だいたいNBA

Kだよ。だいたいNBAのことを書くのです。だいたいスパーズのことを書くのです。

ジノビリの引退

公式アナウンス。

まずKとしては、特に残念でもなければ悲しくもないです。40過ぎて現役続け散るほうが異様。30代の働き盛りで死んだひとの葬式は悲惨なものですが、90過ぎて老衰で天寿をまっとうしたひとの葬式なんて、明るい、カラッとしたものですよ。そういう感じです。怪我でプレーヤー人生が台無しになった場合とか、クリス・ボッシュみたいにプレーヤーとしてまだ脂が乗っている時期に病気で引退せざるをえなかった場合とか、そういうのは本当に残念だと思うんだけど。

ジノビリの最も偉大なところは、やはりユーロステップをNBAに導入したことでしょう。当時は特殊な、身体能力に依存しないでレイアップを生み出す魔法のような技術だったと思いますが、今やバスケの基本技術の一つとなっています。ボールを持ってリムに飛び込むのに、既存の技術とは全く異なる手法を導入したことで、ドライブの技術は一変したのではないかと思います。ジェイソン・キッドブラッドリー・ビールジャレド・ダドリーなどが「バスケのやり方を変えた("changed the game")」と評していて、Kもそういうことだと思います。ジノビリよりもいい選手なんてたくさんいるでしょうが、ジノビリよりも後世に影響を与えた選手はほとんどいないでしょう。登場以前と以後で、バスケの技術体系に不可逆の重大な変化を引き起こすような選手なんて歴史上数えるほどではないだろうか。

もうひとつ偉大なのは、現代的な効率重視のプレースタイルに先鞭をつけたことでしょう。つまり、ミッドレンジをごっそりそぎ落とし、レイアップと3Pに集中し、フロップ上等でファールとFTを稼げるだけ稼ぐ、最も点を取りやすいやり方で取り続ける、こういうことを明確にやり始めたほぼ最初の選手ではないかと思われます。現代バスケの理想的なオフェンシブプレーヤーとはまさしくジノビリのような選手で、これを最も先鋭化させたのがジェームズ・ハーデンですが、スタッツを比較するとシュートエリアの偏り具合がほとんど変わらないところに、ジノビリがいかに時代の先を行っていたかが示されているのではないかと思います。

ジノビリ大好きのデアンジェロ・ラッセルくんですが、ジノビリ引退に対するコメントがCongratsとかじゃなくThank you.なのが思い入れが絶妙に滲んでていいと思うな。まあ、こういう情報を予め知っているとそう思えるだけかもしれませんが。