。素直に一番いい選手を取るのではなかろうか。スマートはいくらディフェンスが良くてもあのシューティング(しかもほとんど成長してない!シューティングコーチおらんの?)ではどうにもならんし、スターターの2人のガード(とインサイド)はサイズがなさすぎてサイズのあるラインナップをぶつけられると脆いしで、結局早くに台頭していくのではないでしょうか。ブラッドリーが元々PGだったことを考えるとガードが全員PGというウルトラ偏った陣容になりそうで楽しみ。

2位レイカーズ……ジョシュ・ジャクソン

ロンゾのオヤジが息子をレイカーズに入れたくて入れたくてしょうがないという感じですが、レイカーズが誰を入れたいかが問題であってその逆ではない。基本的には全ポジション足りないのだろうけど、ガードはその中では力のある選手がいる方で、相対的に薄いのはウィングとCでしょうか。ということでウィングの1番いい選手にしときましょ。外のシュートが弱いですがスラッシャー型かつゲームメイカー型のウィングなのでイングラムとも違う個性がある。今時は2ガード1ウィングよりも1ガード2ウィングのほうが主流に近くなってきているし(2ガードがメインのチームはディフェンスで苦しみがち)、イングラムとジャクソンのサイズと身体能力のある2ウィングとか攻守両面で相手は嫌だと思いますよ。まあ、ピック&ロールをたくさんしたいならロンゾ・ボールのほうがいいと思いますが。なお、大学時代3P%が素晴らしかったラッセルとイングラムNBAではかなり落としているように、3P%は個人の能力よりもチーム全体の戦力と戦い方に左右されます。また、NCAANBAでは3Pラインの距離がかなり違います。したがって、ロンゾが来たら3Pが改善されると考えるのは間違いです。むしろあの変なフォームでシューティングレンジを伸ばせるのかを懐疑的に考えたほうがいいと思います。高校時代は3P%が悪く、FT%も現段階でかなり悪いのだから。

3位シクサーズ……フランク・ンティリキーナ

マジで。まずチームとしてシモンズをPGとして使うつもりであるということが大前提。そんでCとPFは分厚すぎるぐらい分厚い。ウィングもスタウスカスが本格化してきたしルワウ=カバローも良くなってきてたし更にコークマズもスタッシュしてるしで結構厚い。足りないのはガード、それもPGだけ。で、シモンズがゲームメイクするなら、必要とされるPGとは、ちゃんとディフェンスができキャッチアンドシュートで3Pが打て、もちろんその選手はその選手でゲームメイクできなければならない、かつこういう役割を受け入れられるメンタリティとか人間性がいるわけです。となると全部揃っているのはンティリキーナだけなので、こうなります。

4位サンズ……ディアーロン・フォックス

常識的な見地から:ガードとビッグマンはもう十分います。必要なのはウィングです。場合によってはCもです。でも、今年の4位指名権を行使するならPGかSFですよね?だったら残ってる中で一番いいSFのジェイソン・テイタムで間違いないですね?いやあ、実に簡単な話じゃないですか。

医学的な見地から:サンズのフロントは「ケンタッキー大出身のガードしか活躍してくれない」という経験から、ケンタッキー大出身のガードを獲得しなければいけないという強迫観念にとらわれています。4位指名権を使えば今期のケンタッキー大で最も評価されているPGを指名できますし、ここで指名しなければもう指名できる可能性はありませんのでフォックスを指名するでしょう。この症状に効く薬があるわけではないので、ケンタッキー大出身のガードじゃない選手に活躍して貰って粘り強く回復を待つしかありませんね。おだいじに。

5位キングス……ジョナサン・アイザック

キングスで必要なのはPGとSF、10位にトップレベルのSFが残っている可能性はない一方でPGが残っている可能性はあるので5位はSFに使うほうがいいでしょう。で、テイタムとアイザックでなんでアイザックかと言うと、アイザックのほうがロングレンジの質が高いから。今のオーナーのもとでキングスはデータボール的なチームづくりの方向性を目指していることはある程度明らかで、そうなるとミッドレンジ中心で身体能力も特別高くないテイタムよりは、3Pが打てリム付近までボールを持っていけるサイズと身体能力があるアイザックのほうが効率的でチームの方向性に合うでしょう。

6位マジック……ロンゾ・ボール

マジックほど特徴のないチームがあるだろうか。全てのポジションが少しずつ劣っている結果全体がすごく劣っているという、逆にどっから手を付けていいかわからない状況ではないでしょうか。フォーニエがめちゃくちゃバスケうまい、ぐらいの印象しかないっす。チームの方向性もよくわからないし。よくわからないからとりあえず残ってる選手で一番評価が高いやつで予想しときますね。オヤジの面倒もよろしく頼む。

7位ウルブス……ラウリ・マルカネン

とりあえずガードは十分いる、インサイドも厚いしウィングもなかなか、どこが長期的に必要か判別しにくい。多分、ラヴィーンとウィギンズとタウンズがコアになるのでしょう。となるとそれ以外のポジションで長期的にいい選手がほしいのはPFかなあ。それもストレッチ4。じゃあマルカネンかな。あまりしっくり来ませんが、消去法的にこんな感じで。

8位ニックス……ジェイソン・テイタム

カーメロ・アンソニーを出したくて出したくてしょうがない状況なのに、似たようなタイプのテイタムなんか取るか?という感もありますが、さすがにアンソニーよりはボールを動かせるだろうし、若手なんで教育していけばなんとかなるでしょう。PFとCはなんとかなりそうな一方でガードが全く足りませんが、リーが素晴らしい活躍かつ長期契約をしているのでSGはぎりぎりなんとかなるとして、PGは本当にヤバイ。かと言ってボールを持ったら離さないデニス・スミスが来ようものなら更におかしくなりそう。うーん、やっぱりテイタムか。ガードはFAでなんとかして。ポルジンギスが言うには若手が成長できる環境が整ってないということなので、誰が指名されるにしても自分の力で頑張ってください……。

9位マーベリックス……デニス・スミス

どのポジションも半端にプレーヤーが揃っているので意外と予想が難しい。本来はこんなに成績落とすようなチームじゃないし。とりあえず長期的にみて薄そうなのはPGとPFか。となるとスミスというのが一番合理的かな。PGは少ない割にアンダーサイズの優秀なSGは何気にたくさんいるのでモンクだとちょっと過剰だし、PFでザック・コリンズなどというのもありかもしれませんが、ディフェンス力よりも火力がほしいはずなのでやっぱスミスだな。

10位キングス……マリック・モンク

おーいPG残んなかったぞー。どうしよう。順番で決めればモンクなんでしょうが、そこキングスで過剰なほど分厚いポジションだし、スタッシュしてるやつまでいるし(しかもかなり優秀)。あともうビッグマンとSGしかいねえよ。PFやCも同じぐらい分厚い。しょうがない、一応高校生のときはコンボガードだったみたいだし、サイズ的にはNBAのSGとしては厳しいし、モンクにPGやってもらおう。実際モンクにPGのスキルがついたらリラードみたいになるかもわからんし。

11位ホーネッツ……ザック・コリンズ

ガードはなかなか充実していて、ウィングもまあキッド=ギルクリストがもうちょっと成長してくれればというところで、インサイドもいるっちゃいるような。基本的にはフロントコート陣が補強ポイントでしょうか。チームスタッツを見るとTOV%が低くFTでかなり得点が取れて逆に相手にFTを与えないためまずまずのレイティングになっていますが、eFG%は低く対戦相手のeFG%は高いので基本的にはオフェンス力もディフェンス力も低いと言えますし、またOREB%もかなり悪いのが厳しいです。攻守で効率がよくOREBを取れる選手となるとザック・コリンズでしょうか。OREB力で言うとジョン・コリンズでもいいかもしれませんがディフェンス面での評価が多分こっちのが高いし、サイズ的にCでも行けるので。なんかコンセンサスと一致してしまってつまらんな。このチームは比較的謎ドラフトをしがちなチームで裏切ってくれると思うのでそれを期待。

12位ピストンズ……ドノヴァン・ミッチェル

インサイドがギッチギチ。屈強なビッグマンたちが狭い部屋にギッチギチに詰まっている光景を想像してしまいますよ、このチームは。足りないのは明確で、SGで3Pを打てる選手。ミッチェルかケンナードが妥当な線で、ミッチェルのほうが身体能力が高いですしディフェンス力もあるので、あまりアスレチックな印象のないピストンズにとってスパイスにもなりディフェンス力のさらなる強化にもなる。あと明るく性格のいい選手らしいのでSVGのおやっさんとも楽しくやってけそう、という印象論でミッチェル。

13位ナゲッツ……OG・アヌノビー

ナゲッツについて考えるとき、いつも「なんでこれだけメンツが揃っていてプレーオフに出れないのか」と思ってしまう。各ポジションに水準以上の選手が揃っているのに。まあ、一番身も蓋もない理由は「ナゲッツがウェストのチームだから」ということでしょう。82試合中52試合もレベルの高いウェストのチームと戦わなきゃいけないんだもの。イーストのチームとの対戦成績は16勝14敗で勝率.533ウェストのチームとの対戦成績はウェストのチームとの対戦成績は24勝28敗で勝率.462、仮にナゲッツイーストのチームだったら52*.533+30*.462=41.6なので42勝してプレーオフに出れた可能性が高かったんだよね。地獄ウェスト、哀れナゲッツ

ということで現有戦力の底上げで十分です補強ポイントなんてものはないです。とも言ってられないが。強いて言えばSFかCが足りないかと思いますが、リーグ最高レベルのオフェンス力と最低レベルのディフェンス力を兼ね備えた超ピーキーなおもしろチームに必要なのは多分まともなウィングディフェンダーもだめなんだけど、どっちかと言うと外のほうがだめだと思うので。ということで全体的な評価とウィングディフェンダーとしての能力・ポテンシャルを加味してこうなりました。

14位ヒート……T.J. リーフ

FAが大量でロースターがスカスカなのですが、とりあえずガードは比較的厚い(リチャードソンかウェイターズは残すだろう)、ウィングもウィンズロウがいる(もっとできるはず)、Cはホワイトサイドがいる、となるとPFかな。ディフェンスは今年も良かったので、欲しいのは得点力のあるPFということになろうか。ジョン・コリンズはわりとCに近いPFで、効率はいいけどフロアをストレッチする力やボールを動かす力に疑問あり。ホワイトサイドとも役割を食い合う。ジャイルズも実質Cみたいなもの。となるとリーフでしょうか。

15位ブレイザーズ……ジョン・コリンズ

ロースターがすでに12枠埋まっとる。ノンギャランティーのエジーリ、クォーターマン、コノートンは多分クビでしょ。5分類法で空いているポジションはPG、SG、Cとなるのでそのへんが埋まるべきでしょうが、ほんとうに薄いのはフォワードなんだよなあ……特に頭数だけは多いPF。このチームはとにかくガード軍団がボンボン3P放りたいチームだと思うので、オフェンスリバウンドが取れてインサイドで確実に点が取れる選手、ということでジョン・コリンズではないでしょうか。ブレイザーズのディフェンスは非常に悪く、特に外を致命的に守れないわけですが(インサイドは悪くない)、ディフェンスの弱いガード3人を中心に回しているのでどうにもなりません。でもその3人で高火力を実現しているのでトレードオフですな。諦めて。

16位ブルズ……ジャスティン・ジャクソン

毎年のように1巡目で4年生選手を指名するシニア大好きブルズに試練の年!この順位で指名すべき有力4年生ドラフト候補がいない!現時点で相当仕上がっている選手ばかり指名するチームなので、この辺の順位でないと指名できない選手でシニア力(なんだそりゃ)の高い選手となるとジャクソンですかね。22歳だし。ウィングは比較的厚く本来であればPFのほうが優先度高いですが、他のビッグマンは素材型の1年生ばっかりで年増好きのGMの陰茎が勃たないと思う。今期トレードで入ってきたグラントも2015年ドラフトの19位指名のシニアで、ブルズはそのみっつ後で2年生のポルティスを指名しましたが、多分本命はこっちだったんだと思う。怖い……。

17位バックス……イケ・アニボグ

こっちは逆に完全なるポテンシャル志向。アデトクンポで味をしめたのか、とにかくサイズがあるとか身体能力が高いとか若いとかそういう志向ですね。パーカーがいるのに去年同じPFのソン・メイカーを指名したりポジションもお構いなし。ポジション的にはPGかCなんでしょうけど、ブログドンをPGとして扱うならCのほうが薄いですね、そしてこのポジションには今ドラフトで最も若く最も洗練度が低く最も素材の味が濃厚なアニボグという選手がいますね、ってことで。

18位ペイサーズ……ハリー・ジャイルズ

ウィングとビッグマンは充実。PGだけがいない。かと言ってこの順位で指名するべきPGもいない。てかなんでこのチーム勝てなかったんだろう。50勝ぐらいしそうなメンツだと思うんですが。数字を見る限りでは3P%はいいけど本数が少なく、相手には結構3Pを決められていた、というのが効率で差をつけられたところか?あとリバウンドが弱い。よくみたらターナー以外にCらしいCがいないのな。ターナーもCらしいCかと言われるとちょっと違う感じもするし。となるとシューターかCか。3Pを打てる選手は現にそれなりにいるので、リバウンドに強いCを取るのがいいでしょうか。てことでジャイルズ。アレンとパットンよりもおそらくリバウンド力が高いので。ポテンシャルの評価が非常に高いのと怪我のリスクが大きいので、なんならトレードのダシにしてもいいでしょう。3&Dのウィングを取るとしたらオジェレイもアリかもしれませんが、この順位だとやや微妙だし、これもジャイルズをトレードに出して他から計算できる選手を取ったりするほうが確実か。予想が難しいです。

19位ホークス……アイザイア・ハルテンシュタイン

FAでごっそり抜ける。一応ガードとウィングとCはいるけど、シュローダー以外は絶妙に頼りない。プリンスあたりは飛躍しそうな感じがしますが。ベイズモアとの契約が重荷になってますね。必要なのは点が取れるPFか、ということでハルテンシュタイン。全く自信なし。リバウンド力も込みでスワニガンなんてのもあるかもしれないけど、走力とディフェンス力のなさはこのチームでは問題でしょうね。

20位ブレイザーズ……ルーク・ケンナード

君らの好きそうなSG残ってたぞ。次はPGだな。

21位サンダー……ジャウアン・エヴァンス

まずドラフト指名権を持っていることにびっくり。なんか前オフから自分とこに戦力的に有利なトレードばっかしてませんでした?それでなお指名権残してんの?どんだけ交渉がうまいんだプレスティ……。とりあえず足りないのは2番手PGか堅実に点を取れるPFか。3P%の悪さはプレーヤーの問題じゃなくウェストブルックにボールを集中させてボールが動かない戦術の産物なので誰が入っても良くなりません(それであの数字を残しているアブリネスがどれだけ優秀か)。なのでシューターを求めなくても良いでしょう。PFはサボニス取ったばかりだし、アダムスとカンターのダブルCでプレーすることもあるみたいだし、PGのほうが深刻ですかね。ということで思い切って正統派PGのエヴァンスでどうですか。プルアップ3Pも打てるし。じゃなかったらラブかな。

22位ネッツ……アンジェス・パセシニクス

全部足りない。強いて言えばPGとCにしっかりした軸がある、というぐらい。ウィングはルヴァートとホリス=ジェファーソンが有望。SGはキルパトリックが素晴らしかったし契約も残ってる。つーとPFですかね。チームの方向性が、とにかく早いペースで3Pをボンボン打つというあれを極端に突き詰めたあれなので、走れて3Pを打てるPF。更にOREBが取れないこととリム付近で点を取れないことが問題なのでそれも解決できる選手。これ全部解決できそうな選手はパセシニクスぐらいか。走れて中も外も抜群に得点効率が高い、リバウンド数はやや少ないもののOREBの比率が高くOREB%はレベルの高いスペインリーグで9.8%アレンが10.9%パットンが7.5%ウィルソンが6.7%ラブが10.7%なのでこの辺で指名できそうな他のビッグマンと比べてもOREB力に差がないと言うか十分優れている。まあ、この選手はPFじゃなく普通にCなんだけども要求満たせばそれで十分でしょう、ポルジンギスもっとでかいし。

23位ラプターズ……ケイレブ・スワニガン

C大国。ノゲイラくれや。基本的にどこもかなり揃ってます。ロウリーが残る前提で考えてPFか?比較的古典的なタイプのPFは去年取ってるし同じタイプのラブには行かないかなあ。ロウリーとデローザンでもりもりFT稼ぎまくりな一方で、eFG%は特別優れていると言うほどでもないし3PAが少ないのでストレッチ4が欲しい感じですかね。ウィルソンやライドン、クズマもいますが技量的・効率的にはスワニガンのほうがかなり上なのと、ラプターズのゆったりしたバスケであればスワニガンの悪いところが比較的消えるので。

24位ジャズ……ジャレット・アレン

ウィングかCか。ヘイワード残留には全力を尽くすと思うし、ホイホイ金だリングだで他所にいくようなタイプでもなさそうなので残る前提で実質1枚しかいないC優先。ジャズは古典的Cが活躍しやすいプレースタイルだと思うのと何故か良いCが残っちゃったのでアレン。ちなみに、ジャズはスパーズ以外で一番スパーズっぽいスカウティングしてると思うので(GMがスパーズ出身の今の人になってから特に。デロン・ウィリアムスで散々苦労させられた経験もあるでしょう)、実際のとこオジェレイ持ってかれそうで怖い。

25位マジック……D.J. ウィルソン

何気にウィングとCはいるんだよな。PFかな。ゴードンが外のないPFで、全体的に中より外が悪いのでウィルソン。走れる選手なので比較的試合ペース早めのマジックにもいいでしょう。サイズがあってフットワークが良くディフェンス面でも全体をカバーできるので、ディフェンスが全体的に悪いこのチームにはいいのでは。てかスタッツをどの角度から見てもいいところがマジで一つもないぜマジック。1試合あたりの得失点から計算するBBRの予測勝敗では24勝で全体29位になるんだけど、これで実際には28勝させたヴォーゲルはやっぱり名将。

26位ブレイザーズ……デリック・ホワイト

はいPG。

27位ネッツ……テレンス・ファーガソン

トランジションに強い3Pが打てる選手、ということでぴったりのが残ってしまった。

28位レイカーズ……ジャスティン・パットン

これも実際にはあり得なさそうなのが残ってしまった。こうしてみてみるとどこのチームも意外とCはいる、そして古典的なタイプのビッグマンは需要が弱い。パットンは3P%を見るとすごい外が強い感じがしますが、実際はほぼペイントで点を取っている選手で、スピードという意味でも距離という意味でもとにかく走れてアクティブ、どちらかと言うと平面のディフェンスで怖いタイプ。でもリバウンドは弱いしリムプロテクターとしても飛び抜けているわけではない。Cにリバウンド力を求めるチームもリムプロテクトを求めるチームもフロアのストレッチを求めるチームもいまいち指名しにくいという。全部がいい方に改善するとちょっとしたタウンズみたいになりそうではある。やっぱりちゃんとしたシューティングコーチのいるホークスあたりの案件ですかね……でもリバウンド力のないインサイドで苦しんできたチームなので手が出なさそう。

29位スパーズ……アイヴァン・ラブ

はい。別に残そうと思ってたわけではないんだけど、真面目に検討するとこのタイプのPFはやっぱ需要がない。去年エントリーしてたらロッタリー指名が有力だったと思いますが、その選手が1年待っただけで1巡目下位から2巡目上位ぐらいに落ちるというのは、去年のドラフトがレベル低かったのか今年のドラフトがレベル高いのか。

30位ジャズ……セミ・オジェレイ

はいウィング。

以上でーす。

6/20 19:45追記

セルティックスの持つドラフト1位指名権とシクサーズの持つ3位指名権と将来の1巡目指名権のトレード成立ポール・ジョージが来オフにレイカーズへFA移籍する可能性が高いという信憑性のある報道が出たため予想を一部変更します。

  • 2位レイカーズ……ロンゾ・ボール
  • 3位セルティックス……ジョシュ・ジャクソン
  • 6位マジック……ジェイソン・テイタム
  • 8位ニックス……フランク・ンティリキーナ

ポジション分析については本文のとおりです。

2位について。3ウィングというのはウォリアーズの最も強力なラインナップやホークスのようにウィングが充実していたチームがよく使うラインナップで、3ガードや3ビッグマンはオフェンスかディフェンスに看過できない偏りが出るためほぼみられない一方、3ウィングはNBAでは比較的みられるラインナップになっています(ウォリアーズとホークスはともにディフェンスがとてもいいチームで、3P中心の時代においてウィングはオフェンス以上にディフェンス面で重要です。5分類法のSGとCの役割が縮小した分、ウィングとPF、特にウィングの役割が拡大してきているというのが今の流れでしょう)。しかしながらスターターから3ウィングというのはめったにありません。ましてトップレベルの才能を持ったウィングを同時に3人抱えることは宝の持ち腐れになる可能性が高いので、またペイサーズがポール・ジョージを一時PFとして使用したときに上手くいかなかったことを鑑みて、レイカーズがウィングを指名する可能性は大幅に減ったと思われます。となるとガードで指名するならロンゾ・ボールでしょうか。非常にありきたりなつまらない結論になってしまいましたが、長期的かつ合理的に考えるとこうなってしまうのでしょうがない。

3位について。1位でフルツを取らないということはガードを取らないということとほぼ同義ですので、ウィングで1番いい選手のジャクソンを指名するのでしょう。このチームもクロウダー、ブラウンともう一人のウィングとのバランスが悩ましいところです。トーマスとエイブリーの2ガードが基本なので2ウィングのラインナップですら組みにくいのに、3ウィングというのは非常に難しい。どうすんの。

6位と8位については本文でした説明通りです。

トレードがあればまた必要に応じて予想を変更します。

スパーズのドラフト指名予想

スパーズ的にはシーズンが終わったのでドラフトの予想でもしよう。デジョンテ・マレーのドラフト指名とスパーズの育成・スカウティング思想で「スパーズがマレーを狙ってたのは予想してたんだよねー」などと書いたわけですが、予想などというものは事前にするから意味があるのであって後からそんなことを言っても全くフェアではない。なので大ハズレでもいいので事前に書いとくべきだと思うのです。

で、だ。2015年と2016年に関してはチーム状況から合理的に考えれば比較的予想しやすく、2013年と2014年についても指名傾向がわかっていればまあ候補には入ってるだろうなと言うところまでは分かる年でしたが、今年に関しては本当に難しい。どこのポジションが長期的に必要か、それほど明確ではありません。また、スパーズの指名予想の難しさは「人間性を最も重視する」というところにも由来していて、指名候補のプレーそのものの情報は多く手に入る一方で人格的な面に関する情報はかなり少ないため、第三者が「この選手は人格面で要求を満たしているのか」ということを判断するのはそもそも難しい。一方でそれがわかれば「この選手は100%候補に入ってるな」とか「この選手は100%ない」と言えるのもいたりするので、その意味では第三者にも予想をしぼりやすいとも言えます。今年であればロンゾ・ボールなどは100%ないと判断できると思いますが(本人以上にオヤジが……)、29位の指名権のチームには関係ない話なのでどうでもいいですね。来年であればグレイソン・アレンはまずありえないでしょう。

ポジションの分析

来年契約がある選手をポジション別で振り分けます。ガソルはプレーヤーズオプションの行使が確実視され、2011年のドラフト2巡目指名のアダム・ハンガも加入が確実視されているのでここに含めます。

  • PG:パーカー、マレー
  • SG:グリーン、フォーブス
  • SF:レナード、アンダーソン、ハンガ
  • PF:オルドリッジ、バルタンズ
  • C:ガソル

ガード・ウィング・ビッグマンの3分類で分けると

  • G:パーカー、マレー、フォーブス
  • W:レナード、グリーン、アンダーソン、ハンガ
  • B:オルドリッジ、ガソル、バルタンズ

ドラフト指名権を持っている中で加入の可能性がありそうなのは

  • G:ハンラン
  • W:ダングビッチ
  • B:ミルチノフ、ラレーン

ダングビッチとミルチノフは来年まで契約があるので加入は再来シーズン以降でしょうか。

基本的にウィングは何人いてもいいという感じだと思いますが、再来年まで視野を広げて考えると、ガードとビッグマンも足りない状況なので、どのポジションが特に足りないとも言えないように思います。去年はガード、一昨年はビッグマンを指名したことや、ウィングの重要性がどんどん上がってきていることから考えて、まあとりあえずはウィングかなあと思います。また、ミルチノフがCなので、サイズがあってオフェンスでフロアをストレッチできてディフェンスでペリメーターを守れるポテンシャルのあるPFも長期的には必要になるでしょう。ということで、手駒からみて長期的にはウィングかPFの1巡目ドラフティーがほしいところかなと思いますので、そのへんで考えます。指名可能性の有無は今日現在のDraftExpressのモックドラフトを基準にします。評価の基準は「デジョンテ・マレーの〜」で書いた通りです。

ウィング

ウィングの定義っていうのも明確なものはないんですが、強いて言えば「サイズが一定以上(6'6")あって、ペリメーターで点が取れてペリメーターで守れる、PGでもビッグマンでない選手」という具合でしょうか。こうなると、じゃあビッグマンの定義はなんだとか、そのサイズのPGもいるぞとか色々出てくるのであれですが、まあ結局プレースタイルとサイズの組み合わせでだいたいぼんやり分類されるので厳密な定義は難しいのです。SGとSFの実質的な区別がなくなってきたところに、SGとSFのあわいから生まれて両方を包摂する概念として確立されたのがウィングということでしょう。

このポジションで1巡目指名可能性があるのはテレンス・ファーガソンセミ・オジェレイロディオンス・クルックスの3人で、この中で確実にスパーズに合うと言えるのはクルックスでしょう。映像ソースが少なくはっきり言えない部分もありますが、ウィングとしてはかなりサイズがあり(DraftExpressでは身長6'8"となっていますが、多分これは靴無しで実際はもっとあると思われます。サバ読みがちなアメリカ人選手の6'8"よりは確実に一回り大きいと思います。アンダーソンぐらいはあるんじゃないかなあ。eurobasketでは6'9"となっています)、あらゆるオフェンススキルが一級品で、視野が広く安定したボールハンドリング技術と相まってゲームメイカーとしての資質もありそうです。技術的には今ドラフトにエントリーしている選手の中でも最上位レベルでしょう。身体能力もこのサイズのプレーヤーとしては高く、平面のスピードはなかなかのものです。ボールハンドリングについて基本的なことしかできないという評価がありますが、ハイライトで見る限りは単に派手なプレーをしないと言うだけで、むしろ基礎がしっかりしている印象です。スポットアップシューター的な見方をされている面が強いように思いますが、資質としてはポイントフォワード型のウィングで、ニコラス・バトゥームやゴードン・ヘイワードと同じ方向性の選手だと思います。その認識で正しいなら、スパーズには合うでしょう。ディフェンス力に関しては映像がほぼないので判断できません。線が細すぎるという以外に難点はないように思います。あと膝の怪我持ちらしいのでその点はやや指名が怖い面があります。クルックスについてはThe Step Backのトレバー・マグノッティ記者の記事が最も良いものでしょう。彼はツイッターをやっているようですが、ほとんど自らのツイートはしていないため人物像はなかなか読み取れませんが、NBA絡みでは比較的スパーズのものをリツイートすることが多いようです。同じラトビア出身の選手に関するものを多くリツイートしており、バルタンズと一緒に撮った写真などもあり、その関係でスパーズのものが多いのだと思いますが、こういうのリツイートしているので、こういうのが好きならスパーズに向いてる。2年前に「才能だけでは不十分。10%が才能で90%がハードワークだ」とツイートしており、良い心構えだと思います。あとAdidas Next Generation Tournarmentで優勝したときのインタビュー映像がありますが、受け答えも誠実でいいんじゃないでしょうか。てか手持ち無沙汰なのかずっとTシャツにぎにぎしていてかわいい。

オジェレイも指名できるなら文句なしではないでしょうか。ウィングとしては理想的なサイズで、高い身体能力、圧倒的なパワー、素晴らしいジャンプシュートのレンジと精度という、これらを揃えているプレーヤーはなかなかいないよな、という選手です(クロウダーが近いかな)。自分より小さい選手はポストアップで押し込めて、自分より大きい選手はペリメーターまで引っ張り出せる、とにかくどこからでも効率よく点が取れるのが素晴らしい。ペリメーターを守れるクイックネスもあり、PFと勝負できるパワーもあるのでディフェンダーとしてのポテンシャルも高い。ただしボールハンドリングは悪くペリメータープレーヤーとしての技術は不十分、球離れが悪く状況判断に難があるという評価もあるようです。基本的には克服可能な弱点だと思いますが。しかしながらこの選手について最も良い点は人間性に対する評価が極めて高いことです。NBA.comのクリス・ドーチ記者の記事が彼の人生経路やメンタリティについてよくかけていると思います。デューク大での2年間とSMUでの1年のレッドシャツでの計3年間殆ど試合に出れず、それらを耐え忍んでの今シーズンの大活躍ということなのですが、その3年間に対する認識の仕方が、まあこんなできた人間がいるのかという感じで。また医者の家庭に生まれたこともあってか、ものすごく勉強ができてアカデミックオールアメリカのセカンドチームに入っています。これが示すのは聡明さと真面目さと努力する能力の高さで、スパーズのプレーヤーとしては申し分なしの資質を持っていると言っていいと思います。SMUのコーチはかのラリー・ブラウンで、ポポヴィッチは彼の弟子筋にあたりますし、基本的にはブラウンがやっていたことを発展継承したのが現在のスパーズですので、ブラウンに叩き上げられた優れた人格を持ったプレーヤーというのはスパーズに合うと考えて間違いないと思います。

ファーガソンはこの中では最も身体能力が高い選手で、シュートフォームが非常に良くレンジも精度も高い(3P%はけして良くありませんが、オーストラリアリーグはFIBA準拠の3Pラインだと思うので、NCAAよりも遠くから放っているはずです。クルックスについても同様です)。ポテンシャルは素晴らしいですが、現時点では攻守両面で技術的に洗練されておらず、線も細く、視野はいまいちでパス能力が低い、バスケットボールIQも低めで状況判断が悪いとあって現時点では素材型の選手と言わざるを得ないです。ただ、プレーしているリーグのレベルが少なくともNCAAよりはだいぶ上でしょうし、NCAAでは通用する技術やフィジカルが通用しないために苦労した面が強いでしょう。ファーガソンについてもThe Step Backのトレバー・マグノッティ記者の記事が最も良い分析だろうと思います。NBAドラフトにおけるいわゆるOne-and-Doneルールの成立経緯と是非論の「未来のNBAプレーヤーにとっての1&Dルール」で彼について一部書きましたが、大学よりもバスケに集中できる海外プロリーグを選んだその向上心とメンタルの強さは評価されるべきでしょう。オーストラリアでもロールプレーヤーとしての役割をしっかり受け入れていたようで、「何でも自分が一番」というタイプの人間では無さそうです。

このポジションでの1巡目の指名候補としてはクルックスが本命だと思います。技術的にすでにかなり優れていて、サイズもあり身体能力もまずまず高くコートビジョンもバスケットボールIQも良く、FCバルセロナという非常に良い環境で鍛えられていることもスパーズ的には良いのではないでしょうか。DraftExpressでは現在29位指名の予想ですが、ビッグボードでは18位で、15位から20位ぐらいでずっと予想されてきた選手なので、本当にここまで落ちてきてくれるなら最高です。次点でオジェレイでしょう。人間性は満点で真面目で頭のいい選手なので、今年12月で23歳という年齢ですが、ジミー・バトラーみたいにこういう選手は年齢に関係なく成長し続けられると思います。怪我もなくやってきたみたいなので、その点はクルックスよりも安心できます。

PF

候補になるのはアイザイア・ハルテンシュタインアイヴァン・ラブタイラー・ライドンケイレブ・スワニガンアレック・ピーターズカイル・クズマあたりでしょうか。このポジションは近年非常に厚く、今年も30位前後に良い選手がたくさんいますが、その分きちんと条件を満たす選手を選ぶと思います。視野が狭くパス能力の低い選手やバスケットボールIQが低かったり注意が散漫な選手、アンダーサイズな選手にはいかないと思うので、D.J. ウィルソン、ジョーダン・ベル、マシアス・レッサート、ジョナサン・モトリーあたりの指名は可能性が低いのではないかと思います。

この中で最も資質が高いのはハルテンシュタインでしょうか。靴無しで7フッタ―というサイズは圧倒的ですし、それにも関わらず非常に走力が高く、ヨーロピアンプレーヤーの常として技術もかなりあってリバウンド力も高い。クイックネスがありサイズの有利もあるのでペリメーターディフェンダーとしてのポテンシャルもあります。現状足りないのはパワーぐらいのものでしょうか。ジャンプシュートの精度やターンオーバーの多さなど技術的に今一つな部分もあるようですが、いずれにしろ改善可能な部類のものでしょう。感情を表に出す面があるようですが、どちらかと言うと自分のミスに対する自己批判的な態度らしいので、相手に対して挑発的とか味方に対して非難するような種類のものではないのかなと思いますが、情報が少なくなんとも言えません。人間性に関しては情報が少なく判断できません。ま、この選手についてはそもそも29位まで落ちてこなさそうなところが最大の問題か。

このポジションでスパーズにとって本命と言えるのはアイヴァン・ラブでしょう。サイズはPFとしてケチのつけようがなく、走力があり攻守両面でアクティブ、リバウンド力は今年のドラフティーでNo.1を争うレベルでしょう。身体能力はまずまずで特別高いというわけではありませんが、フットワークは軽くポストプレーでのクイックネスと技術はかなりあり、またこのフットワークの軽さはペリメーターディフェンダーとしてのポテンシャルの高さを示すものでもあります。バスケットボールIQはかなり高く攻守両面でポジショニングが上手い、ASTはそれほど多くないもののダブルチームに対するパスのさばき方は上手く、スマートで視野が広くチームプレー志向が強いので明らかにスパーズ向きの選手だと思います。派手なダンクなんかしてもあまりアピールしないですぐ戻る一方で、アシストが決まるとはっきりガッツポーズをしたりするあたり、チームプレー志向のメンタリティなのは間違いないでしょう。2年になってからそれほど成績を上げていない事を問題視されますが、今シーズンのUCバークレーはジェイレン・ブラウンなどがいた昨年よりも大きくメンツが劣り、ラブの負担が大きくなると同時にダブルチームでかかられることが増えたことが要因で、能力的に衰えたわけではないでしょう。ラブに対する批判として最も大きなものは、Cでプレーするにはサイズとパワーが足りず現代的PFとしてはペリメーターでの攻守両面での技術と身体能力がないということです。レングスがあり言われるほどクイックネスも悪くないのでペリメーターディフェンスについてはトレーニングによって十分改善の余地がありますし、フィジカル的な強さも改善可能な種類のものです。問題はシューティングで、ミッドレンジジャンパーはなかなか良いものの、DraftExpressでは17フィートを超えると不安定と評価されています。素人目にみても、リリースポイントが高すぎる、肘が開いているという点は問題だと思います。前者の点については修正可能でしょうが、後者についてチップ・イングランドACがどう評価するかはわかりません。シューティングレンジの改善が実現すれば、どこからでも点を取る技術があり、どこでも守れ、強力なリバウンダーで、アンセルフィッシュでバスケットボールIQが高く攻守両面で正しいプレーを選択できる、現代的PFとしてはおよそ完璧なプレーヤーに化ける可能性のある選手と言えます。逆にこれが改善できなければPFとしてもCとしても中途半端な使いどころのない選手になってしまう可能性が高いと思います。イングランドがシューティングを改善させられなければ他のどこのチームでも難しいと思いますので、この意味で「スパーズにとっていい選手」と言うよりも「スパーズに指名されたほうがいい選手」と言えるかもしれません。人間性についても全く問題ないと思われます。彼の人生経路と人格形成についてはThe Undefeatedのマイク・スピアーズ記者の記事が非常に良く書けています。こういう過酷な環境で育ちながらも道を誤らなかった選手をスパーズは高く評価する傾向があります。真面目で学業成績も良く内面的に強く、人格面では間違いなく高く評価できると思います。実際、スパーズはラブをワークアウトに呼んでいるみたいなので指名を考慮していると思われます。

人間性で極めて評価が高いのはスワニガンとピーターズも同様です。特にスワニガンはラブよりも更に困難な環境で育ってきており、これに関しては様々なメディアで記事が出ています。ESPNのマイロン・メドキャフ記者の記事が素晴らしいので気になる人はそちらをどうぞ。二人に共通するのは高度なオフェンススキルとアンセルフィッシュなプレースタイル、フィジカルでリバウンド力があってバスケットボールIQが高く非常に効率的であること、ともにアカデミックオールアメリカに選ばれていること(スワニガンはセカンドチーム、ピーターズはファーストチーム)、そしてアンダーサイズで身体能力が低くディフェンス力がすっからかんなことでしょうか。スイッチディフェンスでペリメーターでスピードのある選手とマッチアップした場合抑えられる可能性がないと言うぐらいペリメーターディフェンスがだめですし、リムプロテクターとしても無力に近いので、彼らが一体どこで誰をディフェンスできるのかと言うのは大きな問題です。スワニガンはウィングスパンがかなりあってスタンディングリーチも過去のドラフティー平均を超えていますが、ジャンプ力が無に等しくリムより上はほぼ守れません。ピーターズはそもそもサイズが平均以下なので、近年サイズのある選手を重視しているスパーズの方針に外れます。彼らのディフェンス力の弱さは身体能力に由来するもので、トレーニングで改善できる部分が限られています。ディフェンス第一のスパーズでこれはやや厳しい感があります。

ライドンはサイズはごく平均的で、シュート力は素晴らしく身体能力もまずまず良いですがそれ以外の能力で特に優れたところはなく、やや半端な印象です。現時点でのシュート力をそれほど重視しないチームなので、それ以外の部分で特徴的な部分がない選手は伸びしろが小さくわざわざ指名しないのではないかという感じがします。人間性に関する情報は特に得られませんでした。

クズマはNBA Draft Combineで急激に評価を挙げた選手です。サイズ的にはごく平均的ですが、身体能力がまずまず高くシュートレンジが広い、パス能力もかなり高くオフェンス面での多様な技術がある選手ということです。線は細いもののフィジカルなプレーヤーでリバウンド力が高いところも良いところです。ディフェンス面での評価はやや低めのようです。筋力を強化しシュート力を磨くことで攻守両面で更に伸びしろがあると評価されているようです。人間性に関する情報は特に得られませんでしたが、スパーズはすでにクズマのワークアウトを行っており、少なくともワークアウトの前までは指名を考慮していたことは確実と言えますので、おそらく人間性の面でも合格は貰っているものと思います。

PFに関してはおそらくラブが本命でしょう。まさかがあればハルテンシュタイン、場合によってはクズマといったところではないでしょうか。

2巡目

2巡目に関してはインターナショナルプレーヤーを指名する場合が1巡目以上に多いので、基本的にはインターナショナルプレーヤーを指名してスタッシュというのが可能性として高いでしょう。ということでアルファ・カバアレクサンダー・ヴェゼンコフが指名されるのではないでしょうか。カバはとにかくウィングスパンが大きくサイズが素晴らしい、Cとしても十分ですがPFとしてはなおのこと優れており、更に走力があって身体能力も高く、フィジカルが強くリバウンド力が高い、更にシュートレンジも広くパスも結構うまい、とポテンシャルが素晴らしい。技術的には洗練されておらず特にシュート精度はまだまだのようですが、そこはこのチームでは長期的にはあまり問題にならないでしょう。ヴェゼンコフは逆に身体能力は低いが技術的には非常に洗練された選手で、TS%がほとんどのシーズンで60%を超えておりヨーロッパでもかなりシュート力の高い選手と言えます。伸びしろで言うとカバのほうが上でしょうか。更にヴェゼンコフはFCバルセロナの主力で下手にNBAに来るより年俸がいいと思うので、指名したとしてもNBAに来ないんじゃないかなあと思う部分もあり。ということでカバを本命にします。

アメリカの大学生で指名の可能性があるのはジャロン・ブロッサムゲームシンダリアス・ソーンウェルナイジェル・ウィリアムス=ゴスルーク・コーネットあたりでしょうか。これらの選手はDraftExpressのモックないしビッグボードで59位前後の選手たちで、なおかつスパーズのワークアウトを行ったかその予定の選手たちです。スパーズはオフィシャルで何も情報を流さないので、情報元はSpurs Nationの記事SAENのジャバリ・ヤング記者のツイッターです。ブロッサムゲームとソーンウェルは多分59位まで残ってないと思います。ブロッサムゲームはウィングとしては理想的なサイズと高い身体能力があってチームプレー志向で、致命的な欠点はジャンプシュートの精度という完全にスパーズ向きの選手ですが、DraftExpressの予想が他より低いだけで多分2巡目中位ぐらいで消えるのではないでしょうか。ソーンウェルも同様。ウィリアムス=ゴスは身体能力は低いですが、PGとしてはかなりサイズがあり、オフェンススキルもディフェンス能力も高く人間性も非常に評価が高い、アカデミックオールアメリカのファーストチームで、いてくれて何も損することがない選手なので指名できるなら大変良いことです。コーネットはレベルが高いSECのファーストチームとオールディフェンシブチームに選ばれている実力者で、Cとして平均以上のサイズがありシュートの約半分が3Pという珍しい能力の組み合わせの選手です。ディフェンス力に対する評価が高い一方でリバウンド数がそんなに多くないのは不思議。この選手もアカデミックオールアメリカセカンドチームで人間性に対する評価が非常に高い。

ということで2巡目はカバが本命。

結論

1巡目は本命がロディオンス・クルックス、対抗がセミ・オジェレイとアイヴァン・ラブ。

2巡目は本命がアルファ・カバ、対抗がアレクサンダー・ヴェゼンコフとナイジェル・ウィリアムス=ゴスとルーク・コーネット。

他のチームの指名との兼ね合いなので、この辺が当たったら正解ということにしておくんなまし。ワークアウトの状況などで後で変えるかも。

6/13 20:45 追記

ロディオンス・クルックスがアーリーエントリーを取り下げました。したがって1巡目の予想を変えます。

本命がアイヴァン・ラブ、対抗がセミ・オジェレイとカイル・クズマ。

アダム・シルバーがOne-and-Doneルールについて考え直す必要があると言明

さて、これをどう捉えるべきか。これに関する記事は色々ありますが、NBA.co.jpSBNationのクリスチャン・ウィンフィールド記者の記事Yahoo Sportsのベン・ロウバック記者の記事あたりを抑えておけば一応足りそうです。

ウィンフィールドの記事は現地5月31日のFox Sportsの番組で受けたインタビューを元にしており、NBA.co.jpの記事は現地6月1日のNBAファイナル第1線前の記者会見での発言を元にしている点で異なりますが、話している内容はだいたい同じでしょう。1&Dルールは大学への腰掛けが前提になるため、学業面での悪影響やドラフトに向けて自分のプレーを見せることが目的化しチームを勝たせるような意識がプレーヤーに培われず大学チームにとって悪影響なこと、プレーヤーにとっては実質半年そこらでは大して成長できないこと、NBAチームにとってはプレーヤーの成熟に役立ってないと認識していることなどを理由に「1&Dルールは機能していない」との認識に至ったようです。シルバーは「我々の立場を考え直している(I'm rethinking our position.)」と発言しましたが、ウィンフィールドは、シルバーが従前から20歳に最低年齢を引き上げることを主張していた事を踏まえ、「2&Dの推進をやめるのでは」と認識していますが、これは必ずしもそうではないでしょう。our positionとは1&Dルールを採用している現在のNBAドラフト制度ないしそれが成功しているという今までの認識ではないかと思います。ロウバックの記事に適切に引用されているように、今回の新CBAの交渉は経済的な問題を解決することが第一で、それが終わったら年齢制限の問題に議論を移そうということだったようです。1&Dルールは上手くいっていないとういうことを共通の認識として、もっとより良いものに変えるためにNBAとNBPAでお互い知恵を絞っていきましょう、そのためには大学関係者も議論に参加してもらって議論を深めましょう、というのがシルバーの目指していることでしょう。そしてNBA.co.jpの記事にあるように、NBA側として20歳への引き上げの立場は崩していないものと思われます。

シルバーは「私は大学バスケの大ファンだが、プレーヤーの一番大事な時期にその成長を阻害させていないか心配("Selfishly while I love college basketball and I’m a huge fan of college basketball, I worry about potential stunted development in the most important years of these players’ career,”)」「不幸にも彼ら(注:1&Dプレーヤーのこと)の最大の関心事はNCAAトーナメントで勝てるかどうかではなく、NBAドラフトのすすめるかどうかだ。だから、自分のスキルをどれだけ見せられるか、どれだけプレータイムを得られるか、そしてもちろん怪我しないかどうか、そんなことを心配しなくてはならない。あまりよろしくはないね。("their biggest concern unfortunately becomes not whether they win the NCAA tournament, but whether they drop in the NBA draft. So then they have to be worried about how their skills are showcased, how many minutes they get, of course whether they get injured. So, it’s not a great dynamic.”)」などと発言していますが、1&DルールはNBAとNBPAの合意で作ったのであって、本来NCAAは1&Dルールの当事者ではありません。NBAに巻き込まれる形で混乱している大学バスケの状況を根拠に1&Dルールは上手くいっていないというのは卑怯な物言いで、シルバーは「NBAが望んで作った1&Dルールが、NBAにとって上手くいっていない」ということを正しく認識すべきではないかと思います。これは紛れもなくNBA自身に全ての責任があるNBA自身の失政なのだ、ということを。NCAA会長のマーク・エマートが1&Dルール廃止論者であることは心強いですが、高卒ドラフトが復活すると大学に有力選手が来なくなり大学バスケの弱体化が進むため、有力選手の大学在籍期間を伸ばすために、基本的に他のNCAA関係者は最低年齢引き上げ論者のほうが多いと思われますので、「話し合いのテーブルには有力大学コーチとアスレチックディレクターたちも参加すべきだと思う( “I think the top college coaches and (athletic directors) should be at the table.")」というシルバーの考えは、最低年齢を引き上げるための援護を増やす思惑があるのではないかと邪推してしまいます。

シルバーは対立する年齢制限問題について「我々は原点に立ち戻って「バスケットボールにとって何が最も利益になるのかを問わねばならない(I think it’s something that we’ve gotta step back [and ask] ‘What’s in the best interest of basketball?’)」と語っていますが、少なくとも2&Dルールは大学バスケもNBAのレベルも落としてしまう可能性が十分あるとKは認識しています。詳しくはNBAドラフトにおけるいわゆるOne-and-Doneルールの成立経緯と是非論で書いたので暇な人はそちらをどうぞ。英語圏も含めて、多分WEB上で読めるものとしては1&Dルールについての最も包括的な論考だと思います。代表的な代替的ドラフト制度の合理性をここまで詰めて検討し、2005年CBA以前のドラフト制度だけが合理的なドラフト制度であるということを論じたものは、Kの知る範囲では読んだことがありません。特に、シャシェフスキー案(高卒でドラフトエントリーを認めるが、ここでエントリーしないときは少なくとも2年後のドラフトまではドラフトエントリーできない)やMLB方式が、インターナショナルプレーヤーの立場から見ると全く合理性がないということを指摘している記事は読んだことがありません。先のロウバックの記事も、最後に「MLBと似た方式のドラフト制度もアリなんじゃないか」みたいなことを書いてますが、いかにもアメリカ的というか、自国中心主義的で視野が狭いなあと思います(結構いますこういう記者)。「プロとそのステップとしての大学」というアメリカンスポーツの構造を共有していない地域には合理性がないんですけどね。手前味噌ですが、Kが書いたものはNBAドラフト制度論としてはおそらく最先端のものの一つだと思います。読んで損するものではないと思います。とか言って他に同じようなことを書いている人間がいたら恥ずかしいですが……知らぬが仏、たまには調子に乗っとこう。