だいたいNBA

Kだよ。だいたいNBAのことを書くのです。だいたいスパーズのことを書くのです。

例のトレード

オフィシャルリリース。スパーズからラプターズへレナードとグリーンを出して、ラプターズがスパーズへデローザンとポートルと来年の1巡目指名権(1-20位プロテクト。プロテクトに引っかかった場合は2020年の2巡目指名権と2023年の2巡目指名権)を出す。メディカルチェックの後で正式に確定するのでしょう。

短期で見れば全くフェアバリューではない。長期で見ればデローザンが3年、ポートルが2年契約が残っているので継続性がある。1巡目指名権は、レナードが出場拒否でもしない限り20位代後半なのはほぼ確実、来年のドラフトはおそらく不作なのであまり価値のないものになるでしょう(不作の2016年に29位でマレーを拾うような幸運も起こるが)。サイズとディフェンス力のあるウィングがごっそりいなくなるので、できればアヌノビーを取れれば良かったのにというところ。希望の移籍先をリークしたうえでトレード要求されると価値が下がるのでいい迷惑です。FAで何も残さず出て行かれるよりはマシですが。

スパーズはスコアラーを指名権や成長途上の選手よりも優先していたようです。それでデローザンでようやく動いたというわけね。個人的にはあまり評価していない選手なので懐疑的です。パスの上手さとTO%の低さは結構ですが、リム付近でのシュートが少なくミッドレンジばかりのショットセレクションの悪さと3P%の低さがやはり厳しい。FT稼ぎの技術はリーグ有数なのでそれでなんとかリーグ平均のTS%まで上げている状況。ディフェンスは言うまでもなくかなり悪い。ポジションは違うけど、パスがすごく上手いカーメロ・アンソニーみたいな選手という認識で、基本的にはカーメロがダメなのと同じ理由でダメな選手だと思っています。ダメということもないが、評価とサラリーには見合わない選手だろうと思います。マークをひきつけてパスをさばける、周りを有利な状況にできる選手なので、デローザンがいることでチーム全体の得点効率が上がるということであればそれで良しで、実際ラプターズのon/offスタッツを見るとデローザンが出ているか否かで100ポゼッションあたり4点も多く取れているのですが、しかしこれはTO%が2.5%違うこととOREB%が2.2%違うことが主要因で、TS%はほとんど変わらずeFG%はoffのほうがいいので、「デローザンがいることでチーム全体のシュートがよく入るようになる」ということは無い様です。ディフェンスの改善余地はそれほど大きくないでしょう。やはりショットセレクションとシューティングの改善がないことには、デローザンが来たというだけでチーム成績が大幅に改善するということにはならないように思います。昨シーズンのラプターズはスパーズよりもずっといいチームなので、ただそのままスパーズに来たというだけでは、周りに得点力のある選手が少なくなりマークがきつくなるのでデローザン自身の得点効率も下がるでしょう。イングランドの指導で大幅に改善するということも考えられないではないが、開幕までの短期間で一気に良くなるということはあまり期待しないほうがいいでしょう。オラディポみたいにチームが変わっただけで大幅にプレー効率が良くなるということもありえますが、デローザンがそうなるかは今の段階では誰も与り知らないことです。デローザンがラプターズから出されたということに対しては、非常に可哀想なことだと思います。トロント・スターのダグ・スミス記者がSAENに寄稿した記事が、デローザンがどう愛されていたかがわかるものとなっています。

ポートルに関してはよくわかりません。やたらに得点効率がいいのは素晴らしい。こういう選手に関しては、とにかくペリメーターで相手のガードやウィングをディフェンスする能力があるかどうかが問題。それができればスターターにもなれるだろうし、できなければ淘汰される。今はそういう時代です。

昨期レナード無しで47勝したんだから来期はもっとよくなる、という論調もよく見かけますが、アンダーソンもグリーンもいないし、それに代わるような選手もいないのでディフェンス力は落ちるでしょう。その分得点力の上乗せがなければ成績のキープすら難しいのではなかろうか。それはむしろデローザンよりも、プレータイムの増加と得点力の改善余地の大きいマレー、ホワイト、バルタンズあたりの仕事です。

グリーンがいなくなるのは悲しいことです。15年に契約更新してからシューティングが別人のようにダメになってしまって当惑しましたが、ディフェンスでそれ以上に重要だったので戦力ダウンではあるでしょう。それより、後輩の面倒見が抜群にいい選手で、チームの人間関係を円滑にする上で本当に大事だったと思うんだよなあ。昔SAENで読んだと思うんですけど、アンダーソンの居残り練習に付き合ってディフェンス教えてあげたりとか、そういういい男でした。